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第7層『迷う必要は無い』

 

 今日で迷宮主(ダンジョンマスター)として異世界に飛ばされてから1週間。

 アイディアが思い浮かんでは改築し、さらにスライム達の特訓をして過ごしている内に気付いたらもう1週間経ってしまっていた。


 この1週間で1番の変化と言えばスライム達の『分裂増殖』による増殖だろう。

 まず最初にノーマルスライム達が召喚した1日後に『分裂増殖』で倍に増えた。その次の日もノーマルスライム達が『分裂増殖』で倍に増え、3日目も倍に増えた。

 ただ3日目にはレッドスライムとブルースライムも『分裂増殖』で倍に増えたので、種族事に『分裂増殖』の周期は変わってくるのだと思われる。

 4日目もノーマルスライム達は増え、5日目にはノーマルスライムに加えてこはく達アシッドスライムも倍に増えた。

 そして6日目にノーマルスライムは当然としてレッドスライム達とブルースライム達が2度目の『分裂増殖』を果たした。

 そして7日目となる今日で、またノーマルスライム達が倍に増えた。


 この事から、各種族の『分裂増殖』の周期はノーマルスライムが1日周期、レッドスライムとブルースライムが3日周期、アシッドスライムが5日周期であると考えられる。

 わらびの種族であるリジェネスライムはまだわらびが『分裂増殖』を使用しないため頻度は不明。


 ただ、この他はともかくノーマルスライムが常にペースで増えて行くならスライムの個体数がとてつもない事になりそうだが……うちのノーマルスライムの増殖ペースは迷宮種(ダンジョンモンスター)である事辺りが関係してるのかね。


 まぁそれは置いといて、このペースでDPを使わずにスライム達が増えて行くなら、スライム達による物量戦術は時間をかけるだけ強力になっていくだろう。


 さらにこの1週間の訓練によって、増殖で増えた分も含めて全てのスライムが最低でもレベル1の『変形』は取得する事ができた。このスキルはスライム達が戦う上で必ず必要になるスキルだろうと俺は思っているので、全員が習得してくれてよかった。

 ただ『捕食』を習得出来たの数がおよそ半数程のだった。これは多いのか少ないのか分からないが今は半数も取得できれば十分という事にしておこう。


 さらに元から『変形』が得意だったスライムリーダーが新たに『擬態』というスキルを習得した。自身の色などを変えることで風景に溶け込むというスキルだ。

 このスキルの有用性は計り知れないので、他の『変形』を得意とするノーマルスライム達にも習得させようとしたが、まだ難しいようで『擬態』を使えるのは今のところスライムリーダーを含め数匹だけだ。


 信号機ブラザーズはというと、危険度という意味合いではレッドスライムの持つ『熱体』はアシッドスライムの『溶解』に引けを取らないくらいに危険な物だった事が判明した。

 最初はちょっと火傷する程度だったが、レベルが上がるにつれて出せる温度も上がってきており、現在では全力で『熱体』を使用すればアイロンと同程度の温度にはなれるようだ。それでもまだまだ成長途中というのだから底が知れない。


 1度全力で『熱体』を使用中のレッドスライムにブルースライムが『発水』で生み出した水がかかってしまい、部屋中が水蒸気に包まれてしばらくの間何も見えなくなるという事件が発生した事もあった事からもその温度の高さが分かるだろう。


 こはく率いるアシッドスライム達は『溶解』をメインに訓練しつつ、ノーマルスライム達と一緒なって『変形』の取得にも積極的に取り組んでいた。

 『溶解』は、迷宮(ダンジョン)のちょっとした整備の時にも重宝するが、本質はその凶悪な攻撃力である。ただ穴掘りが全く無駄というわけでもなく、アシッドスライム達のSTRが全員上昇していたのだ。

 そして、スライム達は俺よりも全然自身の特性を把握しているのか、こはく代表して自分達が考えた(トラップ)を提案してきた事があった。


 喋る事は出来ないので、身振り身振りでぴょんぷるしたプレゼンでとても癒されのだが、当の提案された(トラップ)は可愛いプレゼンに反して結構えげつない物だった。恐怖と可愛さが綯い交ぜになったあの日の感情を俺はきっと忘れない。


 事実、1度だけ侵入してきた5匹程のゴブリンの群れに、こはく達の考えた(トラップ)だけで圧勝してしまったくらいだ。

 これによってこはく率いるアシッドスライム達は、他のスライム達に先駆けてレベルアップを果たしていた。ステータスの上昇率は微々たるものだったが、“勝てた”という経験こそがこはく達の自信に繋がるだろう。


 ブルースライムは元々戦闘向きな種族では無かったのか、レッドスライム、アシッドスライム達と比べて戦闘力という面では1歩劣る。

 ただし自身の特訓に対するストイックぶりは全員の中で最も高く、スライム達の中で唯一スキルをLv.5の大台に乗せていた。

 今のブルースライムならだいたい10秒程で一般的な浴槽くらいなら満杯に出来る量の水を生み出す事が出来る。


 また、レッドスライムとブルースライムはこはく達アシッドスライムの戦いを見て何か思うところがあったのか、アシッドスライム達よりも『変形』の訓練に積極的だった。

 それ以外のレッドスライム達、ブルースライム達も、最初のレッドスライム、ブルースライムがリーダーとなって各々のスキルを磨いている。


 ただ、この一週間で1番大変だったのは間違いなくリジェネスライムのわらびだっただろう。

 訓練の過程でダメージを受けるスライムも多く(『分裂増殖』で生まれたばかりの個体が特に多かった)、その全てをわらびは『再生』を使って回復させていたのだ。

 そのおかげか、わらびのステータスに『癒す者』という称号が追加されていたのは嬉しい誤算という所だろうか。

 そして一仕事終えた後にぷるるんっ!と満足げに震える姿が可愛すぎて何度悶え死にかけた事か。


 さらに、スライム達の内何匹かが『合体』というスキルを習得した。

 なんでもこのスキルを使用すると同種族間で文字通り合体し、体積を増やす事が出来るようだ。簡単に言えば8匹集まってキングになるアレである。もちろん分裂も可能だ。


 この1週間のスライム達の成長には目を見張る物がある。


 じゃあ俺は何をしていたのかって?バカにしないで欲しい。スライム達の成長過程を見守って『変形』が得意な個体と『捕食』が得意な個体に班分けしたり、アシッドスライム達や『捕食』班の特訓用に小部屋を用意したりしていたんだぞ?


 他にも迷宮核(ダンジョンコア)から得られる情報で周辺情報を調べたりもした。

 そもそも迷宮(ダンジョン)の迷路をこの一週間でさらに発展させたので、決してスライム達の特訓を見て和んでいただけではないのだ!


 というか正直ノーマルスライムの量が多すぎて訓練以前にスライム達の生活スペース確保の為に迷宮(ダンジョン)を拡張していた感もある。

 今ですらノーマルスライムだけで384匹もいるのだ。『分裂増殖』はあくまでスキルである以上、しない事も可能で使用しない事で何かデメリットがある訳では無い。


 なので、一応ある程度のスライム達が生活出来る空間を確保するまでは『分裂増殖』に一時的にストップをかける予定だ。さすがにこれ以上増えられるのは、スライム好きとしては嬉しい限りだが現実的に無理がある。


 そんなこんなで迷宮主(ダンジョンマスター)になってからの1週間を過ごしていた俺だが、ついに今日大きな節目をむかえた。

 我が迷宮(ダンジョン)に初めての人間の侵入者(おきゃくさま)が現れたのだ。


「ついに来たか……」


 訪れたのは侵入者は4人。

 迷宮核(ダンジョンコア)の能力でステータスをさらっと確認した限りレベルも最高で21、最低12レベルと目を向くほど高いという訳では無い。とはいえスライムと比べれば相当な差があるのもまた事実。

 恐らくはゴブリンだかオークだか(迷宮核ダンジョンコアで周辺の森に住み着いてるのは確認済み)の討伐依頼の道中でたまたま立ち寄った冒険者なのだろう。

 ステータスや装備的に見て中堅1歩手前と言った所か。


 え?なんで分かるのかって?この一週間で迷宮核(ダンジョンコア)に与えられた知識からそこら辺の情報は最低限予習済みなんだよ。


 ちなみに迷宮核(ダンジョンコア)における侵入者のステータス確認にはDPを消費しない簡易鑑定とDPを消費する鑑定の2パターンあり、今回使用したのは前者の方だ。

 DPを消費する方なら配下への鑑定の様に全部分かるのだが……DP消費もそこそこな上に鑑定結果が出るまでに時間がかかる。

 今回の様に、迷宮(ダンジョン)に侵入者が来ている場合は一分一秒を争うのでレベルとステータス、そしてスキルが分かる簡易鑑定で十分なのだ。


 さて、話を冒険者達に戻そう。彼等にとっては道中にあったから何気なく訪れただけかもしれない。


 だが、事態は俺に取っては大きなターニングポイントとなる。

 彼等はゴブリンとは違う。俺と同じ“人間”だ。


 そんな彼等に俺は迷宮主(ダンジョンマスター)として間接的にとはいえ手を下す事が出来るのか……


 迷っている暇はない。俺が迷っている間にも冒険者達は通路を見つけて奥へ進むだろう。スライム達も俺の指示待ちだ。

 万が一にもマスタールームが見つかって迷宮核(ダンジョンコア)を破壊されたら俺は死ぬ。

 中途半端に撃退しただけだと彼等はまた訪れるだろう。彼等でなくても調査か何かで人が来るはずだ。それも多分彼等よりも強い冒険者達が。


 そして俺は、俺達はそれを撃退できるだけの準備が整っていない。

 つまり、彼等はここで殺すしかないのだ。


 生きるか死ぬか。殺すか殺されるか。

 覚悟を決めろ。今こそ決断の時だ。



 ……あっ。そう言えば迷宮主(ダンジョンマスター)が死んだらその迷宮(ダンジョン)に生み出された魔物はどうなるんだ?


 教えてコアえもーん。


 なになに……迷宮主(ダンジョンマスター)死亡及び迷宮核(ダンジョンコア)の破壊がなされた場合、その迷宮(ダンジョン)によって生み出された迷宮種(ダンジョンモンスター)は全て死亡(・・)または消滅(・・)いたします。


 ふむふむ……

 死亡と消滅で分かれているのはゴーストやゾンビなどの死霊系の魔物のには『死』という概念はなく、討伐するためには『祓う』必要があるからだろう。


 だがそんな事はどうでもいい。迷宮主(ダンジョンマスター)が死んだらその迷宮(ダンジョン)迷宮種(ダンジョンモンスター)も死ぬ!?


 つまり俺が死んだらスライム達も死んでしまうという事か!?


 なら迷う必要は無い。スライム達が死んでしまうくらいなら……俺は喜んで人類の敵になろう。


「さぁ野郎共(スライム達)ッ!初めての対人間戦だッ!気ぃ引きしめてくぞッ!」

 ぷるッぷるるんッ!×403


 オマケ【現在のスライム達の数】

 リジェネスライム:1匹

 アシッドスライム:10匹

 レッドスライム:4匹

 ブルースライム:4匹

 ノーマルスライム:384匹

 総数:403匹


スライムダンジョン!の方でもアイディアを募集します(スライムの種族や迷宮の罠など)


ぱっとした思い付きでもいいのでなにか思いついたらぜひ!

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