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求血記  作者: 香双狐
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第五話 盛弥の対抗策

人間に成り代わって文明を作ろうとする亜人種の蚊人(ぶんじん)。人間の血を抜き取って、命を奪っていく彼らに目を付けた盛弥とオニコの元に、眞利から襲われていると連絡が入る。駆け付けて、強敵にボコボコにされながらも、力に目覚めて倒しすことができたオニコはボロボロだった。帰宅後に、助けた眞利と共に、結構な量の血を抜かれた盛弥は、戦うための提案を受ける。その内容とは・・・?

 気絶したオニコを抱えた盛弥は、蚊人(ぶんじん)から救出した眞利と共に、急いで帰宅した。全身傷だらけのオニコは、無数の傷口から血を流しながら、ベッドで静かに眠っている。吸血鬼が血を流すとどうなるのだろうか?今まで吸収した血液が流れ出てしまうのだろうか。などと、そんなことを考えながらオニコはこの先どうなってしまうのかと気にしていると、いつの間にかボーっとしていたようだ。オニコの手当てをしてくれていた眞利に一括されてしまった。

「盛弥!しっかりして。オニコちゃんの手当て、終わったよ。これからどうするの?」

「そうだな。とりあえず、オニコが目覚めないとどうしようもないな。ていうか眞利、お前は大丈夫なのか?」

「まあ、襲われる前に盛弥が助けてくれたから、大丈夫よ。その、ありがと。」

顔を赤らめながらお礼を言っている眞利だが、盛弥を見た時の泣き顔を忘れてはいない盛弥だった。あの時の眞利は、いつものツンテイストが入っている性格ではなく、どちらかというとデレが入っている感じだった。とても新鮮で可愛かったのだが、それを伝えると起こりそうなのでやめておく。

「そっか。とりあえず、また襲われたりしたら大変だから、今日は泊って行けよ。狭いけど、それなりの寝心地は保証してやってもいいぜ。」

「そう?じゃあお言葉に甘えるけど、1つだけお願い。傍にいて。」

意外にも添い寝を要求してきた眞利は、顔こそ真っ赤だがしっかりと盛弥を見つめていた。

「分かったよ。傍にいてやるから、ゆっくり休め。」

「うん、ありがと。」

その夜は、珍しく甘えてきた彼女に抱き着かれたまま、オニコの事を心配をしながら眠りにつく盛弥だった。

 翌朝目覚めた盛弥は、とてつもないだるさに襲われていた。原因は恐らく、盛弥の上に馬乗りになっている吸血鬼の少女であろうが。

「おはようセーヤ。血を結構もらったから、今日は動けないかも。」

言葉通り、盛弥からかなり血を抜いたであろうオニコは、傷も塞がり元気そうな笑顔をしている。その笑顔に一安心したのも束の間、昨夜盛弥に甘えてきた彼女のことが気になった。

「オニコ、眞利はどうした?」

オニコは、黙って盛弥の右手を指さす。盛弥が何とか首をそちらへ向けると、苦笑いの眞利が盛弥と同じように横になって手を振っていた。

「眞利、大丈夫?」

「うん、オニコちゃん曰く盛弥より抜いてないらしいよ。」

どうやら、致死量までは抜かれていないらしい。盛弥は、眞利の返事を聞いて安心すると、もう一度オニコを見るとこう言った。

「オニコ。今日はご飯頼むな。」

「うん、任せて!」

オニコは元気のいい返事をすると、盛弥の頬にキスをしてキッチンへ向かった。突然の出来事に驚いていると、隣から釘が飛んでくる。

「せぇーいーやぁー?動けてたらただじゃおかないところだけど、今回は動けるようになってからのキス予約で勘弁してあげる。」

予想とは少し違う釘が飛んできたことに、肩透かし的なものを感じた盛弥だった。しかしその日の夕方、依然として動けないままの盛弥だったが、何とか動けるようになった眞利の作った晩御飯を食べさせてもらうという、何とも言えない状況になっていた。

「はい盛弥、口開けて。」

眞利に言われるとおりに口を開けると、スプーンに乗った野菜スープが口に運ばれる。

「なあ眞利、なんでまた野菜スープなの?俺、3日連続なんだけど。」

「そこはごめんって。割と簡単に作れるんだから、いいでしょ?」

今日この後、昨日の出来事の整理をしようということになった。オニコが少し疲れて休むということで、この恋人同士の時間が発生した。しかし、午前中に宣言された眞利のキスはまだ実行されていなかった。盛弥としては、するなら早いうちにして欲しいのだが、眞利には何か思うことがあるのかもしれないと口にはしないことにした。

「そういえば、眞利はなんで昨日のあんな時間に駅前にいたんだ?」

「あーそれね。さっちゃんの家に遊びに行った帰りだったの。晩御飯とか2人で食べて色々話したり、ゲームしてたりしてたら遅くなっちゃって。蚊人(ぶんじん)のニュースは、スマホで見てたから知ってたんだけど、まさか襲われるとは思ってなかったの。そしたら駅前で、たくさんの人が倒れてるのを見つけたから咄嗟に隠れたんだけど、人間を見つけるのが得意みたいですぐ見つかっちゃうから、逃げながら助けを求めたの。」

「そっか。でもなんで俺に助けを求めたんだ?」

「だって、オニコちゃんいるじゃん。血を得るヒントになればなと思って。」

「そういう事だったのか。ありがとな。」

最初にオニコを紹介した時の言葉とは裏腹に、予想以上に協力的な眞利に驚きながらも素直に嬉しくなった盛弥だった。第三者から見ると、完全に若いカップルがイチャイチャしているだけやり取りをしていると、オニコが目を覚まして寄ってきた。

「おはようセーヤ。体はどう?」

「見ての通り、ようやっと上半身起こせるぐらいだよ。それよりオニコ、昨日のあれは何だったんだ?」

「あれ?」

「背中に剣が出てきたろ?あれだよ。」

「あの剣ね、御屋形様が使ってた剣なんだけど、吸血鬼になってこの時代に来て身体能力とかも上がったみたいで、御屋形様が力を貸してくれたんだと思う。一応今でも出せるよ、ほら。」

そう言うと、オニコの背中に昨夜見た大太刀が現れる。ふと疑問に思った盛弥は、大太刀について聞いてみた。

「それって、どうやって出し入れしてんの?」

「盛弥から貰ってる魔力かな?」

魔力。その唐突に出てきたファンタジーでしか聞かない単語に、疑問符しか浮かばない盛弥と眞利だったが、2人ともそういうものとして飲み込んだ。オニコの説明によると、人間から血を吸うと血に宿っている魔力が使えるようになるらしい。普通の人間には無理だが、吸血鬼のみならず魔物や妖怪といった類の種族は大抵できるらしい。また大太刀そのものだが、あの有名な平清盛が使っていたとオニコは言う。盛弥の知識では、そんな言い伝えも知らないし確証もない。オニコを信じるのであれば、そうなのであろう。そして、最後に見た稲妻だが、オニコが言うには雷の力に目覚めたらしい。ここまでファンタジー設定が並べられると、改めてオニコが転生してきた事を実感した。

「オニコちゃんの事は大分把握できたかな?敵の方はどう?」

「そうだな。あいつらって、スーツがドレスコードだったりするのか?服装と武器をあれだけ揃えられると、いっそ怖くなってくるし、金めっちゃあるよな。」

盛弥は、思ったことを素直に言ったのだが、思ったより上っ面だけの内容になってしまった。2人ともキョトンとして、そうだね。と言っている。しかし気を取り直したオニコが、やりあった相手について分析を始めた。

「私が倒した男の人は、かなり強かった。体も大きかったし、力も強かった。飛ばされて地面に打ち付けられた時は、死んだと思った。」

「でも、盛弥が倒したのはそこまでじゃなかったよね?盛弥が鉄パイプで殴るだけで卒倒してたし。」

「あれは確かに弱かったな。たまたま脳天に入ったのもあるけど、一撃だったし複数相手もできたからな。」

改めて比べてみると、確かに違いが大きい。個体差によるものなのか、はたまたオニコが相手をしたのが幹部で、盛弥が倒したのが末端構成員的な感じだったのであろうか。そして、彼らが持っていた極太針。実際に見たわけではないが、あれで襲った人間の血を抜き取るのだろう。そんな感じで話し合っていると、ふとオニコが盛弥に質問してきた。

「セーヤ、剣とか持ってるの?」

「いや。確かに剣道はやってたし、体は動くだろうけど、剣は持ってない。実際に持ってたら法律違反だしな。」

盛弥がそう答えると、オニコは、だったらと言ってある提案をしてきた。

「だったら、練習してみたら?投影魔法。」

「投影魔法?」

「そう、転生してからの知識にあったんだけどね、思い描いた武器を実際に出現させる魔法があるらしいの。だから、盛弥が使えるようになれば戦えるかと思って。」

「それはそうだけど、使えるようになるのか?人間は使えないんじゃ?」

「盛弥は私が血を吸ってるから、私の影響で使えると思う。」

いや、使えるんかい!というツッコミを心の中でするも、盛弥の中に少しだけある中二病な部分が疼くのを感じた。

「よし、練習してみるか。」

気付くとそう言っていた盛弥は、眞利にため息をつかれながらも、オニコにやり方を教わり始めるのだった。

お読みいただきありがとうございます!

徐々にファンタジー要素が増えてきたなと、書きながら感じていますがどうでしょうか?宜しければ感想等お聞かせ下さい。

また、今後ともお付き合い頂けると嬉しいです。よろしくお願いします!

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