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求血記  作者: 香双狐
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第八話 火炎の女

蚊人(ぶんじん)の本部では、リーダーのリンキと幹部4人による会合が開かれていた。彼らの今後の活動方針とは?一方、外出用にと日光を防ぐローブを眞利に作ってもらい、日光が目に入らないように盛弥にサングラスを買ってもらったオニコ。彼女が、ローブとサングラスに魔力を込めると、固有の機能が出現したようだ。一方盛弥は、オカルト研究会と協力しての夜間パトロールを計画した。最初のパトロールに出かけると、幹部であるクザスと出くわす。


登場人物5

リンキ 蚊人(ぶんじん)のリーダー。4人の幹部と、その他大勢の構成員を従えて人類に代わる文明の設立を目指している。


ブゲン 蚊人の幹部の1人である男。亀の紋章を付けており、岩を操る力を有している。


コビャ 蚊人の幹部の1人だが、最も新参者の男。虎の紋章を付けており、光を操る力を有している。


ブドラ 蚊人の幹部の1人である女。龍の紋章を付けており、水を操る力を有している。


常長怪斗(つねながかいと) オカルト研究会部長の4年生。行動派な性格のため、フィールドワーク多めの活動方針でオカルト研究会を率いている。


今田美月(いまだみづき) オカルト研究会副部長の3年生。いつも部長に振り回されがちだが、未知の情報には敏感で、徹底的に調べる癖がある。


奥野遊馬(おくのゆうま) オカルト研究会所属の1年生。未確認生物の情報に詳しく、蚊人にも興味を示しているため、調査には乗り気である。


 盛弥が、オニコの指導のもと投影魔法の練習をしている頃、蚊人(ぶんじん)幹部のクザスは、幹部の会合に出席していた。蚊人(ぶんじん)本部に設けられた会場には、クザスを含めた5人の幹部が円卓を囲んで座っていた。その内、リーダー格の男がクザスに話を振る。

「まずは、クザス。お前が対処した邪魔者と思われる者について報告せよ。」

「ええ。私が見たのは、男と女が1人ずつよ。女の方は強化体Pを倒したそうだから、そこそこやるのでしょうけど、男の方は未熟だったわ。始末するのであれば、早めがいいわね。もっとも、貴方の判断に従うつもりだけれど?」

クザスの報告を聞いた男は、ふむ。と納得すると、次にブゲンに話を振った。

「ブゲン。お前の方はどうだ?」

「はっ。リンキ様、私は4人の男女に対処致しました。しかし、いずれも取るに足らぬただの人間にてございました。始末は、いつでも容易かと思われます。」

すると、リンキと言われたリーダー格の男は、残りの男女2人に話を振った。

「コビャ、ブドラ、そなたらは如何であったか?」

「はっ。私とブドラ殿は、この国の人間の総数を調べておりました。リンキ様、お喜びください。」

コビャがそこまで話すと、ブドラと呼ばれた女性がその先を続けた。

「結果は上々でした。この国の人間の血を全て吸い尽くせば、貴方様は文明創造への覚醒が可能になりますよ。」

それを聞いたリンキは、上機嫌で「そうか。」と言うと、幹部全員に向けて命令を下した。

「ブゲンとクザスは、引き続き対象の見張りをせよ。コビャとブドラは、次なる強化体の投入準備と機会を探れ。各々連絡を取り合い、十分にタイミングを見定めて行動するように。」

会合が終わり自室に戻ったクザスは、盛弥達を見張らせている部下に連絡を取った。

 その頃盛弥の投影魔法の練習は、オニコの補助有りでだが、武器を出現させる事が出来るところまで進んでいた。しかし、思った物を出すことは出来ず、全然違う物が出てきてしまう。オニコ曰く想像が足りないとの事だが、盛弥としてはどうしていいか分からなかった。そんな中、初めてのオカルト研究会との合同捜査の日がやってきた。金曜の夜に集合して、夜の街のパトロール的な事をする事になっている。ここ最近の蚊人(ぶんじん)の仕業と思われる殺人事件は、ちょくちょく報じられているが、それらの共通点が夜なのだ。オニコと共に、集合場所である近くの公園に向かう為に家を出ようとした盛弥は、オニコの服装に疑問を持った。

「オニコ、そのローブとサングラスは昼間用じゃないのか?」

「魔力を付与したら、夜でも使えるようになったの。」

本人によると、ローブは防御障壁、サングラスは相手の分析に使えるらしい。何とも中二心をくすぐる内容だ。2人が公園に着くと、オカルト研究会部長の常長と沙月、それに眞利が既に待っていた。

「やあ、遅くにすまない。そちらのお嬢さんがオニコちゃんでいいのかな?」

彼とオニコを合わせるのは初めてだった。眞利の助言もあり、沙月には会わせたものの、ほかのメンバーには話すだけにとどめていたからだ。

「はじめまして。オニコです。」

若干警戒心を抱きながらも、自己紹介するオニコ。彼女にも、話をしておいたのが良かったのか、思ったよりすんなり打ち解けられそうだ。

「はじめまして、常長です。よろしく。悪いけど、もう少し待ってくれるかな?うちの部員がまだ来てなくてね。」

そう言っていると、2人の男女が駆け足でやってきた。

「怪斗さん、遅くなりました。例のやつ持ってきましたよ。」

「よし、2人ともありがとう。」

常長は、若干大きな荷物を背負ってきた彼らを労った後で盛弥達に紹介する。

「紹介するよ。彼女が3年生で副部長の今田未月さん。そして彼が、1年生の奥野遊馬君だ。一応、岡さんと僕を入れた4人がオカルト研究会のメンバーだ。」

メンバー紹介が終わりいざ出発となると、事前に決めたとおりに並んで少し距離を取りながら歩き始めた。先頭は最大戦力のオニコと盛弥。少し間を開けて、カメラを持った常長、今田、奥野の3人。彼らは、あくまで取材が目的だとして、記者のような装備である。ちなみに、さっき今田と奥野が持ってきた荷物がそれだった。そして、最後尾を眞利と沙月が何故かスリングショットを手に進んでいる。しばらく進むと、オニコが突然足を止める。

「どうした?」

「視線を感じるの。まるで私達を監視しているような。」

オニコは、血を求める吸血鬼の本能故か、蚊人(ぶんじん)の気配が分かるらしいと、以前教えてくれた事がある。今回もどうやら大当たりの様だ。オニコが視線を感じた場所へ向けて、1匹の蝙蝠を向かわせる。この蝙蝠は、オニコが覚醒した時に現れたらしく、使い魔的な存在らしい。その蝙蝠は、敵を見つけると騒ぎ立てて炙り出す。今回も、見つかった蚊人(ぶんじん)の下っ端が転がり出てきた。

オニコは、静かに大太刀を引き抜くと稲妻の様なスピードで接近する。ちなみに、オニコが覚醒した雷の力は、稲妻の様なスピードと電撃の様なパワーが肝になっている。超高速で近づいて、超火力で敵を倒すのが今のスタイルになっている。そして前回使った、彼女の必殺技と言えるのが雷迅剣である。スピードとパワーの両方が稲妻を纏う事で強化された斬撃である。しかし、滅多に使うことがないので、使った時はそれ相応の時だという合図になっていた。今回は、転がり出てきた敵に一太刀浴びせた後に、噛み付いて血を抜き取るスタンダードスタイルで済ませたのだった。

 オニコが倒して血を抜いた後は、オカルト研究会の出番になる。蚊人(ぶんじん)の持ち物や正体、体の構造などを調べてメモしたり、写真を撮って記録したりする。彼らの調査によると、蚊人(ぶんじん)は、腕から延びる極太の針が武器兼吸血器官になっているようだ。そして、その特徴以外は人間と大差がない。最近盛弥が、沙月を通して知るようになった世間に出回らないニュースに、不可解な殺人という事件が増えてきた。思えば、人間と大差のない彼らが針を隠した状態で世間に紛れ込むと、人間は疑いようがなくなる。安心しきった人間に不意打ちで針を刺せば、いとも簡単に血を抜くことができる。彼らは存在こそ表に出したが、実際の活動自体はそうやって陰ながら行っているのかもしれない。そんなことを考えていると、声を掛けられた。

「高平君。ちょっといいかな?」

声をかけてきたのは、常長である。彼は、後輩の今田と奥野と共に蚊人(ぶんじん)の死体を調査していたのだが、何かを発見したようだ。

「これは何だと思う?」

そう言って差し出すのは、トランシーバー風の通信機器のようなものだった。盛弥が、返しに迷っていると前方から聞いたことのある声が聞こえてきた。

「あらあら、それを見つけてしまったのね?」

盛弥が声のした方向へ振り向くと、蚊人(ぶんじん)幹部のクザスが炎を纏って立っていた。

「ふふっ、言ったでしょ?手を引きなさいって!」

そう言って、炎の弾丸を手から放つ。ちょうど、盛弥とオニコの間に放った為、回避によって分断されてしまった。クザスは盛弥に狙いを定めて、炎弾を放とうとする。オニコが、例のスピードで盛弥の前に立つ。離れたところで、攻防に気付いた眞利と沙月が、スリングショットからゴム弾を発射する。完全にクザスの意識外からの攻撃は、クザスの周りの炎で防がれるも、意識を逸らすのには十分だった。邪魔されて少しイラッとしたクザスは眞利と沙月目掛けて、高速の炎弾を放つ。その時、盛弥が炎弾に突っ込み、オニコがローブのない姿で大太刀に雷の力を込め、クザスに斬りかかる。大太刀がクザスに迫るが、何か硬いものに阻まれて届くことはなかった。

「届かない…?」

クザスが背中から出した4本極太針によって、現在の最大火力の斬撃が防がれたのだ。オニコの衝撃はとてつもなく大きかった。呆気に取られているオニコを、クザスの蹴りが捕らえようとする。しかし、オニコが飛ばされることはなかった。オニコが目を開けると、盛弥がローブを手に蹴りを受け止めている。斬りかかる前に盛弥は、オニコにこう言った。

「オニコ、ローブ借りるぞ。」

ローブは防御障壁になる。ローブを手に炎弾に突っ込み、無効化する間にオニコは斬りかかった。そして今、クザスの蹴りを受け止めている。盛弥は左手をローブから離し、後ろに差し出して魔力を集中させる。オニコは、ローブの効果にホッとしながら、盛弥の左腕を握って魔力の流れを補助する。そして、盛弥の手には竹刀が投影された。盛弥は、何が出てくるか分からなかったが、握り覚えのある感触を手にして笑みが溢れた。オニコの手が離れたのを確認すると、竹刀に魔力を込めて全力で振り抜く。

「うおおおおー!」

竹刀が竹の乾いた音を響かせてクザスの首を打ち付けると、ダメージを受けたクザスがよろけながら後ろに下がり、苦笑いした。

「人間で私に攻撃を当てたのは初めてよ。意外とやるじゃない。今日は出直すわ。」

そう言うと、火の玉を残して消えてしまった。

お読みいただきありがとうございます。

今回は、新キャラを結構出してみました。彼らが今後、どのように活躍するのかお楽しみください。

宜しければ、SNS等で情報展開していただけると助かりますので、よろしくお願いします。

今後ともお付き合いの程、よろしくお願いします。

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