表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/15

第4層 『つんつんぷるぷる』

この作品に出てくるスライムは目も口もない、作中でも出てくるように大きなわらび餅に色がついた様なイメージです。

 

「おぉ……召喚成功で、いいんだよな?」


 恐る恐る目の前のぷるぷるしたバスケットボールサイズの物体に近付く。見た目は半透明でうっすらと水色がかったソレは、正直言って巨大なわらび餅に見えなくもない。

 そんなわらび餅スライムは身体をぷるぷると震わせながら静かにたたずんでいる。


 召喚したとは言え、下克上と言わんばかりにいきなり襲いかかってこないとも限らない。

 警戒心を忘れずにそーっと近寄って行ってもぷるぷるは動かない。

 至近距離まで近付いて目の前のぷるぷるをちょんちょんとつっつく。


 ちょん。

 ぷるっ。

 ちょんちょん。

 ぷるぷるっ。

 ちょんちょんちょん。

 ぷるぷるぷるんっ。


「あっ……楽しい」


 訳分からない状況で荒んでいた心が落ち着いていく……

 あぁ……癒される……


 しばらくの間夢中でつんぷるを楽しんでいた鏡也はふと思い出した様につんつんを中断する。すると、もっと構ってと言わんばかりに離した指に近付いてくるスライム。めちゃかわ。


 ここまでのつんぷるで目の前のスライムに俺に対する敵意は無い事はもう分かった。むしろここまでされて敵意があったらもう俺の負けでいいや。


 あぐらを組んで足の間にスライムを乗せる。つんぷるしながら迷宮核(ダンジョンコア)の能力のひとつ、『迷宮(ダンジョン)の侵入者の簡易ステータス確認および配下のステータス確認』を使用する。

 この能力は読んで字のごとく、迷宮(ダンジョン)に侵入した生物のステータスを簡易版で確認可能かつ召喚した魔物などの迷宮(ダンジョン)の配下のステータスを確認できるという能力だ。

 この世界における鑑定系スキルの迷宮(ダンジョン)版という事らしい。

 その能力を使用して召喚に成功したスライムのステータスを確認する。


 ーーーーーーーーーーーーーーー


 個体名:ーーー

 種族名:リジェネスライム

 ジョブ:迷宮種(ダンジョンモンスター)

 レベル:1


 HP:20/20

 MP:20/20


 STR(筋力):5

 VIT(耐久):5

 AGI(敏捷):5

 INT(知性):5

 MND(精神力):5


【スキル】

『分裂増殖』『再生Lv.1』


【称号】

迷宮種(ダンジョンモンスター)』『最初の個体』


 ーーーーーーーーーーーーーーー


 おぉ……こういったステータスが出てくるとthe異世界って感じするな。


 迷宮核(ダンジョンコア)から与えられた知識によると、ステータスの各項目の意味は以下の通り。大半は読んで字のごとくだが、【スキル】については少し特殊だった。



『個体名』

 ……その生物の個体名。


『種族名』

 ……その生物の種族名。


『性別』

 ……その生物の性別。

 性別の概念が存在しない種族の場合はステータスにそもそも記載されない。


『年齢』

 ……その生物の存在年数。


『ジョブ』

 ……与えられたジョブ。

 実際の職業とはまた別物で、その道の才能があるとも言い換えられる。


『レベル』

 ……その生物の強さのランク。

 絶対では無いが、同種族間では基本的にレベルが高い方がステータスも高くなる。


『HP』

 ……生命力。ゼロになると死ぬ。


『MP』

 ……魔力量。ゼロになると気絶する。

 よしんば気絶しなくても1人では立てないくらいに精神的に消耗する。


STR(筋力)

 ……読んで字のごとく。攻撃力にも繋がる。


VIT(耐久)

 ……読んで字のごとく。防御力にも繋がる。


AGI(敏捷)

 ……読んで字のごとく。足の速さや素早さ。


INT(知性)

 ……実際の知力とは関係ない。

 魔法での攻撃力とも言える。


MND(精神力)

 ……実際のメンタルとは関係ない。

 魔法への防御力とも言える。


『スキル』

 その者が修めている技能。

『このスキルがあれば〜できる』ではなく

『〜できるからスキルに記された』である。

 因果関係が一般的なイメージとは逆。

 元の世界の資格に近いかもしれない。

 EX)

『剣術Lv.3』を持っているから

『剣術Lv.3』相当の技量で剣を扱える。

 ではなく

『剣術Lv.3』相当の技量で剣を扱えるから

 スキル欄に『剣術Lv.3』がある。

 という関係になる。


『称号』

 その者の足跡。賞罰共に記される。

 隠蔽などで隠す事は出来るが偽る事は不可能。



 そしてレベル1の成人男性のステータスの平均が各項目15〜20程度。

 ここに戦闘系のジョブやらなにやらの影響が加わるので振れ幅は結構広いらしい。

 場合によってはレベル1の時点でステータスが100に達する事もあるのだとか。リジェネスライム20匹分だ。


 迷宮核(ダンジョンコア)曰くスライムは魔物の中でも平均ステータスが最も低く、とりたて凶悪なスキルも持っている訳でもない、最弱の存在……というのがこの世界の共通認識なんだとか。


「仕方ないとは言えステータスはさすが最弱の魔物って感じだな……」


 平均的な非戦闘ジョブの成人男性1人にすら勝てそうもない貧弱なステータスをしている。

 とはいえスライムの本質はその生産コストの低さを活かした物量作戦なので囲んで殴ればいい。言わいる戦いは数だよ兄貴!ってヤツだ。


 そして囲んで殴るために敵を囲むのは迷宮主(ダンジョンマスター)たる俺の腕の見せ所だろう。


 そして気になるのは『再生Lv.1』というスキルとこのリジェネスライムという種族名。俺が召喚したのは間違いなくただのスライムのはずだが……どういう事だ?


 そして『再生』という種族名の由来になっていそうなこのスキルは、リジェネスライムが持っていた2つあるスキルの内のひとつだ。


 効果は『自身の損傷を時間経過で再生させる』というもの。

 生物が備えている自然治癒力に似ているが、イメージはまさにその通りでこのスキルはそれをさらに強化した様なものらしい。

 通常の自然治癒では治らない部位欠損(スライムなら体積の減少)でも回復できるとの事。正直俺も欲しいスキルだ。


 ちなみに『分裂増殖』はスライムなら必ず持っているスキルで、性別が無いスライムが繁殖する方法らしい。

 スライムはある程度の大きさに育ったスライムが自身の身体を切り分けて新たな個体を生み出して繁殖するとの事。


 称号に関しては本当にただ単にその個体の足跡を示すものらしく、称号があるからと言って特に能力に影響は無いらしい。


「お前すげぇなぁ」


 つんつんぷるぷる。


 つんつんとつつく俺の言葉を理解しているのか、誇らしげにぷるぷるするリジェネスライム。

 かぁいぃなぁ〜


「リジェネスライム……種族名ってのも味気ないな。なにか名前を付けるか」

 ぷるぷるっ

「おぉ、お前も名前欲しいか!」


 どんな名前がいいかね。スライムのライムとかは正直もうありきたり過ぎてなんかなぁと思っちゃうから凝り過ぎない程度に凝りたいよな……


「…………………………わらび餅っぼいから『わらび』とか?」


 いやいやいやいや、それは無いだろう。

 俺が嫌いな『マカロン』とか『ショコラ』とか何故かスイーツの名前をペットに付けるOLみたいになっちまう!

 名付け自体は他人の自由だが俺はそうなりたくはな……


 ぷるんっ!ぷるんっ!


 あ、リジェネスライムがめっちゃぴょんぴょんしてる。

 もしかして……気に入ったの?


「お前……わらびでいいのか?」


 ぷるるんぷるっ!


 頷く様にぷるぷるするリジェネスライム。かわいい。


 そうか……お前が気に入ったならそれでもいいや。

 本人の好みを無視して別の名前を付けるのは俺も嫌だし。

 それに“わらび”って食べ物なのか?少なくとも俺は“わらび”と言う山菜は知らない。つまり俺の中で“わらび”は食べ物ではない。


 そもそも俺が嫌いなのは『ペットに食べ物系の名前を付ける事』じゃなくて『ペットに食べ物系のかわいい名前を付ける自分をかわいいと思ってる奴』が嫌いなだけだし……(負け惜しみ)


「よし。お前が気に入ったなら今日からお前の名前は“わらび”だ!」


 ぷるるんっ!


 嬉しそうにぷるぷるするリジェネスライム改め“わらび”。

 ステータスの個体名の欄もーーーからわらびに変化している。


「よし、これから一緒に頑張っていこうな、わらび」

 ぷるぷるっ!


 あぁ〜癒されるぅ〜


鏡也の言ったペットの名前のくだりはあくまで個人的な意見であってそう言った命名を否定してる訳ではないのであしからず


スライムダンジョン!の方でもアイディアを募集します(スライムの種族や迷宮の罠など)


ぱっと思い付いたものでもいいのでなにか思いついたらぜひ!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ