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異世界で百魔夜行の主になる元高校生  作者: 団長
百魔夜行誕生編
13/52

10.5)想うもの


某はかつて、主君と決めた方に使え、戦い、後世へと教える、武士(もののふ)であった。


某にもかつては名前があったのであろうが、今では一切思い出せぬ。


この場所へと来る前までは、誇りを胸に、強くなることだけを追い求め、ひたすらに己の剣技を磨くことに人生を費やし、気づけば剣で某に並ぶ者はいなくなっていた。


だが、この場所へと来てから、全てが変わってしまった。


初めてこの世界の地に足をつけた時、某は自分の意思を持ってはいなかった。


この世界で魔物と言われる存在へとなっており、ただ生きるために有り余る力を振るう暴力の化身となっていたのだ。


ただ、長くこの世界にいると、魔物というものは意思を持つようになるようだ。


某も例外ではなく、意思を持つようになり、徐々に前世の記憶と言うべきか、今の某の状態へと近づいていったのである。


何故こんなことを思い返しているか、もちろん理由がある。


それは、某の意思が徐々に失われつつあることを感じているからだ、最近気づけば目の前に人間の死体があることがある。


これはおそらく精神的な磨耗だろう、長き時を同じ場所で過ごしたが故の体力切れだ。


そう、某はこの場所で幾星霜、永劫の時を過ごしている、のだと思う、、、正直時間の感覚もすでにない。


某にもかつて、この世界に来て守りたいものたちができたのだ。


そしてそのものたちの手によって、この場所へと閉じ込められた。


決して出ることのできない場所。


某はただ、愛していたのだ、そしてもし、ここから出ることができたのなら、あのものたちが生きているのなら、もう一度守ろうと思う。


それのみが、某の生存理由。




〜〜〜〜




「リン!リン!どうしたの!」


アイリスはリンの体を抱き抱え、叫びつづける。


すでにリンは目の焦点も合っておらず、どこか一点を見つめている。


リンの体からは力が抜けていき、血が止まらない。


何が起こってるのかは分からないが、なんとなく、ここままだと取り返しのつかないことになるような気がした。


リンと共にいるのは楽しい、心地がいい、学びたい、愛おしい。


リンの深層心理まで把握できるアイリスにとって、今リンは唯一無二の絶対存在であった。


それが今失われようとしている。


涙が頬を伝うのを感じた。


「リンを失うのは絶対に嫌。」


諦めない。


ただ、どうすればいいかわからない。


「どんな方法でもいい!リンが救えるなら!何か思い出して!」


『スキル:万能創造により、魔法:再生魔法を獲得』


「え?」


何か聞こえた、そして自分の中に力が宿ったのを感じる。


これでリンが助けられる。


「再生!」


よかった、リンの胸の傷がすぐに塞がり始める。


「うっ!?」


急に目眩がした。


理由はわかっている、魔法に自分の中の全ての魔力が一瞬で吸い取られたのだ。


使い始めて0.1秒も経っていない。


「そんな、、、」


魔法というものの記憶もあったわけではないが、リンによって目覚めてから、少し使っただけで魔法の効率的な扱い方は心得ていたつもりだ。


どんな魔法であっても自分の魔力の10分の1も消費することはない自信があった。


だが、この魔法は、、


効率とかそんな問題ではない。


「あ、きらめない、、、」


アイリスはそれでも魔法を使いつづける。


ほんの一瞬後、


『スキル:万能創造により、スキル:魔力増殖を獲得』


その瞬間、体の内から魔力が溢れ出した。


アイリスは必死に魔法を行使する。


そしてその魔力が無くなると、更にそれ以上の魔力が溢れ出す。


リンの体はみるみるうちに元どおりになっていく。


なくなった腕も形を取り戻し、胸の傷も跡形もなく元へと戻っていった。


「はぁ、よかった、体は元に戻った。リン!起きて!リン!」


アドバイスなど頂けると嬉しいです!

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