表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ゲームを題材とするという事

作者: 栗堂

 最近の若者たちはどう考えてるのだろう?

 そんな年寄り臭い思考から生み出された、なんの事はない駄文ですので、それを楽しんでいただければ幸い。

 ある程度、年輪をキチンと刻んだオタクの薀蓄があるように見える、ただの自慢話のコト。


 ゲームを題材とすると最近の大ヒット作品である「ソードアート・オンライン」(SAO)が引き合いにだされます。もしくはパクり元。

 ゲームの中に入るというネタだけで「SAO」のパクり認定する傾向がありますが、最近の人たち(オタクたち)はこのネタが昔からありふれた定番のネタと感じないんでしょうか?


 ゲームの中に入るという事が現実の技術の延長で可能になったと考えられるようになったのはいつ頃でしょう?

 少なくとも、「ヘッドマウントディスプレイ」(HMD)が理論上のモノではなく、実物の試作品が世に出始めた頃には考えられるようになったと思います。

 ウィキィペディアで調べてみると最初に開発されたのは1968年となっております。Oh-、そんなに昔から存在してたのですね、自分の生まれる前ですわ。

 ・・・思ってたよりも古い時代からHMDがあった事に驚かされましたが、それわさておき。


 「SAO」が書籍と刊行されている電撃文庫でもゲームの中に入り込む、「ヴーチャル・リアリティ」(VR)というのを題材とした小説は存在します。

 電撃文庫が開催している小説大賞である電撃文庫大賞の第一回金賞受賞作である「クリスクロス」という作品がそうですね。

 VR技術の発達により嗅覚以外の五感が完全再現されたゲームの最初のプレイヤーたちの一人としてゲームを始めた主人公が、ゲームクリアまで脱出不可能となった状況で奮闘するお話です。

 最近のWEB小説では定番のVRMMO物と違い、オンラインゲームではなく特定の施設、まぁアミューズメント施設ともいうべき場所で、特殊な機器につながった状態でプレイするタイプのゲームという事ですから、プレイするハードルは高く設定されてます。当時の技術的なリアリティでは妥当なトコ、今ほどネットの威力が強烈な時代ではないですので。

 その小説の中では死んだプレイヤーのその後は明示されていませんが、プレイヤー視点では二度と見かけることがない、つまり、死んだものと考えられていて、所謂デスゲームと同等と考え良いのではないか?と。


 そんな「SAO」と同じレーベルでもネタ元としてゲームの中から帰ってこれないってネタはあるなぁ~っという部分は年寄連中には周知の事実である事を指摘した上で、さらに時代をさかのぼります。

 時代は「ファミリーコンピューター」の第一次ブームが巻き起こるのより前の時代。最初のゲームを題材とした大ヒット作の話です。

 ここまで言ってわかるレトロゲーマーは数多いでしょう、そう「ゲームセンターあらし」です。

 この作品も伝説の作品です。ザックリと解説するアーゲードゲームという呼称すらない昔の、最初のゲームブームの頃、というか、インベーダーブームの頃までさかのぼる時代の話。

 めちゃくちゃ流行っていたインベーダーや、その後発としてナムコ、コナミなどなどの今に続く老舗ゲームメーカー創成の頃のゲームで次々とハイスコア(最高得点)をたたき出す少年の話でして、数多くのライバル、終盤にはよくわからないナゾの組織(笑)まで登場して世界を救うためにゲームでハイスコアを叩きだすという、今考えればハチャメチャな作品なんですが、ハチャメチャな必殺技によって信じられないハイスコアをたたき出す主人公「あらし」の姿に興奮したモノです。

 一応、それなりの攻略に関する理論というか、理屈みたいなモノは必殺技にはありましたよ?

 ものスゴイ速さでレバー操作するために、その摩擦熱で発火する「炎のコマ」とかさ。静電気によって発生した電気を使ってコンビューターを誤動作させる「エレクトリック・サンダー」なんて今流行りのチートだよね~(笑)

 話が進むにつれて、荒唐無稽な必殺技でゲームクリアするのがメインなった伝説の作品(怪作?)

 この時は、まだブッ飛んだ少年漫画という領域でコンピューターに関する技術的なリアリティが皆無であった事は確かですが、これがのちの第一次ファミコンブームにも関わってくると思っているので、覚えておいてください。


 そして、時代は流れ、最初の「ファミコンブーム」の頃の話。

 やはり、スーパーマリオブラザーズは抜きにして語れない時代の話なのですが、実際にはスーパーマリオ以前から(当時としては)低価格でご家庭にあるテレビでゲームができるというインパクトは凄かったですし、それ以前に大ヒットしたテレビゲーム機と違って、ものすごくカラフルな映像でゲームセンターのゲームが遊べるというハイスペックさが子供たちの話題をかっさらったのですよ。自分の住むものすっごい田舎町にまで吹きすさぶほどの嵐を巻き起こして!

 当然の事ですが、子供向けのコミック雑誌でも流行りの「ファミコン」(ゲーム)を題材とした作品は多数発表されました。ゲームセンターあらしを連載していた雑誌も例外なく、というよりもゲームセンターあらしのヒットもあったのでより熱心に!

 発売されたばかりの新作ゲームを華麗にクリアする主人公の姿は子供たちのヒーローでしたもの。リアルでも新作ゲームをいち早くゲットし、集まった友達の前でクリアしてみせるのはクラスのヒーロー的なモノでしたしね。

 そんな当時のゲームを題材にした漫画ってのはゲームをプレイする状況ってのはいろいろなパターンがあったりするのですが、決まって行われた演出が存在します。

 それは「操作しているゲームキャラクターと主人公の一体化」、マンガ的な演出として読者との一体感を盛り上げるために、主人公がゲームキャラクターになったかのように描かれていたのです。

 少し考えるなら当然の演出ですよね。ビジュアル的にプレイしてるゲームのキャラクターがゲームではできないようなオーバーアクションでカッコ良く描写され、その顔は主人公そのものである。マンガ的な表現としてこれ以外にはないだろうという演出です。

 そんな演出を見ていると子供心としては「ゲームの中に入りこんでる!カッケー!」となるわけです。実際にはゲームに入り込んでるわけではないのですが、鼻垂らしたクソガキの心にはゲームの中で無双している主人公のビジュアルは深く焼き付いてくワケですね。



 さぁ、時代を現在に戻しましょう、唐突なんですが(苦笑)

 そういう経験値を持った年寄りオタクにとって「SAO」に代表されるVRを使ってゲームの中に入り込むというネタそのモノには新鮮さを感じる事はありません。新鮮さというかネタとしての今までになかったオリジナリティを感じるとしたら昔のマンガの荒唐無稽な演出を、VR技術によって荒唐無稽でない現実的なお話として昇華されているトコロにポイントを置くのです。

 そうして構築された状況の中で、悩み迷いながら歩んでいく主人公たちの姿にシビレるのです。

 ゲームに入り込む事ところのオリジナリティに価値は見出しません。その状況での主人公たちの物語に価値を見出すのです。


 だから、心して欲しい。VRという技術が一般的に手が届くようになった現在で、その先にあるより進んだVRを使った物語を作るのであれば、VRを使ったというところがオリジナリティではないことを。VRを使って体験した出来事がオリジナリティにつながるという事を。

 物語は技術によって拡張されてはいくけど、技術そのものが物語になるのではないのですよ。




・せっかく、イイコト風なモノを書いておきながら、それを汚すような蛇足文。

 現実の世界でHMDによる仮想現実空間の広がりを体験できるようになりました。

 最新のオキュラスリフトや、プレイステーションVRなどは残念ながら体験してないのですが、約20年ほど前のゲームセンターでHMDを使った3D空間というのを体験した事があります。

 当時のCGの描写能力は低くて、テクスチャーマッピングもできないような時代でした。

 いや、かろうじて可能であったかな?

 最初の「バーチャファイター」がブームになっていたぐらいの時代なんです。

 その時、ただの板の集まりでしかない簡素な形状のキャラクターしか登場しなかったのですが、前を見たり、振り返ったりして頭を向けた方向に広がる空間の大きさに感動した覚えがあります。

 そこから進化した、現実と見間違えるような描写力をそなえた最新のCGによる仮想空間。

 それは現実と区別がつかないと描写されてる小説などでは表現できない『ナニカ』があるのかもしれません。

 もしできるなら、その言い表せない『ナニカ』を描写する作品なんてのを書いてみたいモノですね。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 仮想空間か・・・ プラモ狂四郎とか結構VR世界のまんまだったかもしれませんね。 ファミコン風雲児とかまさにキャラクターと一体化してた記憶。 コロコロとボンボンはそんな話が多かった。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ