3)精霊王シルフ
モンちゃんが持ってきたであろう虹色の玉、悪いものではなさそうな雰囲気だったので観察して見ることにした。
『観察不可』
どういうことだろうか。
拾おうと手を触れたその瞬間、目のまえを覆いつくす虹色が放たれた。
く、失敗だったか?
『精霊王シルフをテイムしました』
「ふぁ?」
聞き違いじゃなければ、精霊王と聞こえた。
とんでもないことをしてしまったんじゃないだろうか。
緊張しつつ、光が収まるのを待っていると、宝珠があったあたりに、ものすごい金髪美少女が植物由来の服を着て立っていた。
これはすごい展開だ。
見た感じ金髪美少女は、碧眼で身長は150cmぐらいか?ビスクドールのように整った顔、すらりとした手足、平均的な胸、光ってるからわかりずらいがこの世の純白を集めに集めたようなシミ一つない肌だ、漂白用洗剤のcmに出てもらいたい。
「あなたは?」
透き通るような声だった。
ていうか話せるのか、じゃあここはまず、外モードだ。
「僕はリンだよ、お姉さんは誰?」
「あなたから不信と欺瞞の感情を感じる」
なんだこいつ、感情が読めるのか、じゃあこんなことしても意味ないな。
「不信は、こんな不思議美少女がいきなり現れたら抱くのは当たり前だ。お前、精霊だろ、なんでこんな玉に入って、俺にテイムされてんだよ。」
「美少女?」
なんか純白の肌がちょっとピンクになった。
「、、、いいから答えろ。」
「何もわからない、ずっと暗い場所にいた。明るい光と、温かい感情に引き寄せられて目をあけると、あなたがいた。」
、、、こいつは。
モンちゃんはあんなにわかりやすくて可愛いのに。
「どうせ何かしらテイムしようとしていたんだ、べつに精霊でも構わないが、温かい感情ってのは何だ?俺のことじゃないだろ?」
「あなたのこと、悲しみと絶望に塗りつぶされているけれど、あなたは温かい。」
「何を言うかと思えば、俺は別に悲しみなんかやらは今はもう感じてないし、もとからこういう人間、だ、、、は?」
なぜか俺は目から涙をこぼしていた。
「っっ、とにかくお前が記憶喪失なのはわかった。で、俺にテイムされていいのか?俺はお前を奴隷のように扱うかもしれないぞ?」
「構わない、あなたは私の恩人、だと思う。それに、あなたに興味がある、とても。ので、あなたについていく、ずっと。」
話してる間ずっとピンク色だ。
こいつやばいやつだな、精霊だかなんだか知らないが。
感情が読めるならわかるんだろうが、俺の不信の感情がなくなるのはいつになるだろうな。
「わかった。ならよろしく頼む。感情も読んでくれて構わないぞ。」
あ、一つ忘れていた。
「そういえばお前にも名前はつけられるのか?それともシルフでいいのか?」
「?、名前はほしい、あなたから」
「なら名前は、そうだな、アイリスなんてどうだ?」
『テイムモンスター精霊王シルフの名前が、アイリスと設定されました。』
決まっちゃったよ。
「ありがとう。」
「それでいいならよかったよ、改めてよろしくな、アイリス。」
〜
そう言ってリンは、モンちゃんのところへ戻る。
アイリスは、気が遠くなる程の時間を暗闇の中で過ごしていた記憶しか持っていなかった。
そして初めての光を得て、リンに出会った。
アイリスにとってリンは、言葉通り温かく、懐かしい感情を抱かせる人物。
精霊であるからこそ一瞬で決まってしまう感情、アイリスが抱くリンに対する感情は、まさしく愛情に近いものだった。
アイリスは気づいていた、リンの感情の全てに。
そして、リンの感情の中の不信と取って代わるように新たな感情が芽生え始めていたことにも。
「ありがとう、本当に。」
アイリスは、微笑みながらそう呟いていた。
初投稿なので、アドバイスなど頂けると嬉しいです!