20話 クラスメイトとのダンジョン
遅れてすいません。
ダンジョンの形状は洞窟そのものだが、壁が青く光っている。そうとしか言いようがないほど同じ光景が広がっている。滴る水滴も、不自然に凹んだ戦闘の跡も、魔物の死体もない。
ここがダンジョンか。
ダリス先生が話し始めた。
「ダンジョンの全ての壁はこの壁のように光っている。この壁を吸魔壁と言うんだ。吸魔壁は当たった魔法やエネルギーを吸収する。つまり地形を壊す事は出来ない。ここで一つ復習だ。魔法の使い方として、生成法、術式法、操作法がある。操作法の使い方、わかるか」
俺はもちろんわかる。わかるからと言って答える訳では無い。俺は名指しされた時だけ答える。
リヒトが手を挙げた。
「操作法は既存の物質に自身の魔力を流し、その物質を操る方法です。相手と物質の取り合いになった場合は流す魔力量が多い方が主導権を握れます」
「そうだ。ダンジョンで操作法は使えないと考えた方がいい。このダンジョンの壁は明らかに土や氷ではない。だが土や氷のような壁のダンジョンもある。その壁も吸魔壁と言う異質の物質だ。これは頭ではなく感覚で理解しろ。その僅か一瞬の判断で命を落とす。将来、ダンジョン探索を生業にするなら、今後操作法を使うのは止めたほうが良いだろう。後、魔物には、魔力探知に映らない物や見えない物などが居るため、一つの感覚で警戒するのではなく、六感全て使って警戒しなければならない。後、魔獣と魔物の違」
「後、後、後て後何個話があるんですか」
「こういう時ぐらい黙ったらどうだ、ライム」
「で後何個あるんですか」
「これで最後だ。魔獣と魔物の違いは生物かどうかだ。魔獣は国から討伐依頼が出たことがある動物だ。動物と同じように子どもを作り、生態系の中で生きる。魔物はそもそも生物ではない。ダンジョンが創った物だ。生物と違い、生きる事より相手を殺す事を優先する。命乞いをしているように見えたとしても、それは俺達を殺すための演技だ。まぁ、これがダンジョンについて知らなければならないことだ。みんな、分かったか」
「はーい」
みんなが言った
二階層に入ってから10分後。
「止まってください。魔物が出ました。」
とマルロ先生が言った。
「皆さんは見ていて下さい」
白く、軽そうな形状、歩くたびになる鈍い音、あれは、スケルトンだぁぁぁ。
落ち着け俺。これだと子どもに見えてしまう。落ち着いて見るのだ。スケルトンは3体。全員武器を持っていない。うんうん、相手を冷静に分析する。これが強者の立ち振る舞いだ。
マルロ先生が剣を抜き、スケルトンに向かって駆け出した。一振り、二振りで2体のスケルトン切り倒した。3体目はダリス先生の斬撃魔法で頭、胴、脚に分けられた。
「みんな進むぞ」
大体1時間後にゾンビが現れたが同じように倒された。
その後、少しした所に橋があった。
「ここが中間地点だ。全てのダンジョンの中間地点には目印となる物がある。このダンジョンは橋が目印だ」
橋の横は崖。周りにはクラスメイト。これは一人だけ崖から落ち、落ちた人が強くなってくるあれに違いない。発生条件は2つ。強力な魔物が突如現れる。クラスメイトの誰かが俺のことを嫌っている。そのどちらかに当てはまれば起こる。しかし俺はクラスで好かれてもないが嫌われてもない。この感じだと、強力な魔物が現れる可能性も少ない。これは自演するしかない。
「先生、橋の下はどうなっているんですか」
そう言いながら橋の端に駆け寄った。
「そうですね。下の階層に繋がってると思いますよ」
「へーそうなんでっ」
俺はバランスを崩した。これだけだと助けられるかもしれない。橋に戻ろうとしてるように風魔法を使うふりをした。橋から遠ざかるように風魔法を使った。
そしてもう一度同じ方向により強い風魔法を放つ。
最後、自分と橋の間に弱めの爆発を起こした。
「うわあぁぁぁぁ」
完璧だ。
そのまま俺は崖から落ちた。
術式法は魔法陣などを使う方法です。
六感とは、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚、魔覚です。
魔覚は探知魔法のことをよく指すが、全ての魔法の感覚です。




