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まだ見てくれてる人いるかな?

一体どれだけの時間が経ったのだろう。

俺は、意識が覚醒する前の夢と現実の様な真っ白な不思議な部屋に佇んでいた。

部屋は6畳ぐらいの大きさだが全く圧迫感は感じない。

そして周りには小さな丸い、手で触れてしまったら消えてしまいそうな光が浮かんでいる。

俺はその光のひとつに近づいて壊してしまわないように覗き込んだ。

するとそこには懐かしい、でももう戻れない、そんな光景が映し出されていた

それは、小さい頃に親父がガレージに籠ってバイクや車をいじっている光景、ドライブに連れて行ってもらって親の膝の上でハンドルを握っている懐かしい記憶。

そんな光景が浮かんでは消えてゆく。


(...懐かしいな...またこんな風に好きな物を弄って遊んだり、

自由に歩き回ってみたいな...)


しかし、もうそんな事は出来ないのであろう。

この夢の中、もしかしたら走馬灯なのかもしれないが、この場所での身体から力が抜けてゆき、堪えられずにその場に膝を着いた。

ふと、手を見ると指先から光の粒になって消えてゆき半透明になり始めている。


(あぁ、もしかしたら現実の方の身体が死んだのかもな)


俺はその場に横になって、案外冷静な頭でそんな考えを吐き出す。

でも、冷静では無い頭ではこの場所から抜け出す術は無いのか、

夢からは覚めることは出来ないのか。

そして、


「...俺はまだ死なねぇ!こんなよく分かんねえ状態で消えれるかよ...ぜってぇ簡単に消えねえからなァ!...」


掠れた声で、しかしこの場で出せる最大の力を振り絞ってそう呟き自分を奮いたたせ立ち上がる。


(くっ..何でもいい。何だっていいから無いのか...!)


出口を壁伝いに探すが白い様な靄がかった壁には出口らしいものは一切無かった。

だけどそんな事じゃ諦めるつもりは一切なかった。


「出口がない...?なら何とかして壊してやる!絶対に出てやる!」


なにか脱出に使えるものは無いのかと周りを見渡すとさっきまで自分が倒れていた場所になにやらくすんだ銀色のものが落ちているのが目に入る。


(あれは...アイツの車の鍵!...あれでこの壁に穴を空けれれば...!)


ふらふらと鍵の元まで行き、消えかけの右手で鍵を拾い上げる。

そして、また覚束のない足取りで壁の元に戻り...鍵を壁に振り下ろした。


(この..!ぶっ ま っ!ぜっ え消え ...!)


思考が全く回らなくなってきていた、だがそれでも鍵を振るい続ける。

すると最初は全く傷のなかった壁に蜘蛛の巣状のヒビがピキピキと音を立て広がり始めていた。


(あともう し!!出 ぞ!)


そして何度目か鍵を壁に突き立てると、パリン という意外なほど軽い、ガラスの割れるような音とともに壁に穴が空き、そこに俺は吸い込まれて、意識もそこで手放した。









※※※※※※※※※※









「死ぬぅぅぅぅぅぅ...っあぁ」


周りにあった物を蹴ったくり身体をそこら中にぶつけながら飛び起きた俺は冷や汗を拭い、息を整えて痛む体を押さえながら、久々に見た夢の内容を思い浮かべようとするが、たった今見ていたのにド忘れしたのか全く思い出せなかった。


(あれ...なんかめっちゃ怖い夢を見たような気がするんだけどな...ダメだ。全然思い出せない。)


取り敢えず、思い出せないものは仕方ないとモヤモヤした気持ちを仕舞い込み、一体何に体をぶつけたのかを確かめようと周りを見ると目の前には、友人に手伝わされて付けたはずの、イタリア製で握る部分が木でできているステアリング、埃が積もって白っぽくなっているダッシュボード、開けっ放しの灰皿の中身は足元に散らばってしまっている。


「うわぁーやらかした...」


そう言ってばらまかれた吸殻を拾い集めようと手を伸ばす...が、考えてみればなんで車の中で寝ていたのだろうと、ふと手を止める。


(昨日って何してたっけ?...確か台風で家に居るのは危ないと思って...町の方へ下ろうとしてて...)


そしてコウジの顔からサーと血の気が引き昨日起きたことを確認する様に口に出して言いだす。


「確か、急に道が崩れて、どうにもならなくなったんだよな。

それでアイツを車から降ろしたんだけど、俺は降りれなくて車ごと崖下に...」


コウジは生きている事に安堵しながらも、心配してるであろう友人にスマホで連絡を入れようとする。


(あれ、圏外になってるし...まあ、あの台風だしな。)


連絡が取れないことには仕方が無い。俺は、周りの様子を確認する為に先っから曇ってしまって見えなかったフロントガラスをワイパーで見えるようにする。

レバーを下に下げるとワイパーが動き出し、少しやれたゴムがフロントガラスの表面に付いた水滴を扇状に弾く。


そして俺はそこに写った光景に目を疑った。


フロントガラスの向こう側に何故か大草原が広がっていたのだ。

例えるなら、少し古いパソコンのホーム画面のような、瑞々しい、元気に地に根を張る青々とした草の草原だ。


空も雲ひとつない絶好のピクニック日和だし昨日の台風なんて無かったかのようだった。

そう。全くなかったのだ。草が風で押し倒されて寝ている様子もない。何処からか飛んできた木の枝やトタンなんかも落ちていない。


そもそもコウジはなんで大草原のど真ん中に居るのかすら分からなかった。


コウジは目を擦り、それでもなお目の前には草原が広がっているのを見ると今度は車ワイパーレバーを手前に引きフロントガラスを洗い出した。

ウィーンというモーターの音とともに洗浄液がノズルから吹き出しそれをワイパーが弾いてゆくが目の前の光景は、当たり前だが消えない。


(え?何処ここ?草原?なんで草原?えぇ?あれか?天国ってやつか?死んだのか俺?えぇ?)


コウジは混乱している。


(とりあえず一服して落ち着こう。こんな状況で取り乱しても何にもならねえよな。)


コウジは着ているジャケットのポケットから愛飲のわかばを取り出しコンビニで買ってきたフリント式のピンクのライターで1本火をつけた。


火をつけた煙草を咥えたまま車から降り草原に足をつける。

そして煙草をスーっと吸い込み、肺の奥まで染み渡らせてからフゥーと紫煙を吐き出して周りをぐるりと見渡す。


「見覚えねえよな...ここどこなんだよ。日本じゃねえだろ。」


こんな見渡す限りの大草原なんてコウジの地元にはもちろん無い。

と言うよりも日本中探しても、360度どこを見ても遠くに地平線が見える場所なんて無いだろう。


そして極めつけは、


「...すっげえでっけえトカゲが飛んでる...えっ待って太陽2つある...大きいのと小さいの...えぇ?」


コウジは周りが急に暗くなったから雨雲かと思い、上を見上げたのだがとんでもなく大きい...ジャンボジェット機を2周りぐらい大きくしたぐらいのトカゲがコウジの頭上を飛んでいた。


ついでに太陽がふたつあるのも見えたがあまりにもトカゲのインパクトが強く、あれ?ぐらいにしか、今は思わなかった。


大きなトカゲ...ドラゴンは、コウジを一瞥するとグルりと1周旋回しどこかへ飛んで行った。


(...日本じゃないって言うか...地球ですらねえだろこれ!!)





超不定期です!気が向いたら書きます!書きだめなんてしてません!よろしくお願いします! 以上!

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