18話 変化
遅れてすいません
いつも通りの起床、いつも通りの食堂、いつも通りの朝食、いつも通りの登校。いつもと違うのは気持ちだけ。だがそれが俺の見る世界を一変させているのだ。鈍い木の音がする起床、雑音が鳴り響く食堂、TKGと比べても見劣りする朝食、風が邪魔する30分の登校が、光が目に刺さる起床、穏やかな話し声が聞こえる食堂、前世より豪華な朝食、風が涼しい5分の登校になった。
学校がきれいに見えると思っていたら、
「お、おはよう」
これはいつもと違うことだ。ほとんど人と話さない俺が挨拶をされたのだ。しかもそれは金髪の少女ミリスだ。
「おはよう。元気になったみたいだね」
「お陰様で、昨日はありがとうございます」
「どういたしまして」
、、、
ミリスは歩く速度を上げた。
俺は歩く速度を少し落とした。
ちょっとずつでいいんだ。ヒロイン枠といっても色々な形がある。最初から仲良しじゃなくたっていい。
好きな人に話しかける事はとても勇気のいる行動だ。少しずつでいい。だが着実にヒロインにしていこう。ただし、俺に告白だけはするなよ。それをするとヒロインを3人取りづらくなる。気をつけてくれよ。後のヒロインたち。
生活が大きく変わることなく夏になった。
そろそろ覚えることが多くなってきたので、ノートが欲しくなってきた。だがこの世界の紙は前世と比べずとも値段が高い。大体B4くらいの紙が一枚銀貨1枚だ。一般的な暮らし一ヶ月に銀貨1.2枚と考えると俺では手が出せない、と言う訳ではない。俺はこの学校に来る前に父様から大銀貨を5枚も貰っている。寮生活をしていれば生活費はかからないので、俺は大銀貨5枚をそのまま持っている。買えなくはない。ただこの後急に金が必要になることを考えて使いたくない。
そうだ、作ればいいんだ。
異世界に行った時のために、マヨネーズ、紙の作り方を覚えている。紙の材料になる植物を採ってこよう。
まず植物を水酸化ナトリウムで、、、水酸化ナトリウムがない。いやまだ焦るな。水酸化ナトリウムはナトリウムを水に溶かせば、、ナトリウムがない。
どうしよう、、、うん、買うか。
まぁ自分で作った紙が粗悪品になっただろうし買うのが一番だ。明日放課後に買いに行こう。
久しぶりに学校の外に出た。異世界の町並みは良い。レトロチックな石造りの家、木材感が強いドアや窓、完全に透き通らないガラス。何度見ても良い。
紙以外に情報を記録する物はないのだろうか。壁に書いたら後々怒られるだろう。石板を魔法で作ってそこに記録しても良いがスペースが足りない。魔法を使って何とかできないだろうか。
あ、良い方法思い付いた。
紙を買わず帰路に就いた。
その方法はこうだ。
1 石板を作り、そこに記録したい事を書く。
2 1を一つの魔法と考え自動魔法に魔法情報1として設定する。
これを繰り返せば紙を使わず記録することができる。
自動魔法選んで良かった。正直今まで闇魔法にすれば良かった、と思っていたがその思いも無くなりそうだ。
数日後のホームルーム
いつも通りミリスと少し会話をしてから席に着いた。
「明日はダンジョン探索です。まぁ探索と言っても見学ですが、動きやすい服装で来てください」
ダンジョン、前世の知識では異世界によって色々と設定が変わる謎多き場所。見学らしいから大丈夫だろう。




