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アウターマウカー ~セイント.ワールド.ゼロ.オブ.ゴッド.フォー~  作者: 南かずしげ
D.【オシリスとアイシス編】
87/105

87.D【凶夢:10】

   ◎【10】◎



 〔オシリスとアイシス〕



 日本のとある地方の某所


  ある日の朝のこと


 とある高級ホテルで宿泊している一室にて


 ある一人の男性Aが、寝起きの全裸でシャワー室に入り、シャワーを浴びている。


「…ふう…」


 そこで一息つくと、シャワーを止めてから、白いバスタオルで身体を拭いていて、その後で白いバスローブを着てから、その男性Aがシャワー室から出てきた。


 その男性Aが、広い部屋の奥の方にある大きな窓まで歩いて近づき、途中でガラス張りの透明のテーブルの上に置いてある赤ワインを右手で持ち、大きな窓の前まで来ると、窓の外の様子を眺めながら、一口飲んだ。


「…〈アウターマウカー〉に〈アクナディオス〉…か」


 さらに男性Aが赤ワインをもう一口飲んだ。


「…このまま…〈アウターマウカー〉と〈アクナディオス〉が戦闘を行えば…確実に化物同士の戦争となるだろう。」


 そこで男性Aが赤ワインを再びもう一口飲んだ。


「…人間は…この化物同士の戦争に、とても耐えることができない……一番早く絶滅する種族なのだが…。」


 そこに男性Aが窓の(そば)に置いてある、木でできた椅子に座って、また赤ワインをもう一口飲んだ。


「…ふふふ…だが、この世界に住む人間には、そんなことなど知るよしもないはず。 現在(いま)でも何も知らずに、平和に暮らしている人間がほとんどであろうから、実際に戦争が起きたら、とても対応・対処できないだろう。」


 その男性Aが不敵な()みを浮かべながら、また赤ワインをもう一口飲んだ。


「もしかしたら、これで人類も終わりかもな。 ふふふ」


 そして、赤ワインが入ったグラスを眺めながら、最後に一言。


「ふっ、人類絶滅か……」


 その男性Aが椅子に深く座っていて、窓の外を眺めながら、赤ワインを飲み続けていた。






 旧アメリカ連合国アラスカ領


  ある日の夜のこと


 外が白一色の猛吹雪の中で、ハリー・ダグラスは一人で、この巨大な要塞みたいな白い建物の内部に侵入することに成功していた。


 そのハリーが、ある実験所みたいな広い部屋の中に入ってみると、実験台の女性たちがいる他にも、白衣を着た科学者の先生たちもいて、ハリーのことを待ち構えていた。


「………」


 ここでもハリーが来たとしても、この部屋の中にいる実験台の女性たちは、一切喋らずに無言のままであった。


「ここは一体……っ!?」


 ハリーが部屋の中を見渡すと、見慣れない機械やコンピューターがずらりと並んでいた。


「ど、どうもです」

「あの、あなたがハリー・ダグラスですね?」

「ようこそ、こんな所までいらっしゃいました。」


 するとそこに、科学者の先生とされる白衣を着た女性たちが、ハリーに声をかけてきた。


「ここでは一体何の研究をしている?」


「はい、ここでは…『保険魔法』の研究をしています。」

「いいえ、それだけではありません。 他にも色んな研究や開発をしていて、『保険魔法』はそのひとつなのです。」


(やはり、そうか。 あの日本の男性Aの情報通りだな)


 ハリーが少し考え込むけど、またすぐに話しかけてきた。


「それで『保険魔法』は本当に実在するのか…?」


「いいえ、今はまだ……だから、実際に使用できるところまでしなければ、私たちは……」

「……帰れません……いや、このまま生きて帰れるのか? まったく解らないのです」


「なにっ!? 拉致……いや、誘拐されたのかっ!?」


「……はい……」

ここで科学者の先生たちが黙って(うつむ)いてしまい、ハリーは思わず天井を見上げた。


(ちっ、まさか…ここまで情報通りとは…! これは日本の男性Aに協力要請せねば…!)


「ここにいる女の子たちも…そうなのか?」


「いいえ、ここの女の子たちは、私たちが連れてこられた時には、既にここに居ました。」

「この()たちは、ただの実験台なので…好きに使って構わない…と」

「まるで物のような扱いを受けていたそうです。」


「…そうか…」


(ちっ、だが…人数が少し多すぎるぞ?)


 ハリーがまた少し考え込むと、科学者の先生たちが再び声をかけてきた。


「それで…あなたは一体何をしに、ここまで来たのですか?」

「まさか…本当に、あなたは私たちを助けに来てくれたのですか!?」


「ああ、そうだ……と言いたいところだが、()()えずはここに居る者たちだけだ。 しかも今すぐに……と言う訳にはいかないのだ。」


「……えぇっ!?」

「ま、まさか……本当に?」

「ほ、本当に助けてくれるのですか!?」


「ああ、そうだ。 このボクの目的はあくまで『保険魔法』の奪取だけだ。 それに関係する資料・書類や人間などを持って……連れてくるように依頼されているからな。」


「やっぱり、あなたも目的は『保険魔法』なのですか?」


「ああ、そうだ。 これから敵の人数や武器などの確認、退路の確保に、キミたちや『保険魔法』の奪取の方法も確認しなければならないんだ。」


「………」


「なので少し時間がかかる」


「………」


「だから、それまでに皆で決めてくれないか。 ここに残るのか……それともボクと一緒に行くのか…を」


「はい、判りました。」


 ここで話しがある程度…まとまったようなので、そこでハリーが研究施設がある、この部屋の四方の角の上部に設置されている監視カメラの方を見上げて確認していた。


「さて、ボクもある程度の状況が確認できたので、行動を開始するかな。」


 なんと…ハリーがこの部屋のあちこちを見回りながら、色んな機械やコンピューターなどを見ている内に、やがて…いつの間にか、ハリーの姿が消えてしまった。


「……えぇっ!?」

「う、嘘っ!? 消えた!?」

「そんな……なんで……?」


「………」


 ここにいる科学者の先生たちが、ハリーの謎の行動に大変驚愕しており、凄く狼狽(ろうばい)しているのだが、実験台の女性たちの方は特に何もなく、無言のままで驚いた様子もないようだが―――


  何かあるのか?


 これからハリーが一体どういう行動に出てくるのか、果たして『保険魔法』は奪取できるのか、ここからが問題であり、不透明なのである。


 死を覚悟したハリーの運命やいかに!?



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