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求血記  作者: 香双狐
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第七話 外出対策

投影魔法の訓練をしていると、蚊人(ぶんじん)幹部のクザスと接触した盛弥とオニコ。そのことをオカルト研究会で話すと、期せずしてオカルト研究会の協力を得られることになる。そんな中、眞利がオニコの為にローブを作る。昼間の外出用にと作られたのだが、実際に外出したオニコの反応は微妙な感じであった。

 午前9時。盛弥は、大学へ向けて家を出た。しかし、いつも通りの出発ではなかった。

「セーヤ、ほんとに行くの?」

そう、オニコが一緒なのだ。発端は、早朝の外出実験にあった。

 時刻は午前4時。太陽が昇り始めた時間である。昨夜、眞利がオニコのために仕立てた外出用の全身ローブの効果の実験をするために、盛弥のアパートの前の道路に3人で出ていた。

「おっ、そろそろ太陽が昇るよ!オニコちゃん、準備はいい?」

「うん、でも怖い・・・。」

ローブの効果に興味津々な作者の眞利と、いざ外に出るとなると乗り気でないオニコのテンションが対比されている。盛弥は、万が一のためにオニコに寄り添っていた。東の空がほんのり赤くなりはじめ、丸い太陽が徐々に姿を現し始める。ローブのフードは少し大きめに作られていて、顔を覆い隠せるようになっていたのだが、オニコは不安が残るのか盛弥に抱き着いて顔を押し付けたままだった。怖さからか、少し震えているオニコを優しく抱きしめながら、オニコの体に異変がないか観察する。結果は、上々だった。吸血鬼は、日光に当たると灰になるとされているが、オニコにそんな異変は見られなかった。

「どう?大丈夫そうかな?」

「そうだな。あとはオニコの感じてる恐怖を払拭できるかだな。」

「じゃあ今日、学校に連れてきたら?学内も標的にされてるかもしれないし、オニコちゃんなら何かわかるかも?」

「そうだな。大丈夫そうなら連れてってみる。」

こうして、オニコの外出デビューが決定した。

 しかし、出発の時間が近づいてくるとオニコがぐずり始めた。何とかローブは着てくれたものの、外に出ようとしない。

「なあオニコ。今、何が怖いんだ?」

盛弥は、彼女とじっくり向き合うことにした。朝の実験で、ローブの効果は実証済み。あとあるとすれば、光が目に入るぐらいだが。返答を待っていると、オニコがゆっくり答え始めた。

「このローブは、大丈夫。それは分かってる。でも、明るいのが怖い・・・。」

大方、盛弥の予想通りだった。今まで、暗い室内にいたのだ。いきなり外の明るさに慣れろと言っても無理だと思った。盛弥は、オニコにできるだけ優しく語り掛けた。

「分かった、無理させてごめんな。でも、学内を調べてほしいのは、本当なんだ。とりあえず、今日は家にいてくれ。お前が外出できるような対策を考えとくよ。」

オニコは静かに頷くと、「行ってらっしゃい。」と笑顔で送り出してくれた。

 大学に着いた盛弥は、恭平と一緒に食堂へ行き、講義中に出された課題をこなしていた。

「なあ盛弥、お前最近岡ちゃんとも仲いいよな?仲野ちゃんだけじゃ物足りなくなったか?」

課題をやりながら、恭平がいじってくる。

「バカ、んな訳ねえだろ。変なこと言ってないで、ちゃんとやれよな。また単位落とすぞ。」

盛弥は強めに言い返しつつも、恭平が去年別の科目で単位を落としたことをいじり返す。

「今年はちゃんと取るよ。ってか、あれは課題じゃねーよ。テストができなかったんだ。」

どっちにしても、落としたことに変わりはないのだが。そんなこんなで賑やかにしていると、眞利と沙月がやってきた。

「おっはー。2人とも早いねーって、それ明日までの課題だよね?ちょっと見せてくれない?」

眞利は全然手が付けれていないらしく、4人であーだこーだ言いながら片付けにかかった。それから1時間半程経つと、3限目の講義の予鈴が鳴る。

「おっと、こんな時間か。そろそろ行こうぜ。」

恭平がそう言って荷物をまとめ始める。

「あ、ごめん。私トイレ寄ってくから先に行ってて。」

マリがそう言ってトイレに発つ。盛弥は、オニコの事を一応相談しようと後を追った。トイレから出てきた眞利を捕まえて話しかける。

「眞利、ちょっと相談があるんだけどさ。」

「オニコちゃんの事?何かあったの?」

眞利は、オニコがいない事に触れないだけで、気にはしていたようだ。

「今日は嫌そうだったからとりあえず置いてきた。ローブの方は大丈夫そうなんだけどさ、明るいのがダメみたいでさ。サングラス的なのを掛ければ、大丈夫かな?」

「そうだねー。サングラスかぁ。よし、帰りに見に行こう。今日って4限で終わりだよね?そのあと眼鏡屋さん行こう。」

そうして、放課後の予定が決まった。

 授業が終わると、ついてきた沙月と恭平を含めた4人で眼鏡屋に向かった。

「あれ?お前って、視力悪いっけ?」

眼鏡屋に行くと聞いた恭平が聞いてきた。盛弥は、いつも裸眼なので視力が悪いわけではない。

「だから、サングラスだって。度無しの。」

「何でまた?お前、通学は電車だろ?運転するならまだしも、原付すらねえじゃん。」

なんともごもっともな指摘だった。恭平は、ごく普通に疑問を口にしただけの様な顔をしている。そして何も答えず、虚を疲れたような顔の盛弥達を見ている。

「あれっ?俺、なんか言った?」

「いや、悪りぃ。そうだったな。実は、ん?」

盛弥が話そうとすると、眞利が後ろから盛弥の肩に手を置いて止める。盛弥が振り向くと、真剣な眼差しで首を横に振る。盛弥は、顔でバレるぞと思いながらも、恭平に向き直る。

「実は、今度バイクでもやろうかと思ってな。それでだよ。」

恭平が「へぇー」と言って、何か言おうとすると、後ろから今度は沙月が遮った。

「狩野君、眞利と高原君、今からお買い物デートらしいからさ、邪魔しちゃ悪いし今からカラオケとか行こうよ。」

どうやら眞利が、恭平を遠ざける為に沙月に頼んだようだ。沙月は、あまり陽キャ的な性格ではないが、眞利の為に頑張ってくれているようだ。

「お、おう。そうだな。それじゃ仲野ちゃん、岡ちゃん借りるよ。」

「う、うん。さっちゃん、ごめんね。」

眞利のごめんねには、いろいろな意味が込められているように聞こえた。

 割と陽キャな恭平が、沙月を連れて行くという、最初と逆の立場になった2人が行ってしまうと盛弥は、眞利に質問された。

「彼、友達だっけ?どれくらい信用してる?」

「ん?でもまあ、いつも一緒にいるし、それなりには信用してるけど?」

盛弥の答えを聞いた眞利は、少し真剣な顔で盛弥を見るとこう言った。

「まだ確証ないし、強制ってわけでもないんだけどさ。彼、交友関係とか広いでしょ?オニコちゃんの事、あまり言わない方がいいかもしれないと思うな。まだ、伝えてないよね?」

「まあ、言ってはないけど・・・オニコの事って、あんまし言わない方がいいの?」

「うん。かもしれない。吸血鬼って言っても、信じない人の方が多いけど、昨日の件みたいに聞く人が聞いたら、まずいことになるかもしれない。だから、あまり交友関係の広い人には言わない方がいいかも。」

眞利の言っていることは、至極もっともだった。オニコの事が蚊人(ぶんじん)に聞かれて、もし盛弥の家の情報とかが知れてしまったら、まずいどころの話ではなくなってしまう。盛弥が、もう少し気を引き締めようと決意した時、2人は目的の眼鏡屋に着いた。

「よし、到着。オニコちゃんのは私が可愛いやつ選んどくから、盛弥は自分の選んだら?」

盛弥が「何で?」という顔をしていると、デコピンされた。

「この鈍感。さっき、狩野君に自分でなんて言ったの?」

「あ、そっか。自分のないとおかしくなるか。」

盛弥がやっとこさ気付くと、眞利は「しょうがないなあ」というため息をついて店に入っていった。盛弥が自分のサングラスを選んでいると、眞利が「これどう?」と言って一本持ってきた。彼女が持ってきたものは、割とスマートな形状で、無駄のなさを感じさせた。言うなれば、インテリ銀縁眼鏡のつるとブリッジが広いやつと言った所だろうか。

「あんまり可愛くは無いんだけど、っぽいかなと思って。」

「そうだね。オニコっぽい。」

そのサングラスと、盛弥用にティアドロップタイプものを購入した。盛弥用は、試しにかけた時に眞利に大爆笑されたのだが。帰宅後オニコに見せると、自分用のやつでカッコイイと喜んでくれた一方、盛弥の物は微妙な反応しかしてくれなかった。

お読みいただきありがとうございます!

もし宜しければ、SNS等で情報拡散していただけると助かります。また、完結済みの連載小説やその続編短編小説なども掲載中なので、合わせてお楽しみください。

今後ともお付き合いの程よろしくお願いします。

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