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アウターマウカー ~セイント.ワールド.ゼロ.オブ.ゴッド.フォー~  作者: 南かずしげ
D.【オシリスとアイシス編】
93/105

93.D【凶夢:16】

前回からの続きです。

    ◎【16】◎



  〔オシリスとアイシス〕




 ある日の夜のこと


 ここは日本の東京都

 警視庁の建物の上層階にある会議室で、会議に参加している警察幹部や上層部たちが、この蒸し暑い中で話し合っている。

 勿論、室内はクーラーが効いていて、少しひんやりしている。


 この室内には、大きな円卓の席があって、そこに警察幹部や上層部たちが座っている。


 勿論、この国の治安や犯罪などについて話しているのだが、そこからどうしても、悪魔的化物〈アウターマウカー〉や、地球の護り神〈アクナディオス〉の話題になってしまうようだ。


 最初はヨーロッパでもイギリス方面からアフリカ方面で広がりを見せた〈アウターマウカー〉だったが、次第に次第にフランス・イタリア・ドイツなどとヨーロッパ全域に広まり、さらに中東・イズマリィドゥ連合王国などにも広まり、遂には日本にまでやって来ている。

 最近では大中華連合国やロシア連合国でも、その広がりを見せているようだ。


 一方の地球の護り神〈アクナディオス〉も何処からか、いつの間にか出現して、あっという間に世界中に広まっていって、遂には日本にも出現してしまった。



 最早、人間同士で争ってる場合ではなく、人類の他にも敵性が二種類も地球上にいるのである。


 今こそ、全人類が力を合わせて協力して、その化物共と対峙しなければならない……のだが、それでも人類は人間同士の争いを止められないでいる。


 そこに〈アウターマウカー〉や地球の護り神〈アクナディオス〉が狡猾につけ込んでくる。 ただでさえ、人類の争いが絶えないのに、()()を襲ってくるのだ。 これを卑怯と呼ぶのか、それとも自業自得と呼ぶのか……。



 今夜も日本の警視庁の警察官僚たちが夜な夜な不気味な話し合いをしている。


 話し合いが続くにつれて、だんだんと異様な雰囲気になっていき、室内が薄気味悪くなると、大きな円卓の席の中央の何もない円形の空間から、突如として、黒く謎の人影が無数に出現していた。


 そう、地球の護り神〈アクナディオス〉である。


 そして、なんと地球の護り神〈アクナディオス〉が、自分たちも現在(いま)(おこな)われてる会議に参加したい、などとほざいてきた。


「ヒヒヒ……ハハハ」


「ふ、ふざけるな! 一体何を言ってる!」

「くそ、調子に乗るな! 化物共め!」

「何故、貴様共の対策の為に、貴様共と一緒に会議に参加せねばならないんだ!」


 当然の怒号である。


「ヒヒヒ、無論…情報収集の為だよ。 ハハハ」

「ヒヒヒ、我らはまだまだ調子には乗れてない。 ハハハ」

「ヒヒヒ、さぁ…会議を続けたまえ。 ハハハ」


 こちらは嘲笑(あざわら)う態度である。


「そうはいかんぞ! このまま続けるわけにはいかんのだ!」


「ヒヒヒ、キミたち人間は本当に自分勝手で自己中な生き物だよね。 ハハハ」


「な、なんだとっ!? 我々人間が自分勝手で自己中な生き物だとぉっ!?」

「ち、ちくしょう! そんなことがぁ―――」

「………」


「それは一体どういう意味か?」


「ヒヒヒ、キミたちは同じ人間なのに、人種だとか宗教だとか領土だとか資源だとかで、すぐに争うだろ? それは自分勝手で自己中とは言わないのか? ハハハ」

「ヒヒヒ、キミたち人間は平気で普通に自然を破壊する。 お陰で天候もおかしくなってきてるようだ。 違うか人間よ? ハハハ」

「ヒヒヒ、キミたち人間は地球から奪うだけ奪い取り、どんどん駄目にしていくばかりだ。 まさに地球の()()……自分勝手で自己中と言わざるを得ないようだ。 ハハハ」


「だから貴様らは人間を殺しているのか?」


「ヒヒヒ、違う違う、返還だよ返還。 否、還元と言った方がいいけどね。 ハハハ」


「………か、還元だとっ!?」

「それは一体どういう意味なんだぁっ!?」

「…そ、そんなバカな…」


 この地球の護り神〈アクナディオス〉は人間を殺害し、人間が持つ「生命エネルギー」や「魂」を吸収して、()()を地球の中心部に与えて、地球の活力や原動力とさせており、地球の寿命を永くしている。 まさに需要と供給のパイプ役を果たし、特に人間の「生命エネルギー」や「魂」は「高純度エネルギー」なので、性能や精度がとても良いとされている。


 地球を生かす為に人間を殺す……まさに地球の護り神の役目である。

 だから自分たちの欲望と野心の為に、人間を平然と簡単に殺す〈アウターマウカー〉とは、全然訳が違うのである。


「……!!」


「ヒヒヒ、わかったかい? キミたちの血や肉やエネルギーは、まさにこの地球を生かす為になっているのだ。 ハハハ」

「ヒヒヒ、そうだよ。キミたちは地球の役に立っているのだ。ハハハ」

「ヒヒヒ、全ては地球の為だよ。ハハハ」


「…我々の…人間の命を…一体何だと思っているんだっ!!?」

「おう、そうだそうだ! 我々人間は地球の為の生贄(いけにえ)でも消耗品でもないぞ!」

「やっぱり我々人間は…地球に対して、相当罪深い存在…だと言うことなのか…?」


「ならば…我々人間は地球の為に犠牲になっていくのか…?」


「ヒヒヒ、それは違うぞ人間よ。いずれキミたち人間の為でもあるのだ。ハハハ」


「な、なんだとっ!? 我々の為だとっ!?」

「…そ、そんなバカな……な、何を言ってる…」

「な、何っ!!?」


「ヒヒヒ、普通に冷静に考えてわかる筈だよ。最終的にはキミたちの住むこの世界、この母なる大地を護ることになるんだからね。ハハハ」


「「「っ!!?」」」


 つまり、結論・理屈から言えばこうなる。


 1.人間を殺害し、「生命エネルギー」や「魂」を回収する。

     ↓

 2.回収した()()を地球の中心部に与える「高純度エネルギー」に変換する。

     ↓

 3.その「高純度エネルギー」を地球の中心部に与えて力にする。

     ↓

 4.地球は活力と原動力を取り戻し、活動・生存し続ける。

     ↓

 5.地球に住む人間が、より永く地球に住み続けることができる。


 まさに「大」を得る為に「小」を捨てる……長い目で見れば人間の為でもあるのだ。


「「「………」」」


 でも警察官僚たちは無言で難しい表情をしていて、少し考え込んでいる。


「ヒヒヒ、皆さん納得いかない顔だよね。 ハハハ」

「ヒヒヒ、いかに嫌な顔をしても、我らはこのまま続けるつもりだけどね。 ハハハ」

「ヒヒヒ、ならば我らはこれからも頑張るぞ。ハハハ」


「ヒヒヒ、それではじゃあね。 ハハハ」


 そう言うと、言うだけ言って、ある程度満足したのか、そのまま黒く謎の人影がスーと消えていき、地球の護り神〈アクナディオス〉が警察官僚たちの前から、姿がフッと消えて立ち去っていった。



 そして、会議の方はまだまだ続いていたと言う。



次回に続きます。

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