92.D【凶夢:15】
◎【15】◎
〔オシリスとアイシス〕
ある日の夜のこと
その日は早朝から蒸し暑かった。
この季節はだいたいが蒸し暑い季節である。
だがしかし、そんな蒸し暑い季節でも、人は絶えずに死んでいく。
また運命とは、自分自身の力で切り開くもの…と、よく言われているけど、実はそれさえも運命によって導かれているもの…なのかもしれない。
それは実に暑い暑い季節がまだまだ続く、ある出来事である。
ここは日本の東京都
警視庁の建物の上層階にある会議室には、警察幹部や上層部たちが大きな円卓の席に座って、なにやら不気味な話を夜な夜なしている。
「今日も非常に蒸し暑いよな。」
「ああ、夜になって暑いよな。」
「ああ、まったくクーラーを使用しないと、とてもやってられないよな。」
「ところで大阪府は災難だったな。 大阪府にある警察署が何者かに建物ごと爆発されたそうだな。」
「署内にいた者は、職員や関係者をはじめ、そこにいた筈の人間が全員行方不明であり、その生死安否も不明であるそうだな。」
「……まさか…全員殺されたのか?」
「……否、死体は確認されていないようだな。 建物の爆発なので、もう肉片すら残っていないのでないか?」
「……否、建物の破片や瓦礫の中には、死体のカケラもなかったのか?」
「……?」
「ああ、そのように報告されている。」
「それは一体どういうことなのか? 署内にいた人間が建物の爆発に巻き込まれて、それで生存者がいない状況で死体もないと言うことなのか?」
「はい、とても信じられませんけど、そういうことだと思います。」
「……!」
「なんだと、それは本当なのかっ!?」
「……な、なんということだ!」
ざわざわざわ
この衝撃の事実を知った警察幹部や上層部たちが驚愕しており、それで狼狽えて騒ぎだしているけど、ここで円卓の席の中央に座る男性が口を開けた。
「……問題は犯人……つまり、敵のことだな……」
「……?」
「……!」
「……敵……」
「……犯人……」
「それはどういうことですか?」
「あんなことを起こした者たちが、あの〈アウターマウカー〉や、地球の護り神だと称する、あの〈アクナディオス〉だと言う。 奴らは我々人類を超越した存在なのだよ。」
「くそ、化物共め!」
「だが、一体どうすればいいのだっ!?」
「……否、残念ながら、どうすることもできないようだな。」
「あともうひとつ、自分が殺される悪夢を見た者は、数日後に必ず殺されてしまうそうだぞ。」
「なんだと、そんなバカな!」
「そんなの、防ぎようがないではないか!」
「畜生! そんなの、おかしいではないか!」
「おい、なんだか滅茶苦茶だな。」
「ヒヒヒ、その通りだよ。 ハハハ」
すると突如として、何処からともなく不思議で不気味な謎の声が聞こえてきた。
「っ!!?」
「な、なんだ!!? 今の声は……っ!!?」
「一体何処から聞こえてきたっ!!?」
ざわざわざわ
その謎の声に慌てふためく警察官僚たち。
すると円卓の席の中央の何もない円形の小さな空間から、黒い謎の人影が浮かび上がっているのが見える。
一見して、それはまるで心霊現象や幽霊などと見間違う光景であった。
「あわわわ、ゆ…幽霊が出たぁーーっ!!」
「うわぁぁーー、ゆ…幽霊だぁーーっ!!」
「……ゆゆゆ…ゆ…幽霊……っ!?」
ざわざわざわ
その黒い謎の人影を前に、警察幹部や上層部たちが幽霊だと思い込み、あまりの恐怖で狼狽える。
だがしかし、円卓の席の中央に座る男性だけが、冷静に平常心でまた口を開けた。
「貴様は一体何者なんだ!」
「ヒヒヒ、我らは地球の護り神〈アクナディオス〉だよ。 ハハハ」
「な、なにっ!?」
するとここで黒い謎の人影が中央の席に座る男性に話しかけてきた。
「き、貴様があの地球の護り神〈アクナディオス〉だと言うのかっ!?」
「ヒヒヒ、その通りだよ。 周りをよく見てみな。」
「な、なにっ!?」
そこで円卓の席に座る警察官僚たちが、この室内の周囲を見渡すと、いつの間にか、そこら中に大量の黒い謎の人影が、うようよと存在していて、既に包囲されている。
「っ!!?」
「こ…これは一体……っ!?」
「ひぃぃぃ、ゆ…幽霊の大群だぁぁーーっ!!」
「うわあぁぁーー、こ…殺されるぅぅーーっ!!」
「………」
ざわざわざわ
この衝撃の光景を見た警察官僚たちが、無言・動揺・恐怖・驚愕・危機・絶望といった負の感情を惜しみなく出している。
ここでさらに中央の席に座る男性が、またまた冷静に口を開けた。
「それで我々を殺しに来たのか?」
「ヒヒヒ、まさか…だろ? キミたちのことなんて、どうでもいいことだよね。 ハハハ」
「何…我々を殺さない……だと?」
「ヒヒヒ、キミたちを殺して、我らに何かメリットでもあると思うか? ハハハ」
「……何っ、なら一体何しに来たのだ?」
「ヒヒヒ、それは勿論。 我らも一緒にキミたちの会議に参加するためだよね。 ハハハ」
「っ!!?」
「な、なにっ、なんだとっ!!?」
「そ、そんなバカなっ!!?」
「くそっ、我々をバカにしているのかっ!!?」
「ヒヒヒ……ハハハ」
この地球の護り神〈アクナディオス〉の発言は、果たして本気なのか? それともただ単にからかっているだけなのか?
この化物の真意など、誰にも判るわけがないけど、話し合いはまだまだ続いたそうだ。
果たして、これも運命なのだろうか……?
次回に続きます。




