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プロローグ サイド・ネロ&プルートゥ『村人の片鱗と暗黒神の降臨』その一

 街道を行く二人の目に飛び込んできたのは、少女と老人が魔獣に襲われている所だった。


 道端には大荷物を引かせた馬車が転倒しており、その近くでは足の折れたと思しき馬が一頭倒れている。


 老人は、少女を庇うようにして襲い掛かって来た魔獣の前に立ち、白銀に輝く剣を抜いて魔獣に応戦していた。

 その老人の背に隠れるようにして、ネロとほとんど都市の代わらない様な少女が、腰を抜かして震えていた。


 老人たちを追い立てる魔獣は、巨大な体躯を黒い剛毛で覆われた大猪、『ネメア・ボア』。


 山の荒武者とも呼ばれるその大猪は、魔獣の中でも特に気性の荒いことで有名であり、下手をすれば中途半端の肉食獣よりも狂暴である。見かけたら逃げるのが鉄則であり、出会ったとしても、出来るだけ戦闘は避け、少しでも遠くへ逃げるのがこの大猪への対処法である。


 だが、ネメア・ボアの矢面に立つ老人は、その対処法を知っているのか、いないのか、この大猪を前に逃げようともせず、命知らずにも真正面から戦おうとして老いるようであった。

 否、例え知っていたとしても、戦わざるを得なかったろう。

 ネメア・ボアはその凶暴さもさることながら、山中での俊敏さも有名な魔獣だ。とてもではないが、子供を抱えて逃げ回れるような甘い運動能力を持っている訳ではない。

 もしも子供と一緒にこの大猪の相手をするならば、どうしても真正面からやり合うしかないであろう。


「ありゃあ、やべえな。ネロ、お前は、――――って、ネロ!」


 そんな二人の状況を素早くそう察したロメロは、咄嗟に、自分がその少女と老人を助けようと弓矢を取り出して、隣を歩くネロにどこかに隠れるように指示をしようとした。

 だが、ロメロの指示が出るよりも先に、肝腎のネロはネメア・ボアの元に向けて走り出しており、大猪に襲われる少女たちの前に歩み出ると、真正面からネメア・ボアの心臓に目掛けて弓矢の狙いを定めた。


「な!何をしている‼ここは危ない!子供が来るような――」

「黙って」


 急に現れ出たネロの姿を見て、老人は一瞬だけ驚いた表情を見せたが、すぐに正気に戻ると、ネロを危険から遠ざけるように、


 だが、ネロはそんな老人の言葉を一言の元に蹴りつけると、子供であることが嘘のように鋭い眼つきになって、目の前のネメア・ボアを睨みつけた。


 ネメア・ボアはまるで針金の様に固く鋭い剛毛とその下地になっている頑丈な毛皮に覆われた獣だ。

 この毛皮はかなりの強度を保ち、主に獣皮の中ではかなり高価な値段のついた革鎧の材料として取引されるほどのものである。

 通常の弓の腕前ならば、この剛毛と毛皮に遮られて矢は急所はおろか、肉にまで届かないことが殆どだ。

 だがネロは、ネメア・ボアの体の構造上、僅かに皮の薄くなっている心臓付近の急所を狙うと、ほとんど矢をつがえると同時に、弓の弦を放した。

 弓から放たれた矢は、まさしく吸い込まれるような精確さを持って、ネメア・ボアの心臓を捉えると、そのままこの大猪の心臓を目掛けて突き立った。


 だが。


(…………あさい)


 ネロが心中で子供らしくなく冷静にそう呟くと同時に、心臓に矢を突き立てられたはずの大猪は、急所を撃ち抜かれた痛みに一瞬だけその動きを鈍らせただけですぐに態勢を立て直すと、自分の急所に突き刺さった人の子が放った棒きれを見て、怒りの咆哮を上げた。


 ゴリャあああああああああ!!!


 その咆哮は、森の木々を揺らし、小鳥や野兎などの小動物たちが、今まで身を隠していた場所から一斉に飛び出して逃げ始めた。


 僅かにだがネメア・ボアの心臓の一番の急所から逸れたのだろう。

 矢が突き刺さる前よりもはるかに大きく怒りを爆発をさせたネメア・ボアは、腰を抜かした少女と剣を振る老人から、忌々しい武器を持つ少年へと標的を変えて、攻撃態勢へと入った。


 だが。



(…………怒らせちゃった。少しだけ、面倒くさいな)


 ネメア・ボアに怒りの矛先を向けられたネロの眼には、恐怖の表情を欠片も浮かんでおらず、寧ろ、今までその眼に宿っていた幼さの滲み出る甘い光は消え、ただ冷徹に、冷淡に命を刈り取る酷薄な光が輝きだし、怒り狂うネメア・ボアをただめつけていた。


 と、


 そうして、ネロに獲物として狙いを定めたネメア・ボアは、一度、再び巨大な咆哮を上げると、不可解なことにネロ達に背中を見せると、そのまま街道を行くように駈け出し始めた。

 それはまるで、人から攻撃を受けた大猪が、人に恐れをなして逃げ帰っているように見えた。


「た、助かったのか……?」


 だが、


「ちがうよ」

 ネロは、老人の口から漏れ出た疑問に、鋭い疑問で即答した。


「あの猪はねえ。魔じゅうの中でも、魔法を使えない魔じゅうなんだけど、その代わり、体が頑丈で、滅茶

苦茶足が速くて、鼻と耳が良いの。だから、ケンカしたり狩りをしたりする時には、一回、ああやって獲物から遠くに行って、その後にすっごいはやさで体当たりしかけて来るんだ。その体当たりを喰らうと、キホン死ぬね」

「なッ!?では、早くこの場から逃げなくては、ブラ……ッ!ブラン!早く立て!今のうちにこの場を去るんじゃ?」


 ネロから予想外の講義を受けた老人は、慌てて背後にいる少女に声をかけると、その手を取って無理矢理に立たせようとする。


 が、


「ダメだよ。あの大猪は本気になったらものすごい速さで走るし、頭もすごいイいいから、獲物の匂いはものすごい長く覚えてて、何処までもどこまでも追いかけて来るんだ。一回、姿が見えなくなったからって、逃げたら、後ろから体当たりされて死んじゃうよ。だから、あの猪から逃げる時は、逃げた先で罠を作って仕掛けといて、そこで嵌め殺さないといけないんだ」 

「それでは、どうすればいいんじゃ!」


 ネロはその老人の服の裾を引っ張ってそれを止めると、まるで温度を感じさせない淡々とした調子でそう言った。

 すると、そんなネロの言葉を聞いた老人は、思わずネロに向けて怒鳴り声を上げると、その両腕を掴んで睨みつけた。


「どうすれば、あんな巨大な魔獣から身を守れる!どうすれば、あの巨大な魔獣を倒すことができる!言え!言え、小僧!」

「おいアンタ!俺の息子に何しやがる!大体、助けられといてその態度は何だ!山猿か何かかッ!テメエ!」

「何じゃと!若造が舐めた口を叩くな!」

「知るかジジィ!死にてえのか!」


 鬼のような形相でネロに掴みかかる老人に対して、漸くネロに追いついたロメロは、老人に向けて喧嘩腰でその腕を捻り上げると、二人はそのまま怒鳴り合いだした。


「シッ!」


 だが、ネロはそんなロメロと老人に向けて鋭く声を上げると、すぐに矢筒から矢を取り出して弓にあてがいだし、ロメロと老人に向けて冷たい視線を投げかけて、大猪が来るであろう方向に向けて構えを取る。


「けんかしている時じゃないよ。父さんは遠巻きして、僕が前打ちするから。後、父さんが持っているナタを貸して」


 遠巻きとは、二人で狩りを行う時に幾らか後方に距離を置く、所謂、後詰の人間である。

 前打ちとはその逆。出てきた獲物に最初に矢を放つ、先鋒とも言える仕事だ。

 これは、危険な魔獣や大型の魔物を相手取るときの手法である。

 前打ちが先に魔獣に攻撃を仕掛けて手傷を負わせ、怒りで前打ちに襲い掛かろうとするところを、遠巻きが討つ。遠巻きに獲物が襲い掛かれば、前打ちが獲物を討つ。

 と、これを繰り返して魔獣を斃すのである。

 無論、危険度は前打ちが高く、高い技術が求められるものであり、ネロが前打ちをやるのだというのは、普通考えられないことである。

 だが、


「早く準備して、父さん。おじいさんも死にたくなければ、しずかにして。後、動かないで」


 ネロのとても子供とは思えない、冷静で冷淡な指示に従い、その場の大人たちはただ大人しくその言葉通りに動き出すと、

 そうして、ネロの指示に従い、ロメロはネロから後方に幾らか距離を取ったところで弓矢を構えると、ロメロは少女を抱きかかえてその場で蹲る様にじっとした。


 すると、


 ネロの言葉通り、ネメア・ボアの走り去った方向から、凄まじい土煙と轟音を上げて巨大な何かが駆け寄ってくる姿が見え始め、老人に抱かれた少女は、ヒッ!と、小さく悲鳴を上げてより硬くその場に蹲った。

 やがてその全貌を現したネメア・ボアは、怒りの籠った眼光を輝かせて、道の中央に立ち尽くすネロ達に目掛けてその速度を落とすことなく、いやむしろますます速度を上げて、ネロ達に襲い掛かった。


 その瞬間、ネロはネメア・ボアの両眼を射抜いた。

 かと思うと、立て続けに二の矢を放ち、ネメア・ボアの左足の僅かに皮と肉と薄くなった部分を射抜いた。


 突如として視界を奪われ、左足を射抜かれたネメア・ボアは、走行中であったこともあり、転がるように転倒し、その衝撃で前足が折れたのだろう。立ち上がろうとするたびに、その場に膝をつき、幾度となく転倒を繰り返し始めた。


 ネロは、そんな大猪を見ると、ただの流れ作業のように矢筒から矢を取り出すと、そのまま転倒した大猪に向けて矢を放つ。

 今度は鼻の辺りを矢が掠め、血が流れ出た。

 ダメージ自体は大したことが無い。しかし、ネメア・ボアの鋭すぎる嗅覚は自分の血液によって塗りつぶされてしまい、今まで自分の周りにあったはずの風景さえも輪郭がぼやけてうまく認識できなくなってしまった。


 残りは聴覚だけを頼りにするしかないが、視覚と嗅覚という二つの大きな知覚を潰されたこのネメア・ボアには、音だけで何かを判断するというのは、あまりに無理な芸当であり過ぎた。


 首筋に、脇腹に、関節の周辺に、脚の付け根に、目元に、口元に、肛門の周辺に、と、革や肉の薄い部分を的確に、精確に狙い、射抜かれるのだ。


 こうなると、音が聞こえることが、恐ろしい。


 矢の放たれる音が聞こえると同時に、体のどこかに激痛が走る。血が流れる。殺意を叩きつけられる。


 事、此処に至って、初めて森の主とまで呼ばれたこの哀れな獣は気付いたのだった。

 自分が今、正に命を狙われ、そして、殺されかけていることに。

 

 だが、気付いた時にはもう遅かった。


 生れて始めて濃密に感じる死の気配とその恐怖に当てられて、ネメア・ボアは折れ脚を引き摺り背を向けて逃走を図り出したが、ネロはただ淡々とその背に向けて、あるいは足を狙って、矢を放ち、この大猪をムリヤリにその場に留めると、躊躇も、情けも、容赦もなく、只管に殺す為だけの狩りを始めた。


 ……………じゅうああ……!!…………じゅうあああ!!


 それは、ネメア・ボアが赤子の時に上げる親を求める泣き声だった。

 あたかも、夜の小道に迷った仔猪が、母猪を呼ぶようなその声は、この狂暴な猪が挙げる哀惜と恐怖から来る慟哭そのものであった。


 だがネロは、その声が耳障りだと言わんばかりに、ネメア・ボアの急所を、弱点を、痛めつける様に撃ち抜き、ただじっくりと、嬲り殺していく。


 そこには、純真無垢な子供も、優しく内気な少年の姿も無かった。


 ただ、命甚振り(いたぶり)、嬲り、殺す、純粋な殺戮者がいた。


 ネメア・ボアはそんな、圧倒的な上位の殺戮者の前にただ、少しずつ少しずつ急所を突かれ、舐る様に舐る様に血を流され、着実に着実に動きを緩め、やがて、全身に矢が刺さり、体中を痛めつけた無残な姿になって、大きな音を立てて街道に横たわった。


 ネロは、ネメア・ボアの体にわざと矢を無駄撃ちすると、もうこれ以上この大猪が動き出すことが無いことを確認して、ロメロから借りた鉈を手にして、まだ息のあるネメア・ボアの元に歩み寄った。

 ネメア・ボアは、自分に死を与える存在であるその幼い狩人の足音に、動くこともできずに恐怖と怯えの混じった最後の泣き声を上げていたが、ネロはそんなことに全く気を止めることも無く、ただ、その喉元に目掛けて手早く思い切り、そして面倒くさそうに鉈を叩き込んだのだった。

 途端に、大猪の喉元から勢いよく血が吹き出し、それとともに、この大猪の中に最期に残っていた力さえ抜け出て、この魔物はその生涯を終えた。


「終わったよ。これで大丈夫」


 ネロは、死体になった大猪を冷たく見下ろすと、今まで地面に蹲っていた老人と少女の方を向いて、先ほどまで命がけの死闘を繰り広げた思えぬほどに穏やかな笑みをして、話しかけてきた。


「う、ウム。礼を言う。それと、先ほどは助けていただいたのにも関わらず、無礼な態度をとってしまった。その非礼を詫びたい。済まなかった」


 そんなネロの顔を見た老人は、先ほどの自分の失態を思い出したのだろう。

 心底から申し訳なさそうな顔をすると、ネロとロメロの二人に向かって謝罪の言葉を述べると、生真面目そうに頭を下げた。

 ロメロは、そんな自分の失態に対して素直に謝ることのできる老人を見直しながらも、最終判断を下すべきは自分ではないと、ネメア・ボアからの返り血を拭きとるネロを見下ろした。


「だってよ。どうするよ、ネロ?」


「別に。いいんじゃない?ボクも狩りをした時にはしょっちゅうおこられているから、慣れちゃっているし」


 ネロの心底から興味無さそうに語られる科白に、ロメロは軽く肩を竦めながらも目の前の老人に向き直り、軽く片手を挙げて謝罪した。


「すまんな。ああ見えて、うちの息子は人見知りな物でよ。別にアンタの謝罪を認めてねえわけじゃねえんだが。あとで、きちんと礼儀を叩き込んでやるから、勘弁してくれ」


「いや。何事にしろ腕の立つ人間というのは、それくらいの我があるものだ。寧ろ、それだけのものが私の咄嗟の非礼にへそ曲げてくれなくて心底から安堵しているよ。しかし、あなた方の先ほどの弓の腕は凄かったな。あれほど巨大な魔獣を魔法も使わずに、ああも一方的に狩るなどとは。帝国にも、あれほどの腕前の射手アーチャーはそうはおらんだろうな。ブランも、良いものが見れたな」


 老人は、ネロを褒めると、他意も無くただ傍にいる少女に向けてそう言うと、


「ベ、別に凄く無いもん!わ、わたしの方が凄いんだからね!あんな魔獣なんて、アンタたちの力を借りなくても、やっつけられていたもん!」


 少女は、何処か意固地になった声で顔を真っ赤にしながら叫ぶように言うと、あらぬ方向にそっぽを向きながら、


「………………ブランディッシュ」


 と、呟くように囁くように小さな声でそう言った。


 そんな少女の様子に、老人はまたか。と言わんばかりの態度で頭を抱えたが、そんな老人の様子に構うことなく、少女はネロの方を見ることなく、続ける。


「私の名前!ブランディッシュ・ラ・ルノワール!貴方を、わ、私のライバルとして、み、認めてあげるわ!精々、この名前を憶えて居なさい!だから、貴女も名乗りなさいよ!」


「こら、ブラン!命を助けられたのに、その言い方は何だ!相手に向かい合うことも無く名乗りを上げるのも、礼儀としてなっておらんぞ!」


 流石に、ブランディッシュと名乗った少女の態度に据えかねる者があったのだろう。

 今まで子供のやることだからとやり取りを見守っていた老人は、ブランディッシュに鋭い叱責の声を上げた。

 ブランと呼ばれた少女は、老人からの叱責に一瞬だけ怯むと、すぐに怒った様な、泣きそうになった様な微妙な顔付きになると、今度こそ、頬を赤く染めたままネロに向き直り、右手を差し出しながら、自分の名を口にする。


「……ブランディッシュ・ラ・ルノワールよ。命を助けてくれて、ありがとう」

「ネロ・ダ・ヴィンチです」



 これが、後の光の勇者、ブランディッシュとネロとの出会いであった。


 



 ※※※


 サイド・プルートゥ



「ああ、まるで楽園のようだな」


 

 目の前に広がるのは、太陽の輝く何処までも澄み切った青天と、大理石を砕いたかのように真っ白に輝く白い砂浜。そして、深い緑色から、深い青へとグラデーションを変えていく広い海。

 頬を撫でる磯風は心地よく海に冷やされており、浜辺に発生する熱を心地よく振り払っていく。


 プルートゥは、そんな常夏の絶景に目を奪われながら感嘆の溜息を吐くと、ビーチチェアに身を任せて知らず知らずの内に独り言ちた。

 その顔には、サングラスがかかっており、海パン姿にアロハシャツに袖を通しただけの格好をした、完全なるトロピカルスタイル。

 夏の日のしがない一日を満喫している遊び人スタイルだ。


「ふふ。そう言われますと、少しだけ妬けますね。この島は私たちの管理下にある太陽神と海洋神のお二方が造られた島ですから。主神たるあ貴方にそう言われてしまうと、創世神たる私たちの立つ瀬が無いというものですよ」


 すると、プルートゥの独り言をどこからともなく聞きつけたユースティティアが、羨望に溢れた科白とは裏腹に、甘える様な声を出しながらプルートゥの傍に現れ出た。

 

 その姿は、大神殿と変わらぬ、神衣に身を包んだ神々しい姿。……ではなく。

 

 ピンク色のビキニにパラオを巻いた、由緒正しいトロピカスタイルの水着姿だった。


 長い黒髪と切れ長の瞳に象られた清楚な印象の強いユースティティアは、意外にも着やせするタイプらしく、細身の体には似合わない大きな胸を揺らしながらパラソルの影に入ると、楽しそうに小首を傾げて、ビーチチェアの上に寝転ぶプルートゥに話しかける。


「しかし、今更ですがよろしいのですか?プルートゥ様。わざわざ本来の仕事を無視してまで、このような無人島に来られても?わたくしとしては、貴男様の御身辺を世話させていただけるだけでも、役得ですので文句はございませんが」


 ユースティティアからの質問を受けて、プルートゥは意表を突かれた様な思いをして、ユースティティアの顔を見た。

 以前のユースティティアは、良くも悪くもプルートゥの言葉と命令に従順で、どれほど奇特な指示であっても首を縦以外には振らなかった女神であるが、その分、プルートゥからの指示以外で動くことは無く、自分から考えて動くことができない女神だった。

 だが、プルートゥの永年に渡る封印は、この女神にとって良い影響を与えたらしく、今目の前にいるユースティティアは、プルートゥの眼もとを注視して、自分の疑問をはっきりと口にした。


「本来の仕事つーと、『聖僕』の選定か?」


 プルートゥはそんなユースティティア良い変化を目の当たりして、軽く口元で笑いながら逆に質問した。


「ハイ。恐れながら、プルートゥ様の御力を考えれば、『聖僕』の選定は必須でございます。戦闘面においては然ることながら、日常面においても、何かと不都合、御不便がございます。それを思えば、先に選定を終えられた方がよろしかったかと」

「あー、そうだなあ。後後の仕事のことも考えて、オレとしても先にそっちの方を終わらせたかったんだけどよ。どーも、ここら辺にきな臭い臭いを感じてな。先にこっちの落とし前をつけておこうと思ったんだよ」

「きな臭い臭い?と言いますと、」

「まあ、奴らだろうな。十中八九、レムリアの時のな」


 プルートゥのその言葉と態度で、何を言わんとしているのかを察したユースティティアはそれ以上はこの話題を続けようとは思わず、話しを別物へと移した。


「それはそうと、プルートゥ様は『聖僕』をお選びになるのでしたら、今回はどのような者をお選びになるおつもりでございましょうか?」

「ああ、そうだな。ガキのくせして、大猪の前に飛び出てそのままそいつを狩りだせる様な奴が良いなあ」

「あら、意外ですわね。プルートゥ様は剛力を持った英雄よりも、術士の様に魔術や策謀に長けたものが好みであると思われましたのに」

「いや、どっちかツーと弓矢とか使って使える技術と咄嗟の判断力に優れる様な奴が良いな。筋肉を使うタイプも嫌いなわけじゃねえが、そういう奴は色々と俺と相性が悪い。できれば、弱点を効果的に狙い撃ちにして、弱ったところを完全に止めを刺すような冷酷さを持った奴が良い」

「成程。剛勇に優れたる者ではなく、武勇に長けた者をお望みなのですね」

「まあ、そんな奴いるわけねえけどな」


 半ば皮肉気に笑うプルートゥを見て、ユースティティアは、一瞬だけ物言いたそうに口を開きかけたが、喉から出かけた言葉を飲み込むと、


「ああ、そうです。プルートゥ様に差し出したいものがございましたわ」


 そう言って、ユースティティアは、この島に据え置かれたバンガローに向けて、走り出した。

 どうでもいいが、後ろから見ると、水着のお尻を覆う布面積が少しばかし小さいように思えるのは気のせいだろうか。

 それから暫くして、ユースティティアは、木製のトレイの上に、たっぷりの氷とトロピカルジュースで満たされたガラスのコップを持ってプルートゥの元に現れ出ては、ビーチチェアに寝転ぶプルートゥにそっとそのグラスを差し出した。


「どうぞ。私がブレンドした、特性ジュースです。この島はこれだけお暑いのですから、出来るだけ水分はお取りください。今のその御姿には無理は禁物ですよ?」

「ふふ。お前の方は、随分とこの島を楽しんでいるな。ユースティティア、お前の方もそろそろ休んどけ。幹事が楽しめてねえと、折角の遊興も興ざめするからな」


 プルートゥがそう言って差し出されたグラスを手に取ると、ユースティティアは、パラソルを挟んで隣に置かれたビーチチェアにではなく、プルートゥの傍に直接腰かけて、頬を薄桃色に染めながらそっとプルートゥの肩に頭を寄せた。


「左様ですか……。それでしたら、失礼ながら、この場で休ませていただければ」

「おいおい。どうしたいきなり?酔ってんのか?」

「ええ……。さっき、ちょっとだけ吞んでしまって、少しだけこうさせてください。そうすれば、酔いもさめると思いますから」

「そうか、じゃあしょうがねえな。この席を譲るからオレは、少し泳いでくるわ。飲み物あんがとな」

「酷いです、プルートゥ様。いけずにもほどがあります。少しくらいは羽目を外してもよろしいじゃないですか」


 その時だった。


「たあっく、見せつけてんじゃねえよ。平然と独り者の前でいちゃつきやがって、当てつけにしても露骨すぎんぞ」


 今まで海に泳ぎに出てたミネルヴァがビーチチェアの所に戻ってきては、二人の様子を見て、舌打ちをしてイラついた様子を見せた。

 今のその姿は、かつての大神殿で見せた神衣に身を包んだ威厳あふるる創世神のそれではなく、セパレートタイプの水着の下に真っ白のビキニを着こんでゴーグルを被ったシュノーケリングスタイルの水着姿であり、セパレートの上半身を脱いで、中々の大きさを誇るその胸部と、引き締まった筋肉の浮かび出るその裸体を惜しげもなく白日の下に晒している。

 不思議なことに、ミネルヴァのその恰好は、褐色の肌と金色に輝く髪と合わさって、常夏のこの景色にまるであつらえたように似合っており、流石は運動選手の守護神とプルートゥがあきれ返ってしまうほどであった。


「見せつけてるつもりはなかったんだがな、悪い悪い。んで、ミネルヴァ。泳ぎの方はもういいのか?分身体の慣らしとか言ってた割に、上がるの早くねえか?」

「ああ、沖の方まで泳いできたし、ついでに海底神殿までちょっくら潜って来たからいいだろ。流石に久しぶりに分身体だからな。下手に動かし方を間違うのもあれだしな。お蔭でかなり使えるようになったかな。まあ、その所為で大分疲れたんだけどよ。ま、遊びとしちゃあ充分だろ」


 ミネルヴァはそのまま無遠慮に隣のビーチチェアに荒々しく腰を落した。


「おいおい、海底神殿つったら一万メートル潜った先にある海洋神の居城だろうが。それ普通、遊びの領域で泳ぎに行くところじゃねえだろ」


 プルートゥは、ミネルヴァの脳筋ぶりに呆れ返ると、グラスに注がれた氷の漂うトロピカルジュースを啜った。


 すると、


「あー!ずーるーいー!プルートゥだけ、おいしそうな物を呑んでるー!私も飲みたい―」

「あ、私も~お願いします~。遊び過ぎて喉渇いちゃいました~」


 先ほどまで砂浜で水遊びに興じていたヴィーナスとディアナがプルートゥの所に戻って来ては、目敏く、プルートゥの啜るトロピカルジュースに目をつけて、物欲しそうに駄々をこねた。

 ヴィーナスは、少しウェーブのかかった長い金髪に柔和な笑顔の似合う慈愛に溢れたお嬢様然とした容姿とは裏腹に、白亜の肌にくびれた腰つきと爆乳をマイクロビキニという超過激な水着で包んだ驚愕の姿をしている。

 一方ディアナは、幼女の姿にゼッケンの着いたスクール水着というある意味ではヴィーナス以上に過激な格好をして隣に立っている。


「おーう、ヴィーナス、ディアナ。さっきまでバッカスと遊んでたんじゃないのか。あいつを放っておくと後でめんどくさいことになるから、構ってやった方が良いぞ」

「別に遊んでたわけじゃないの。あの堅物が私たちの恰好に神の威厳とか何とか喧しいことを言うから、ちょっとだけ相手にしてただけなの」

「ええ、それで~、色々とうるさくて邪魔だったから~、一服盛って埋めて来ました~」


 虫も殺さぬ世間知らずのお嬢様燃とした態度で、さらりとおっかないことを言うヴィーナスに、プルートゥは思わず口に含んだトロピカルジュースを隣にいたミネルヴァに吹き出して、ヴィーナスの顔を二度見した。


「おいおい。いくら何でも一服盛るだけじゃバッカスの奴が可哀そうだろ?どうせだったら、新型の毒薬とか新開発された病原体とかのモルモットにしなけりゃ、折角あいつが分身体を作ったのが無駄になるだろう?何か盛るならそこらへんの事も考えてやれよ。大切な友達なんだから、優しくしてやれよ」


「何気にお前の発言が一番バッカスを傷つけるよな。大切な部下だったら優しくしてやれよ。それとあたしに何か言う事ないのか?」


 まるで、子供を諭す父親のように優しい口調で、さらりと悪魔の様な恐ろしいことを口走るプルートゥに対して、ミネルヴァは、


「おお、どうしたよミネルヴァ。ジュースで顔を洗うとか、酔狂な事をしてるなあ。そんなに甘い物が飲みたかったのか?」


「お前に吹きかけられたんだろうが!その都合のいいことしか覚えない頭の中身を充電してやるか?ァアン?」


「悪い。悪い。それはそうと、こういう暑苦しいところが一番好きそうな、バルカン(あいつ)はどうした?」


 全身に電光を纏いながら青筋を立てて切れるミネルヴァの姿に、流石に不味いと思ったプルートゥは、片手を挙げて謝った。


「ああ、あのバカならだいぶ前から『海が儂を呼んでおるわ』とか言って、素潜りに行ってっからそろそろ上がってくるころ合いじゃねえか?」


 ミネルヴァとしても、こんな小さなことでこれ以上揉めるつもりはなかったのだろう。

 あからさまに話題を変えるミネルヴァがそう言い終わると同時に、


「獲ったどおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!」


 ミネルヴァの差し示した沖合の先で、赤ふんどし一丁を締めて銛を片手に素潜りしていたバルカンが、仕留めた獲物を天に突き上げて絶叫している姿があった。


「はあ、本当にあいつの暑苦しさは変わらねえなあ。何で、こんな常夏の南国まで来て、筋肉ムキムキ野郎の赤ふん姿を眺めなきゃならないんだ?イルカが泳いでる姿を見るだけで十分だっつーの」


 プルートゥがげんなりしたようにそう呟いたのと、海から上がったバルカンが大量の魚を入れた網を片手に、プルートゥの元に駆け寄って来たのは、ほぼ同時だった。


「フハハハハハハ!!!ここにいたのかプルートゥ、皆!どうだ、大漁だぞ!!そろそろ飯時にしようではないか!何しろ、朝早くから深く潜っていたからな!」


「ああー……。ただでさえ暑苦しい気温が一気に増したな。流石は火の神だよ。まあいい。それで、豪語するだけの成果は上げて来たんだろうな?じゃなきゃ、今日の昼飯がヤバいことになるぜ?」


 挑発するようなプルートゥの言葉に、バルカンは大笑いしながら頷くと、今まで肩に担いでいた網を砂浜に置き、その中から取り出した魚を並べだし始めた。


「ウム、本日の釣果は、鮭に、鱒に、鮎に、ヤマメにイワナ、止めに鯉とより取り見取りだ!変わり種で鯰なんかもあるからな、バーべキューにはもってこいだぞ!」


 バルカンが砂浜に並べ立てたラインナップにプルートゥは、一瞬だけ口をあんぐりと開けて驚愕すると、


「全部川魚じゃねえかああああ!お前今までどこに潜って来たんだよおおおおおお!あんだけ深く海に潜っておきながら、どうやって山の幸を取って来れるんだよおおおお!」


 プルートゥは何故だか砂浜に並べられた山と川の幸を前にして、自信満々に胸を張るバルカンに、飛び膝蹴りをかましながら盛大なツッコミを入れた。


 するとその時、


「ふざけるのも大概にしろお!」


 今まで、忘れ去られたように姿が見えなかったバッカスの声が無人島の海に絶叫した。


「お前を起こした時に行っただろうプルートゥ!今、世界は滅亡の危機に瀕しているんだぞ!それなのに、目覚めて早々やることが常夏の島でのバカンスなどとは、弛み過ぎにも程があるぞ!キサマ、神の自覚があるのかッ!」


 そう叫んだ声の先では、体をナイスバディな女体の砂の彫刻で埋められたバッカスが居た。


「いやいや今一番、この状況を楽しんでいるお前に言われたかねえよ、バッカス」


 プルートゥは、ビーチチェアに寝そべりながらサングラスをずらすと、誰がどう見ても、この中で一番楽しんでいるように見えないバッカスに向かって、呆れた声を出した。


「別にふざけてるわけでも、楽しんでるわけでもありません!よろしいですか、我が君!」


「ウルセエなあ、是でも十二分に働いてるよ。バッカス、お前の方こそ、そろそろ悪ふざけは終わりにしとけ。じゃなけりゃ、これから多少酷い目に遭うぞ?」


「一体、何を――――」


 その時だった。


 バッカスが言葉を続けるより先に、突如として、バッカスの後方にある海の沖合が盛り上がり、海を断ち割る盛大な高波と同時に、南国の無人島の全土を震わせ程の轟音が周囲を埋め尽くした。


 あまりに突然の異変に、その島にいたプルートゥ以外の神々は咄嗟の事態に身を縮めて音のした方に目をやると、そこには、海の底から浮き上った巨大な何かが、海水を巻き上げながら空に浮かんでいる驚愕の光景があった。


 創世の神々の前に突然、海の底から現れ出てきたそれ――――――、


 それは、魚の体を持っていた。

 

 それは、鳥の翼を持っていた。


 それは、竜の鱗を持っていた。


 それは、虫の眼を持っていた。


 黒い体でありながらも全身を何色ともつかぬ燐光で纏い、悪趣味に光り輝き、邪気を放つその姿はとても此の世の生物とは思えなかったが、それはそのまま正しく、まさしく此の世の物では無かった。


「『恐魚プサリ』その中でも、鮫級カルカリアスが出て来るとはな。ここが無人島で良かったな。あんなもんが人前に現れ出ようものなら、それだけで大騒ぎになって、怪物退治どころじゃなかった。しっかし、まあ、育てるだけ育ったものだぜ」


 サングラスを外しながら、呑気にその巨大な何ともつかぬ生物を眺めるプルートゥに対して、その後ろにいる六柱の神々は、今までの緩い空気が嘘のように緊張感に包まれて、騒々しく動き出し始めた。


「プルートゥ様、お下がりください。此処は、私どもが治めます」

「なッ――――!あれは、悪魔デモンどもの侵略生物か!?」

「こんな所にまだ生き残りが居たのか!バルカン!武具の用意はできているか?それと、ヴィーナス、いい加減にここから出せ!」

「少しだけ待ってて、今から魔術式を練るから」

「ユーちゃんとディアちゃんは下がってて~、それとバッカス君は、今すぐにバルカンさんと一緒に戦闘準備を整えて来て~私たちはそれまでの間の時間稼ぎをするから~」

「ユースティティア、先陣はあたしが切る。雷で動きを止めるから、その後にディアナと一緒に援護に回ってくれ。バッカス、バルカンは後詰に、ヴィーナスは、防御に専念――――」


 その時だった。


「ウルセエ」


 プルートゥの発する言葉とともに、まるでこの島だけ異様な冷気と重力に襲われたように、全員が強烈な悪寒と重圧に襲われ、その場に思わずひれ伏した。


「引っ込んでろ、雑魚神ども。天地上下の全てにおいて、オレより上にある存在など無い。この場は、オレの支配下だ。オレを差し置き動くなど、天地が砕けてもあってはならぬことと知れ」


 各々が的確な判断で動く中、プルートゥは、そんな神々の動きでさえも不要と言い切り、ただ一柱で天災とも言えるほどの害獣を前にして、傲然として口を開き、泰然として佇んでいた。

 その姿と力を前にして、言うべき言葉など無く、冷や汗を流したままで頭を垂れることしかできなかった。


「で、ですが―――――」


 それでもミネルヴァは、尚も主に言い募ろうと上を向き、何事か口を開きかけた。


 だが、その瞬間だった。


「ですが、何だ?言ってみろ、ミネルヴァ」


 冷たく見下ろして来るその眼の前に、開きかけた口は閉じ、震えながらゆっくりと下を向いた。

 

「も、申し訳ありません……。差し出がましい、事を致しました……。我が、君……」


 恐怖も絶望すらも超越した、死そのものとも言えるほどの力の片鱗を浴びせかけられたミネルヴァは、今までにないほどに従順な言葉を口にして俯き、一言ずつまるで赦しを乞うように言った。


「よろしい。本質を忘れずにいてくれて、何よりだ。それと、そこの魚」


 そんなミネルヴァの姿に、プルートゥは別に何の感動もなく、まるで興味無さそうにそう声をかけると、向き直り、苛立たし気に口を開いた。




「そろそろ消えろ。うざい」




 次の瞬間。

 


「『暗黒点ブラックホール』」


 その言葉とともに、『恐魚プサリ』の目の前に小さな黒い点が生まれた。


 と、思ったのとほぼ同時に、あれほど巨大な怪物が一瞬で消え失せた。


 一体何事が起こったのか。それは、神の身である者たちをもってしても理解の範疇を越えたことであったが、そのことに対して、誰も身動ぎ一つすらできず、


「……お美事です」


 と、口を揃えるほかなかった。


 そんな神々を前にして、プルートゥは短く鼻を鳴らすと、ひれ伏した神々を振り返り、軽く笑った


「お前等、俺と一緒に少しばかしオレのいない時間が長すぎて、大分寝ぼけてしまったらしいな。

オレこそは、再生と開始を司り、終末と破滅を権能としたる、破壊と闇の神、プルートゥだ。

この名を前にして、敵などいない。

なぜならば、敵となった者は須らく死ぬからだ。

オレの前に立つ敵は、その段階で滅ぶるからだ。

オレの敵となると決めた段階で、その者は消えるからだ。

努々忘れるな。オレは滅ぼす者、俺は消し去る者、破壊と破滅を齎す者。

オレの前に敵は無い。故に戦う必要は無し」



「オレは、暗黒神プルートゥである」


  

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