下敷きと不思議ボーイズ
4時間目、数学。
–––––––移動教室である。
「うわぁ…すうがくだりぃ…徠奈、おしえてぇぇ」
哀れなので、桃由に教えてあげることにする。
でも、基本は一年の積み重ねだ。どうしたって、1年やこれまでの内容に頼らざるをえない。
「あれ…下敷き下敷き…」
まった。
ワタクシの下敷きはどこに行ってしまわれましたのかしら。
キャラ崩壊している場合ではない。とっとと下敷きを探してしまわないと…
「桃由、ちょっと先行ってて。」
「おーけいー」
なんて軽いやつだ。
こっちは下敷きを一生懸命探しているのに…
机の中。
バッグの中。
「何故にない⁉︎」
またまたキャラ崩壊が起こってしまった。
こういう時ぐらい真剣になりたいものだ。
そうこうしているうちにクラスの殆どが移動してしまい、残りは私と2人の男子を残すまでになった。
–––––––あ、不思議ボーイズだ。
説明しよう。(おっほん!)
4月当初から、なんだか不思議な2人だなー、そう思っていた2人の男子=不思議ボーイズだ。
背の高い、二次元に当てはめるなら王子キャラの樫茂くん。
背の小さい、二次元に当てはめるなら猫タイプで幼馴染キャラの街鹿くん。
他の人達とは何か、纏ってるオーラが違う気がする。
あの2人が、私を二次元に連れて行ってくれるのか!
草加部徠奈、念願の夢、叶うか!
じゃないよ、下敷き、下敷き!
もしかして。
…私は、3時間目の教科である理科のノートを軽く振った。
カコン。
硬いものが床に落ちた。
発見!まさか、挟んだまんまになっていたなんて…
–––––––一生の不覚なり。
じゃない、早く急がないと授業に遅れる!
「ねぇ、早く言ってもらわないと、こいつ鍵係だから困るんだけど」
そうだった。このクラスにはまだ人がいたんだった。じぶんの世界に入って行ってしまういつもの癖で、てっきり鍵閉めて出て行けば良いもんだと思っていた。
「こら、夏之、柚。–––––––すみません、気にしなくても良いですよ。
それより、急いだ方が良いかと。」
樫茂くん、街鹿くんと違って神対応すぎる。
御言葉に甘えて、先に行かせて頂く。
後ろで、街鹿くんが何か言っているのを気にせずに。
下敷き、あるあるですw
私の場合、移動教室の後になくなったので、わざわざ別の校舎まで取りに行きました…
次は、桃由の考えです。