半強制だろ……
「ね、何処行く？」
テスト返却から2日。
明日からは、待ちに待ったゴールデンウィークだ。
それは他の人も同じ様で。
「俺、明日から沖縄なんだよ。」
「あー、イベント両日参戦するから。」
「ずっと家に居る……。」
「明後日は3番目の彼ピッピとデートなの。」
おい、引きこもりと三股のクズ女が混ざってるぞ。
……学校では、この長期休みを如何に有意義に過ごすか、という話で盛り上がっていた。
と、言うことは、当然この馬鹿も浮かれる訳で。
「ね、何処行く？」
と、まぁ、最初に戻るのである。
「おい、主語は何処行った。」
「……私の脳内？」
「はぁ……。その脳内の主語を引っ張り出してこい。」
「ね、このGW、2人で何処行く？」
「いや、行くこと決定なのかよ。」
普通、『行かない？』だろ。
「いや、だって誘ったらいっつも、嫌だ、とか言うじゃん。」
まぁ、そりゃそうだろう。
大事な連休は有意義に過ごしたいからな。
「だから、強制的に連れてく、ってわけ♪」
いやいや。ってわけ♪じゃないだろ。
「少しは俺の事情も考えろ。」
「え、考えたよ？」
何処が、だよ……。
「だって、何処行く？って聞いたじゃんか。」
そこじゃねぇよ……！
本当に、此奴は何処まで馬鹿なんだ……。
「あれ〜？燈ちゃん達どうしたの〜？」
「こころん！あっ、そうだ！こころんも行こうよ、魚見に。」
「いいねぇ〜。楽しそう。」
……は？
「ん？どったん、そんな眉間にしわ寄せて。」
此奴、とんだ馬鹿だな……。
「米澤……今、五月だぞ？」
「ん、そうだね。」
「魚見に、って海行く気候じゃないだろ。」
「あはははは！ちょ…っと、何、言ってんの？」
いや、そっちが何言ってるんだよ。
「魚見に行く、とは言ったけど、海に行くとは言ってないよ？」
は……？何言ってんだ此奴。
「まだ分からないの？水族館だよ、水、族、館！」
そっちかよ………。
