第6層 『この一瞬の閃きを』
たくさんのアイディアありがとうございます!
個人では思いつかなかった様々な種類のスライム達ばかりでありがたいばかりです!
「あぁ……スライム達に囲まれて眠るの最高……!」
目が覚めると全身に寄り添うようにスライム達がまとわりついている。これを天国と言わずしてなんと言うのか……!
「ありがとうみんな。朝から最高の気分だ」
ぷるるんっ×10
そう言えば今は朝なのだろうか?そもそも洞窟の中と認識してから外に1度も出ていないから今が朝なのか夜なのかまるで分からない。
これは近々1度外に出る必要がありそうだな。
「そろそろ迷宮創りを始めていきますか」
1層の拡張とスライム達の召喚、そしてマスタールームの作成のための消費で使用したDP分を差し引いて残りDPは3590。
2層の追加も出来ないことは無いが……さすがにまだ必要無いだろう。
迷宮を創るにしても今はどんな迷宮にしたいか……イメージが全く固まってない状態だ。
この状態で適当に創っていってもなんにもならないだろう。
そもそもの話し俺は別にそこまで好戦的な迷宮を創るつもりは無い。最低限の自衛とスライム天国を楽しめるだけのDPがあればいいんだ。
なら……目指すは迷路の様な迷宮だな。
スライム達は『変形』を鍛えれば小さい隙間からでも簡単に移動が出来るので、スライム用の通路に関しては問題ない。
とりあえずは最初の場所のようなサイズの部屋をいくつか創ってそれを複雑な迷路のように繋げる事にしよう。
繋げる作業はアシッドスライムに頼んでもいいのだがあまりに負担が大きすぎる。
ここはにDPで通路を繋げるかな。迷路状にする都合上こっちの方がやりやすいってのもあるし。
そんな事を考えながら、何とはなしに魔物一覧を見ると、1度召喚した影響なのか4種類のスライムが増えていた。
それぞれの召喚コストは以下の通り。
レッドスライム……10DP
ブルースライム……10DP
アシッドスライム……50DP
リジェネスライム……1000DP
リジェネスライムは『再生』持ちのわらびの種族名。
同じようにレッドスライムは『熱体』持ちの、ブルースライムは『発水』持ちの、そしてアシッドスライムは『溶解』持ちの種族名だ。
こう見るとリジェネスライムが飛び抜けて召喚コスト高いな……さすがわらび、大当たりだったのか。
これは仮説だが、1DPで行えるスライムの召喚はランダムで様々な種族のスライムを召喚できる本当のガチャだったのではないだろうか。
そしてこのガチャで1度召喚したからこそ迷宮核の言う条件というものを満たし、次からはその種族を指定して召喚する事が出来るようになった。
あくまで仮説だが……なんとなくそんな気がしてきた。
そう考えるとリジェネスライムのわらびは本当に超大当たりだったのだろう。本当に来てくれてよかった。
「迷路はこうするとして……あとは罠か」
種類は結構豊富だ。落とし穴や転がる大岩などの物理的な物から魔法陣を利用した魔法的な物まで幅広く存在している。とはいえやはり魔法系の罠はコストが高い。
とりあえず今回は様子見がてらいくつか落とし穴を設置するだけにしておいた。実践しない内からあれこれいじってもあまり大きな効果は得られないだろう。ただでさえ俺は迷宮の初心者なんだ。慎重でダメということは無いだろう。
「迷宮を迷路風にいじくって……」
かれこれ苦戦する事半日。
初期からいる1匹に加え、増員した4匹を合わせた計5匹のアシッドスライムに通路を掘ってもらったり、時にはDPで繋ぎ合わせたりして、ようやく迷路っぽくなった迷宮に鏡也は満足気に頷く。
「アシッドスライム達には本当に助けられてるな」
労うように撫でてやると、アシッドスライム達は嬉しそうにぷるぷるとする。あぁ……とっても癒される。
初日からいるアシッドスライムのスキルレベルこそ上がらなかったものの、今日追加召喚した4匹のアシッドスライムは全員『溶解』のレベルが2に上がっていた。
さらに、昨日もアシッドスライムを手伝っていたノーマルスライムは新たに『捕食』というスキルを身に付けていた。
効果は対象を取り込み捕食する事で回復するというわらびの『再生』とは似て非なる自己回復スキルだ。『溶解』や通常の食事ともまた似て非なる物だが、訓練していけば大きな強みになってくれるだろう。
「そうだな……アシッドスライムも増えたし初日から頑張ってくれてるお前にも名前を付けてやろう」
初日組のアシッドスライムをあぐらを組んだ足の間に乗せて撫でながらそう言うと、アシッドスライムは嬉しそうにぷるぷると体を震わせる。ははっ愛いヤツめ。
正直言ってこのアシッドスライムは始めて見た時からこの名前にしようと決めていた名前があるんだ。
「今日からお前の名前は“こはく”だ!」
綺麗な半透明の黄色を初めて見た時すっごい琥珀っぽいなぁと思ったので、そこから変に捻らず“こはく”。変に凝るよりもこの一瞬の閃きを大切にした名前の方が愛着は湧くものだ。
さらに、なんと長時間の穴掘りでこはくのステータスが少し上がっていたのだ。
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個体名:こはく
種族名:アシッドスライム
ジョブ:迷宮種
レベル:1
HP:20/20
MP:8/30
STR:8
VIT:5
AGI:5
INT:5
MND:5
【スキル】
『分裂増殖』『溶解Lv.3』『穴掘りLv.1』
【称号】
『迷宮種』
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STRが3も上昇し、MPの総量も増えている。さらに長時間の穴掘りのおかげが『穴掘り』のスキルも追加されている。
成長してくれるというのは頼もしい限りだ。
嬉しそうにぷるぷるするアシッドスライム改めこはくを撫でていると、他のスライム達が羨ましそうにこはくと、同じく名前持ちであるわらびを眺めている(様な気がする)。
みんなにも名前を付けてはやりたいが……さすがに10匹分の名前を短時間で考えるのは難しい。どうしたものか……そうだな、何か活躍したら名前をあげる事にするか?
あとはいい名前がふと思い浮かんだ時とかかな。まぁスライム達の名前については後々考えていけばいい。
さて、迷宮の制作も一段落した事だしスライム達の訓練でもしようかな?
攻撃の要になりそうなのは凶悪な攻撃手段を持つこはく率いるアシッドスライム達と『発水』した水を取り込む事で体積を一時的に増やせるブルースライム、そして頑張れば俺が火傷するレベルで熱くなれるレッドスライムの6匹。
ちなみにこの火傷の1件でわらびの『再生』は体内に取り込んだ他の個体にも効果を与える事が出来る事が判明した。
火傷した右手をわらびに包まれて回復してもらっていた間はすごく幸せでした。
あと俺に火傷を負わせてしまったレッドスライムがすごく落ち込んだいたので慰めるようになでぷるしておいた。俺は気にしてないぞー。スライムに触れるだけで俺は最高の気分なんだぞ?
他のノーマルスライム達は……そうだな。『変形』持ちをリーダーとして集団行動出来るようにしていこうか。正面戦闘は無理でも絡めてや妨害など出来ることは多岐にわたる。
出来れば他のノーマルスライム達にも『変形』と『捕食』を習得して欲しいものだ。
「よし。こはくをリーダーとしたアシッドスライム達とレッドスライム、ブルースライムの7匹はそれぞれ自分の得意な事を磨いて武器にするんだ」
ぷるるんっ!×7
「ノーマルスライム達は『変形』持ちをリーダー、『捕食 』持ちを副リーダーとして集団行動の特訓。目標は全員が『変形』と『捕食』を習得する事だ」
ぷるるんっ!×6
「最後にわらび。お前も当面はノーマルスライム達と一緒に『変形』と『捕食』の習得を目標に頑張ってくれ。それとこはく達の訓練でダメージが出る可能性が高いから『再生』の特訓も含めての治療もある。わらびは忙しくなるぞ」
ぷるるんっ!!
俺が明確な目標を示すと、スライム達はぷるぷるっ!と力強く震える。やる気は十分の様だ。特にリーダーや副リーダーなどの役目を与えられた個体のやる気は凄まじい。やはり何か任命されるというのは嬉しいものなのだろう。
次回!ついに鏡也の迷宮に侵入者が!
スライムダンジョン!の方でもアイディアを募集します(スライムの種族や迷宮の罠など)
ぱっと思い付いたものでもいいのでなにか思いついたらぜひ!