タイの聖女トンチャイ
これは俺が未だ大学生だった頃の話。
当時の俺は活発な青年で、大学の単位を取り終えた後はリュックサック一つで友人数人と海外を旅していた。
そして四カ国目に訪れた国タイで、運命的な出会いを果たす事となる。
大学生の貧乏旅行あるあるだと思が、遠くへ行く事自体が目的で目的地に付いても遊ぶ金銭的余裕が無い。→思うが
其処で俺達は僅かな余剰金を集め、ジャンケンで勝った一人が総取りして遊ぶという掛けをした。
そして俺が運良く勝利、しかし遊ぶと言っても時刻は深夜で店は空いていない。
そうなれば残る選択肢は一つ、デリヘルだ。
俺はホテルの自動ドアに貼り付けられていた電話番号を見た。
皆から集めたと言え大した額では無い、俺は一番安い番号に掛けた。
数コールで相手が出て、下手な英語で要望と部屋番を教えると数分で入り口のドアが叩かれた。
ドアを開けると其処には二度見する程の美女。
一番安い番号とは思えない。
俺はビビって震える身体を押さえ、室内に招き少し話しをした。→抑え…かな?
彼女の名前はトンチャイと言うらしい、英語が堪能で俺の詰まらない話をニコニコしながら聞いてくれた。
その後、暑い夜を越えた時には既に俺は彼女の虜であった。
そしてベッドの上で彼女に誓う。
「俺は今金が無いから君を連れて帰れない。だけど五年後必ず迎えに来るから、その時はこんな仕事辞めて結婚して欲しい」
彼女が嬉しそうに頷いたのを今でも鮮明に覚えている。
そして五年が過ぎた今、俺は再びタイの地に立った。
その後就職して余裕が出来た俺は、約束通りトンチャイを迎えに来たのだった。
「この町のトンチャイという売春を行っていた女性を探しているんだ。俺のフィアンセに成る女性さ、何処に居るのか知らないかい?」
俺は通訳経由で現地ガイドに尋ねた。
するとガイドは訝しげな表情で聞き直してきた。
「本当に女性ですか?」
その質問に俺は間違い無いと答えた。
するとガイドは途切れ途切れに何か言った。
「おい、彼は何を言っているんだ?トンチャイの居場所を知っているのか??」
俺は通訳に詰め寄る。
しかし通訳の男も言い辛いそうに口をモゴモゴさせている。
もしやトンチャイの身に何かあったのか!?
俺は不安に成り、どんな情報でも良いから教えろと口調を荒くした。
すると、通訳が驚くべき事を口にした。
「彼が言うには、、、トンチャイは男性名詞らしいです」
読んで頂き有り難う御座います。
私は普段から毎日投稿を続けており、その息抜きにとこの作品を執筆いたしました。
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