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【いしのまほうつかい】~豆粒ファイアしか出せない魔法使いですが、大賢者目指します~   作者: 架け橋 なな
第三章 渦巻く陰謀

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城下町散策

「わぁーー! すごい!」



 門をくぐってすぐ、エレナは目の前の景色に感嘆の声を漏らした。


 きちんと整備された石畳の坂道が、ずっと先まで伸びており、両隣にはオレンジ色の建物がずらりと並んでいる。村とは違い、それは全て三階建てだった。


 そこにある様々なギルドの屋根には看板がぶら下げられており、その下で活気ある呼び込みの声が飛んでいる。


 道行く人は町の者か旅人たち。中には目付きの鋭い兵士たちも混ざっていた。彼らの鎧には、国の象徴である獅子の紋章が刻まれている。



「メルフさん! 先生の所へ行く前に、ギルドを見て回ってもいいですか?」


 瞳をきらきらさせ、エレナは早口で尋ねる。何故かフードを被ったメルフは、もちろんいいですよと快く了承した。



「よし! じゃあ早く行こうぜ!」


 アストラは意気揚々と歩き出し、エレナも小走りで後に続いた。


 二人共、町を散策するのが楽しみで楽しみで仕方がないようだ。



 ミョルニにもらった薬草を売り、銀貨を手にしたエレナは、一番に服を見に行った。


 ギルド内には、刺繍の入ったワンピースや綺麗な色のローブ、レースやフリルの付いたドレスなどたくさんの服が並び、更には帽子、首飾りなどの装飾品まであった。



「きゃー! 何これ、すっごく可愛い!」


 歓喜して子供のようにはしゃぐエレナ。見たことのない素敵な品々に、彼女の興奮は最高潮まで達していた。



「どう? 似合うかな?」


 エレナは満面の笑みを浮かべ、控えめなリボンが胸に付いたワンピースを自身に合わせる。


 アストラは頬を赤らめ


「ま、まあ悪くねぇな」


と顔を背けた。



「いいですね。とてもよく似合っていますよ」


 彼の横で、この上なく自然に称賛の言葉を述べるメルフ。春の日差しのような微笑みを浴びせられ、エレナは嬉しいやら照れ臭いやらで顔が熱くなった。



 次にアストラは剣を見に行った。大剣、長剣、短剣など色んな種類の物が揃っている。


 どれも洗練された造形で、使いやすさと格好良さを併せ持っていた。



 二人はあれもいい、これもいいと、次々に持ってみたり、試着したりしていた。


 見るのはいくらやっても、タダなのである。


 町中のギルドを散々見て回り、彼らは一番手頃な物を一つずつ購入した。村で慎ましい生活をしてきたので、金銭感覚はかなり堅実だ。


 商人たちからすれば、さぞかし迷惑な客であっただろう。去りゆく二人の背中に、もう来てくれるなというたくさんの視線が、痛いほど注がれていた。



 そんなことなど考えもしないエレナは、満足のいく買い物が出来てご機嫌だった。


 三人はギルドが集まる場所を抜け、城下町の中心にある広場にやって来た。


 手には先ほど購入したミートパイが握られている。


 彼らは長椅子へ横並びに座って、疲れた足を休めた。



「メルフさん。あれは何ですか?」


 エレナはパイにかじりつきながら、広場の中央に鎮座している大きな台を指差した。


「罪人に罰を与える所。つまり処刑台ですね」


「え!? どうしてそんな物がここにあるんですか?」


「処刑する様をわざと町の人間に見せるのです。秩序を乱せばお前たちもこうなるぞと、暗に分からせるために。まあ、中には処刑を催しとして楽しんでいる者も、一定数いるようですが」


「ふーん。ここの奴らは悪趣味だな」


「城下町って怖いね……」


 エレナはぞっとして青ざめた。


 仮に自分がここに住んでいたとしても、誰かが処刑されている姿など見たくはない。それが例え、救いようのない悪人であったとしてもだ。



 めざましい発展を遂げ、光輝く城下町。


 その裏に溶け込む恐ろしい闇を、エレナは少しだけ覗き見たような気がした。

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