終焉のプロローグ
お久しぶりです。
頑張って書いていくのでもし良ければ着いて来てくれると助かります。
俺みたいはやつにとって
この世界に希望はなく、夢もなく……ただただ絶望だけがそこにある。
生まれる時にもう少し恵まれた人間だったら、
少しでも親が金持ちだったら、
1000年前の世界なら、
50年後の未来なら、
もしも、もしも俺が愛して貰えたならきっと…………
きっと少しは、ちゃんと生きようって思えた筈だ。
だけどそんな事を気にしてももう意味が無いんだ。
分かってる。
分かってた。
もうどうしようも無いんだって事くらい分かってる。
俺がどんだけこの世界を恨んだところで世界が変わる訳じゃない。
俺がどんだけこの過去を憎んだところで今の暮らしが良くなる訳じゃない。
社会が悪かったのか?
俺が悪かったのか?
そんな事を気にしてももう意味が無いんだ。
だって今日で全部終わるから。
こんな苦しみから解き放たれるから。
もう考えなくてもいい、もう辛い思いをしなくていい、もう……
生きなくてもいい。
「あれ、おかしいな? 目から涙が溢れてくる」
とてもとても幸せな筈なのに、後悔なんてしないと決めた筈なのに………
俺の脳裏にアイツの顔が浮かんできた。
今思えばアイツだけが俺の理解者だったのかもしれない。
親から捨てられ、
親戚からも捨てられ、
友人もいない俺に…………
お前だけは優しくしてくれたんだったな。
アイツは目以外は何処も彼処も真っ白なやつだった。
真っ白な服、真っ白な髪、真っ白な肌…………そして、心も真っ白なやつだった。
最初に会ったのは……そう、小学生の時だったか?
クラスでハブられてる俺に「独りじゃないよ」って、そっと優しく手を差し伸べてくれたんだ。
あの時、どうして俺は手を払い除けてしまったのだろうか?
アイツとあの時仲良くなっていればワンチャンあったかもしれない。
中学になる前にアイツは転校してしまって、俺はそこから延々と独りで生きる事になるんだ。
常日頃からこの目のせいで避けられて、常日頃から嫌われて、そして…………最終的には捨てられるんだ。
生まれつき俺の目は1つしかない。
単眼症、そう呼ばれている病気らしい。
普通は生まれてまもなく死ぬらしいんだが俺の場合は運がよかったか悪かったのか知らないが生き延びた。
子供の頃はまだ良かったんだ…………
俺がもう少し頭が悪ければ違った人生が遅れたのかもしれない。
しかし、俺はどうやら異様に頭脳が発達していたらしい。
生まれて2ヶ月で完全に言語を学習し、
小学生に上がる頃には難解な哲学書を読み漁っていた俺は当然の如く気味悪がられた。
そんな奴に友達なんて出来る訳が無い。
そして、中学卒業と同時に世間体というゴミ以下の理由で俺は親に捨てられた。
ああ、当たり前だ、
当たり前なんだ。
俺だってそうしただろうさ、
誰だってそうする。
それが「正しい」………そうだろ?
俺がこんな事間違ってるなんて言っても何も変わりゃしない。
俺の意見に耳を傾けようなんて酔狂な考えを持った奴は居ない。
だからといって残念でしたで終わるような話でもない。
俺は悪くない、社会のルールを守ってる人々も悪くない。
悪いのは社会……
いや、こんな社会を肯定してる世界か神様か?
どっちでもいいよ、なんでもいい。
結局誰も彼もが他人に罪を擦り付けるんだ。
俺が信用出来る奴なんてもうこの世には居ないから………
そう言えばアイツだけは何故か信頼していた気がする。
誰も信頼しないと決めた俺が、アイツだけは信頼していたんだ。
アイツと次に会ったのは………
俺が捨てられてから2週間くらい経った時か?
アパートから追い出され、ホームレス生活をしていた俺に声を掛けてくれたんだ。
「あれ?×××君? ……こんな所でどうしたの?」
って感じで、小学生の時みたいに俺に語りかけてくれたんだ。
事情を聞いたアイツはそれが嘘かもしれないなんて考えもせず、俺を家に泊めてくれたんだ。
思えば、あのまま俺がホームレスを続けていれば………
いや、よそうか。
過去を僻んでも何も変わらない。
確かに俺が独りぼっちで居たらアイツも独りぼっちだったはずだから、少しでもアイツの役に立てたって思おう。
アイツは俺と同じく誰も友達が居ないらしかった。
どうやら自分達と違うからという俺とほぼ同じ理由でクラスメイトや家族からハブられていたらしい。
白いからなんだよ?
目が赤くて不気味だからなんだよ?
そんな小さな事で他人を拒絶する人類が俺は大っ嫌いだった。
俺みたいに目が1つしかないとかなら分かるよ。
自分でも君が悪いって思う。
だが、アイツは違う。
俺と同じく他者とは違うかもしれないが目も2つちゃんとあるし、腕がないとかそういう訳でもない。
ただ白いだけだ。
なぁ、何がいけないんだ?
なんで、ちょっと違うだけで拒絶されなきゃならない?
テメェら人間は何を考えてるんだ?
他の人間の考えてる事は何一つ分からない。
人間だけじゃない、神様の考えだってそうだ。
なんで、こんなゴミ以下の奴が生きてアイツが死ななきゃならないんだ?
教えてくれよ神様?
どうせ聞いても答えちゃくれない。
だったら直接確かめてやろうじゃないか!
アイツが死んだのは、今からちょうど2日ほど前だ。
テロリストに銃で撃たれて死んだらしい。
訳が分からない。
訳が分からなかった。
なんでアイツがそんな目に会わなくちゃいけないんだ?
アイツが何か悪い事をしたのか?
アイツが何かいけない事をしたのか?
「ふぅ…………」
俺は気持ちを整理して40階建てのビルの屋上に立った。
生きたまま死んだ人に会うことが許されないならば、
このまま生きてても神様が俺の質問に答えてくれないならば、
俺は今日、ここで死ぬ。
誰も読まないから遺書は必要ない。
俺が死んでも誰も悲しまないから悔やむ心配もない。
俺が生きてても誰かが迷惑するだけだ。
だからこれは俺が最後に掛ける迷惑だ。
1歩、また1歩と俺はゆっくりと歩みを進めフェンスの前までやって来た。
下を見ると人々が行き交い今日も下らない社会を回しているのが目に入ってきた。
さて…………逝こうか?
なぁ、次はもっともっと、
俺は勢いを付けてフェンスから身を乗り出した。
体が落下していく少し心地いいとさえ感じる感覚を感じて、やり切ったと思う気持ちが溢れてくる。
きっと……きっとずっと…………
この高さから落ちたら間違いなく即死する。
心配は要らない、安心しろ。
お前を………
西暦2019年5月26日、この日は俺は忘れない。
俺、「如月一」が死んだ日だ。
ブクマ、評価等頂けると励みになります。