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求血記  作者: 香双狐
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第二十五話 参戦

沙月が眞利に送った写真を頼りに、クザスと沙月の拠点を発見した盛弥達。オニコに探らせた情報をもとに盛弥が張り込んでいると、何やら動きがあった。蚊人(ぶんじん)幹部の2人が、配下を引き連れてやってきたようだ。そのうち、クザスも出てきて問答が始まったが、意味を成さなかったようで戦闘が始まった。眞利達も合流し、しばらく戦況を伺っていた盛弥がついに動く。彼の作戦とはいかに?

 クザスが玄関を開けると、ブゲンとコビャが、強化体と配下を引き連れて陣取っていた。

「やあクザス。ここが君の本部かい?元幹部にしては、随分寂しくなったね。」

開口一番、コビャが挑発してくる。

「別にいいじゃない。それより、何の用かしら?お互い用事は無い筈ではなくて?」

挑発には乗らず、来訪の目的をあえて尋ねてみる。本当は、裏切り者である自分の討伐であると理解している。ここまでの数の戦力を投入しているのだ。聞かずともわかる。しかし、確定はしていない。クザスは、自分の討伐だという確証を得たうえで全力を解放しようと考えた。

「聞かずとも分かるはずだが?おぬしの討伐に決まっているだろう?裏切り者を生かしておくようなリンキ様ではない。」

「そう。それじゃあ、全力で行くわね。」

ブゲンの回答にそう返すと、あらかじめ家の外周に設置しておいた魔法陣を起動し、炎で家の周りを囲む。炎の結界ができたと同時に裏手から沙月が飛び出し、燃えてパニック状態の敵を瞬時に倒していく。表では、急激に数を減らした蚊人(ぶんじん)の生き残りが、外に出てきたクザスを囲う。強化体を裏手に回したブゲンとコビャは、クザスを囲んだ蚊人(ぶんじん)達を指揮する。2人が同時に攻撃を命じると、部下の蚊人(ぶんじん)が一斉にクザスに突撃する。クザスは、ギリギリまで引き付けると炎を残して上に飛び上がる。そのまま上空に姿を現すと、下に向けて炎の塊を放つ。

「フレイムボルト!」

突撃してきた蚊人(ぶんじん)達が一斉に消し炭になる。着地したクザスは、ブゲンとコビャに向き直ると、腰の双

 一方裏手では、沙月が燃えた敵を一掃すると、差し向けられた強化体Bこと美月と強化体Fがやってきた。

「美月先輩・・・。」

オカルト研究会の先輩である今田美月は操られているようで、沙月に目もくれず攻撃を仕掛けてくる。

「くっ・・・!」

左右からくる攻撃を飛び上がって回避する。背中の刀を引き抜いて炎を付与し、落下と共に迷いを振り切るように振り下ろす。しかし、相手も強化体なのでそう簡単には当たらない。攻撃を踏みとどまると、落下してきた沙月に、斬撃と打撃を繰り出す。沙月は、斬撃を受け太刀するも、背中に強烈なパンチを受けて美月ごと飛ばされる。木に打ち付けられた美月がクッションになり、そこまでダメージは無かったが、美月は気絶してしまった。沙月は、強化体Fと向き合うと、刀を握りなおして歩み寄る。

 ここまでの流れを見守っていた盛弥達だが、ついに盛弥が動いた。

「オニコ。あの幹部達、頼めるか?」

オニコは、拳を握りしめて覚悟を決めると頷いた。

「まずは奇襲だ。誰かの動きを止めれればベスト。後は任せる。」

続いて眞利に指示を出す。

「眞利は、遊馬と一緒に家の敷地内から屋根に上がって欲しい。遠距離からの援護が欲しい。」

「うん。いいけど、寄られたらどうする?何もできないよ?」

そういう眞利に、盛弥は投影したピストルを渡す。

「速射タイプの銃。これ使ってみて。」

眞利は、頷くとピストルを受け取る。盛弥は、続いて奥野の方を向く。

「遊馬は、眞利の位置どりをサポートしたら、俺のいる裏手に来て欲しい。恐らく、強化体の相手だ。」

盛弥は、あくまで強化体の解放を優先する事を全員に伝えた。そして、オニコは姿を消し、眞利と奥野は正面突破、盛弥は裏手へと走り出した。

 オニコは、姿を消したまま幹部同士の戦場へ接近する。クザスがちょうど、コビャとブゲンに攻撃しようとしていた。双剣を手にしたクザスは、炎を纏わせて斬撃を強化している。一方コビャとブゲンは、ブゲンが岩で盾を作り、コビャがその後ろから爪を伸ばして攻撃している。蚊人(ぶんじん)には珍しい共闘態勢だ。この中で、オニコが目をつけたのはコビャだ。クザスと違い、防御に意識を割かなくても良いコビャは、奇襲でつけ入る隙があった。オニコは、姿を消したままコビャの後ろに来ると、一瞬姿を現し攻撃することを繰り返した。この奇襲に動きが止まったのは、オニコの姿を視認できたクザスだった。

「あれは、確か…フッ、面白いじゃない。」

「な、何?どうなっているんだ?」

ブゲンとコビャは、攻撃されている事以外は分からず、ただただ傷を受けるしかなかった。クザスは、フッと笑うとブゲンに斬りかかった。

 表での戦闘音の変化を感じた盛弥は、オニコが到着した事を察する。裏手に回った彼は、屋根が見える木の上に陣取り、眞利が現れたのを合図にしかけるつもりでいる。

「姿が見えないと思ったらやっぱりな。ここは、強化体の戦場ってことか。」

盛弥のいる場所は、沙月達の戦況が分かる場所でもあるので、観察してみる。すると、強化体となった沙月と見慣れないゆるキャラが戦っており、後方で強化体となった今田が伸びていた。しかし沙月の手数が少なく、守りに徹しているように見える。強化体であるならば、実力は互角のはずだ。ゆるキャラの方が強いとはあまり考えられない。

「だとすると・・・。」

沙月に意思があると考えた盛弥は、沙月の援護をしてみようと考えた。その時、屋根の上に眞利が現れたのを確認した。盛弥は右手に片手剣、左手にハンドガンを投影すると、木から飛び降りてゆるキャラに向けて銃から魔力を射出した。ちょうど2人の間合いが開いたタイミングで、体制の崩れたゆるキャラに体当たりをした盛弥は、タイミングよく飛び出してきた奥野と背中合わせで沙月と対峙する。

「遊馬。やれるか?」

「・・・やります。俺が、美月さんを助けます!」

決意したように言い切った奥野の言葉にフッと笑った盛弥は、任せたと言い残して沙月に向かっていった。

 眞利は、奥野と共に家の玄関から正面突破すると、奥野を裏手に回らせ屋根に飛び上がった。屋根からは、家の表と裏の戦況がよく見える。

「まずは表かな。」

そう言うと、スリングショットのゴムを引き絞りクザスに照準を定めた。しかし、オニコの動きで白虎枠と思われる幹部に狙いを移すと、オニコの奇襲の一撃に合わせて炎の弾丸を放つ。状況の分からないままダブルパンチを受けたコビャは、ダメージを受けて距離を取る。

「チッ!邪魔がうるさいな!」

コビャが視線を移動させると、クザスとブゲンが切り結んでいる。屋根の上の狙撃手にターゲットを定めると、跳躍して屋根に飛び乗る。爪を伸ばして駆け寄ると、相手がピストルを出してくる。

「遅いね。」

そう呟いて斬りかかろうとすると、ピストルから魔力の塊が連続で放たれる。あまりにも数の多い弾数に脚が止まる。その時、遅れて上がってきたオニコが背後に立ち、退路をふさがれる。面白くなってきたと不敵な笑みを浮かべると、眞利に向かって一気に距離を詰める。ここまで寄れば何もできまいと、爪を×印に上から切りつけると、手ごたえを伴って下まで降りた右手と異なり、左手が途中で止まる。何事かと目を移すと、眞利が左手のスリングショットを突き出して爪を止めている。腹部に傷を負い、痛みを堪えながら右手のピストルをコビャに向けて放つ。それと同時に、後ろから稲妻の気配を感じる。

稲妻強斬撃(ライトニングパワー)!」

火炎射出(ブレイズショット)!」

コビャは、前からの銃撃と後ろからの斬撃に挟まれて大ダメージを受ける。たまらず離脱するが、負った傷は深く復帰できそうにない。そんなコビャにとどめを刺すべく、オニコが瞬時に距離を詰め、犬歯を光らせて首筋に噛みつき血を抜き取る。コビャは絶命し、消え果ててしまった。

お読みいただきありがとうございます。

2022年最初の更新です。皆様、あけましておめでとうございます。今年も、多くの方に読んでいただけたらと思って更新を続けていきますので、もしよろしければ評価や感想、ブクマ等頂けると嬉しいです。

それでは、今後ともよろしくお願いします。

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