89.D【凶夢:12】
◎【12】◎
〔オシリスとアイシス〕
日本のとある地域の某所
ある日の夕方
ここは都会の駅近に並んである高層ビルの上階の、とあるフロアにある、Aオフィスの中にある、その応接室の室内には、左側に漆黒の女性用スーツを着て黒いハイヒールを履いた一人の女性と、右側にビシッと紺色のスーツを着た一人の男性Aが、高価で四角い低めのテーブルを挟んで左右にある、高価で茶色のソファーにそれぞれ座っている。
この女性の容姿とは、身長が約163cm位の翡翠色のとても綺麗な長い髪、翡翠色の虚ろで綺麗な瞳、その漆黒の女性用スーツの上からでもわかる位のとても大きな胸にとても形の良く美しいお尻、スラッと伸びた細長く綺麗な両足、とても美しく形の整った何処か哀愁のあるお顔、何処をどう見ても絶世の美女なのである。 それと肌の色は、普通の一般女性の肌とほぼ同じで、とても透き通った綺麗な美肌である。
テーブルの上には、二人分の紅茶のほかにも、茶色や白色の封筒や、何かの資料・書類が複数枚…無造作に置いてあった。
その美女の名前は『佐々崎理緒』、(見た目の)年齢が20代後半、職業は『弁護士』である。 ちなみに彼女はただの普通の人間の女性ではない。 でも見た目は、バリバリのキャリアウーマンみたいな感じである。
〈アウターマウカー〉(ステージ4)
この佐々崎理緒と男性Aがなにやら真剣に話し合っている。
「どうも理緒さん、お久しぶりですね。」
「はい、どうもお久しぶりですね。 今回は弁護のご依頼ですか?」
「いえ、それとは別に依頼したい仕事があります。」
「……何でしょうか…?」
「とある男性の冤罪を証明してもらいたいのです。」
「……その方は無罪なのですか? ちなみに何の罪で逮捕されたのですか?」
「いえ、まだ逮捕はされていません。 現在逃亡中だそうです」
「……逃亡中?」
「はい、なんでも紙幣偽造の罪で逮捕令状が出ているそうですが、本人が「自分は何もやっていない」と言ってるそうなんですけど…?」
「……本人と連絡が取れるのですか…?」
「いえ、自分は直接ではないのですが、人伝でなんとか辛うじて判りますけど…?」
「………」
ここで理緒が少し考え込んで、無意識に両足を組み替えていた。 (一回目)
「……そうですね。 逮捕令状が出ていると言うことは、ある程度の証拠は揃っているのでしょうね。 そうでなければ、裁判所は出しませんよ。」
「…では…やっぱり彼が犯人なのか…?」
「詳細は直接その方に聞かないと何とも言えませんね。」
「……そうですか、やっぱり実際に彼と会わないと駄目なのか…?」
「何か不都合でもありますか?」
「………」
「その方に会えないのですか?」
「……はい……」
「……えっ!?」
「………」
そこで男性Aが少し考え込むように黙ってしまった。
ここで理緒もまた少し考え込んで、無意識に両足を組み替えていた。 (二回目)
「原則…被疑者または被告人を弁護するのが、私たち弁護士の仕事ですから、話を直接お聞きしないことには、何も始まりませんし、何も始められませんよ。」
「少し…彼と相談させてもらえませんか? 今の事を報告したいのです。」
「私の方は別に構いませんが、そちらの方は大丈夫なのですか? あまり時間がなさそうですけど…?」
「はい、なんとか……ちなみにもし仮に彼が逮捕されたら、勿論そちらの方で弁護してくれますか…?」
「はい、ご依頼があれば…いつでも……」
「そうですか、判りました。」
そこで男性Aが立ち上がり、座ってる理緒の方に向かって、一礼した。
「それでは失礼します。」
「はい、またのご利用をお待ちしております。」
そう言うと、男性Aが応接室のドアまで歩いていき、ドアをガチャリと開けて部屋を出ていった。 一方の理緒は自分の分の紅茶を飲むと、また無意識に両足を組み替えていた。 (三回目)
「次の方をお願いします。」
「はい、判りました。」
理緒が応接室の外で待機している秘書兼事務方の女性に声をかけると返事がしてきて、次の依頼人でラフな格好をした一人の男性Bが応接室の室内に入ってきた。
「どうぞお掛けになって下さい。」
「はい、どうも失礼します」
「……失礼します」
そう言われると、男性Bが先程男性Aが座っていたソファーに座り、秘書兼事務方の女性も入室してきて、新しく二人分の紅茶を持ってきて古いヤツと取り替えると、一礼して退室していった。
「どうも初めまして」
「はい、それで今日は一体どうされましたか?」
「……は、はい」(……ん?)
ここで理緒がまた無意識に両足を組み替えていた。 (四回目)
「じ、実は…だ、誰かに狙われているのでは…ないのか…? いつも誰かの視線が気になってしまって……」
「それは一体どういうことですか?」
「…ぼ、僕にもよく解りませんよ。 ある日突然、そんな感じがして…気がついたら誰かの視線を……」
「…解らない…ですか…? それは困りましたね。」
「……えっ!?」
「なるべくなら、犯罪や法律に関係する相談でお願いしたいのですが…その誰かに狙われているのでしたら、警察に相談してみたらいかがでしょうか?」
「け、警察に相談しても取り合ってもらえないんだよ!」
「……そうですか」(やっぱりね、挙動不審)
「まったく、「警察に来るよりも病院に行った方がいいぞ」なんて言って、相手にしてくれないんだよ!」
「……そうですか」(確かにね、挙動不審)
「それで僕は一体どうすればいいんですかね!?」
「もし仮に…あなたが本当に、誰かに狙われているとしても、私はただの弁護士なので…どうすることもできないですよ…」
「……そうッスか」(……ん?)
ここで理緒がまた無意識に両足を組み替えていて、漆黒の逆三角形の隙間から何かが見えた…!? (五回目)
「……!?」(ミントグリーン…!?)
「残念ですが、私では現状どうすることもできませんね。 まだ何も起きていないようですし…」
「はぁ~ 結局…あんたも同じなのか…? 何かが起きてからでは、もう遅いんだぞ!」
「しかし、まだ何も起きてはいませんし、また…誰かに狙われているのかも、よく解りませんので…こちらも手の打ちようがありません。」
「もういい! わかったよ!」
そこで男性Bが慌てて立ち上がり、理緒の方に向かって怒鳴りつけた。
「…ちっ、他をあたる!!」
「……そうですか、それではお気をつけてお帰り下さい。」(うるさい、挙動不審)
「……くっ……」
そう言われると、男性Bが慌てて急いで、応接室のドアをガチャリと開けて部屋を出ていった。 一方の理緒は自分の分の紅茶を飲むと、また無意識に両足を組み替えていた。 (六回目)
そこに理緒の背後から突如として、アルヴァロス・X・ラピッドマンが立って現れて話しかけてきた。
「……手厳しいな」
「私は何でも屋ではないわ」
「……そうかい」
「それに私のスカートの中を覗いた男に優しくする必要なんてないわ」
「ふふふ、だいぶ女性が板についてきたな」
「……ふん……」
「……〈アウターマウカー〉(ステージ4)よ」
そう言うと、アルヴァロス・X・ラピッドマンの姿が突如として、消えてしまった。
なんと…〈アウターマウカー〉(ステージ4)に、人間としての名前や職業があったとは……っ!?




