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おじさんと僕は、何かある度にこうして語り合った。僕はおじさんから何か言われるたび、心に暖かいものが注ぎ込まれる感じがした。それがとても心地よかった。「いいかい」から始まるおじさんの言葉は、それが僕だけがこの空間にいていいものかと思うくらい、贅沢なひと時だった。それはまだ9歳の僕にだってわかる。 僕はあまり人前に立ってみんなをひっぱる性格ではないし、すぐる君もそうなんじゃないかと思う。だが転校してきて数日のすぐる君が学校に馴染めないのをみると、なんか胸が締め付けられる。

次の日僕は勇気をだして、すぐる君に声をかけてみようと思った。それはおじさんに昨日宣言したんだ。約束を守らないといけない。なんて声をかけたらいいんだろう。おはよう、今日はいい天気だね、でいいだろうか。いやいや、それは今朝母さんがごみ捨て場で言っていた会話だ。笑い声がでかすぎて家にまで聞こえてきた。僕はすぐる君より早く学校についたようだった。席に座ってくるのを待つ。その後10分ほどしてすぐる君が教室に入ってきて、誰とも目を合わせずに1番後ろのすぐる君の席にすわる。僕は左の一番前の席だった。僕は意を決して席を立ち、すぐる君の席の前にたつ。

「おはよう」

その声は僕ではなくすぐる君だった。すぐ見上げた目をそらしてしまったが、何秒かたって僕は言った。

「おはよう」


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