よくある日常
「よーしじゃあ4月の長期休み開けテストを却す!」
そういった理科の先生に対する反応は、皆同じ様なもんで。
「ええぇぇぇぇ⁉︎」
「今回のテスト、絶対悪い」
「神様仏様…」
みんながそんな事を祈る中、私は表面上落ち着いていた。
全然余裕なのかって?ううん、違う。
"十二使徒、降臨せよ。
我に希望を与えよ
我敵「テスト」を打ち負かす力を!
我に与えよ!"
心の中でいい終わり、ふぅ、と溜息をつくと、後ろの席の女子______桃由が後ろを振り向いて言った。
「なに、自信たっぷりって感じじゃん」
私は、えへっ、と笑って答える。
「たしかに桃由よりはいいって言えるけどさぁ…」
そうこうしている間に、テスト返却の順番が回ってきた。
「草加部徠奈ー。_____今回もいい点数だ。弛まず努力する様に。」
98点。いい感じじゃない。
私は緩む気持ちを極力抑えて席に座った。
「徠奈ー。_______おおっ。流石徠奈だね」
「それほどでもないよ」
私が答えると桃由がほおを膨らませる。
「あたしなんか51点。_______あああ、あたしも徠奈みたいな点数とってみたいやぁ」
「桃由も頑張ったらできるよ、こんな点数とったって毎日は変わんないし。
というかさっき十二使徒_______ペテロ・アンデレ・ヤコブ・ヨハネ・ピリポ・パルトロマイ・トマス・マタイ・アルバヨの子ヤコブ・タダイ・シモン・イスカリオテのユダに祈ったからさ。」
「徠奈、あんたそこ直せば良いのに…」
打ち明けよう。
私、草加部徠奈は二次オタ…つまり二次元オタクだ。
とあ○シリーズとか(だから聖書好き)、ボカロの〇〇プロとか…毎日〇コ〇コにいってるとおもう。うん。
でも。
まぁ自分で言うのもなんだが、体育以外成績は5_______優秀な子。
定期テストでは一位か2位しかとったことがない。
クラスでは、真面目子って思われていて、なかなか友達も出来なかった。
そんな私に声をかけてくれたのが桃由だった。
桃由はオタクでもなんでもない_______いや、アイドルに興味のある中2。
よくあるよくある、ふつうの中学生。
中身を知らなければ、私だってそうだ。
「くーさかべー。おお、98点かー。一回そんな点数取りたいわー」
「邪魔。うっさい。人の点数勝手に見んな。」
ほら、クラスの男子たちがまた点数をききにくる。
一年の時と変わりない。
なんなんだこの日常は。
誰か。
「私を非日常に放り込めよっ!」