85.D【凶夢:08】
◎【08】◎
〔オシリスとアイシス〕
ここは日本のとある場所
そこは都会と言うよりも地方と言った方が判りやすく、そこの山奥の…さらに山の奥の方にある…その森の中には、一人の女性が斬り倒された木の切り株の上に座っている。
今はまだ昼間だというのに、木々に囲まれているため、少し薄暗い……。
その女性の容姿とは、身長が約160cm位の翡翠色のとても綺麗な長い髪、翡翠色の虚ろで綺麗な瞳、その黒い布のボロボロの服からでもわかる位のとても大きな胸にとても形の良く美しいお尻、スラッと伸びた細長く綺麗な素足、とても美しく形の整った何処か哀愁のある顔、何処をどう見ても絶世の美女なのである。
ちなみに肌の色は、普通の一般女性の肌とほぼ同じである。
さらにその側には、あのアルヴァロス・X・ラピッドマンが立っていた。
「……フッ、失敗したか」
その翡翠美女が突然…話し出した。 その声もとても美しく透き通った女性の声である。
「…失敗? あぁ…大阪府のあの警察署でしていた、例の実験のことか? まさか…本当にやるとは、思わなかったぞ。」
そこにアルヴァロスも話しかけてきた。
「皆さん、私のようになりたくて、必死なのだろう。 もっとも、この姿がそこまで苦労しなければなれないモノなどとは、正直…思わなかったけどね。」
「…それが本来の姿なのか?」
「さあ、それは解らない。 もしかしたら、答えなんてないのかもしれない。 いや、もしかして突然変異なのかも……?」
「確かに、お前は日本の美少女ばかりを沢山喰らった日本産。 もし…それが本来の姿なら、最早一周回って……まさに斬新かつ画期的……だよな?」
「でも…この姿からは、そう簡単に増やせないことがわかっただけでも、十分な成果だと思うけどね。」
「だが…その姿と力がないと、とても対抗できないのだろう? ならば…数を増やしていくしか…ないのではないか……?」
「……確かにね……だけど、あまり急ぎすぎると、仕損じて失敗する恐れもあるから、できれば…もう少し慎重にいきたいところだね。」
「随分と悠長だな。 それとも余裕ってヤツなのか?」
「……フッ、それよりも、今はこの身体と力に、もう少し慣れておく必要がある。 それに…もしかしたら、更なる力が隠されているかも……」
「もうだいぶ、色々と試したつもりなのだが、そちらにまだやる気があるのなら、こちらとしても、多くの実験データが正確に取れて、嬉しい限りだよ。」
その翡翠美女が…翡翠色の綺麗な瞳を輝かせて、翡翠色の綺麗な長い髪を手で掻き分けて、アルヴァロスの方を見て、再び話しかけてきた。
「ふふふ、この私たち〈アウターマウカー〉のことを、実験データの資料にしているとはいえ、色々と協力してくれたり、情報の提供や国作りのアドバイスもしてくれた恩がある。」
「……フッ」
「この私たち〈アウターマウカー〉のことを、ここまで進化させてくれた…あなたには、ぜひ協力したいんだよね。」
その時…一瞬だけだが、その翡翠美女の頬が少し紅く染まるのが見えた。
「……そうかい、わかったよ。 〈アウターマウカー〉(ステージ4)よ。」
うーん? 今の会話からでもわかるように、一緒にアルヴァロスと話し合っている、この翡翠美女が…あの〈アウターマウカー〉なのか…? しかも〈アウターマウカー〉がさらに進化して、遂には(ステージ4)にまでなっていた…?
「……まだ続けるのか?」
「ええ、そうだね。 私たちは…あんな〈アクナディオス〉なんかとは、全く違うんだよ。 受けた恩は必ず返すのさ。」
「ふふふ、そうかい。 それでは…そろそろ行こうか。」
「……わかったよ」
そう言うと、その翡翠美女が立ち上がり―――
そのままアルヴァロスと一緒に、さらに森の奥の方へと歩いていって、その姿がどんどんと消えていった。
日本の大阪府の某所
ここ大阪府では、現在…二ヶ所の警察署が爆発…建物は破壊されている。
一ヶ所目は突如として、署内にいた人間全員が消失したのをキッカケに、地球の護り神…〈アクナディオス〉が爆発エネルギーを使用して、建物内部を爆発させて破壊した。
二ヶ所目は突如として、武装した黒ずくめの男達と〈アウターマウカー〉(ステージ3)が署内を占拠・制圧して、人間を生け贄にしており、地球の護り神…〈アクナディオス〉に追い詰められた〈アウターマウカー〉(ステージ3)が更なる進化を焦って試みるも失敗、署内にいた者全員が死亡、建物も破壊されてしまった。
現在では、二ヶ所の警察署があった場所で建物の残骸や瓦礫などの撤去作業をしていて、新設の警察署建設の予定地となっている。
だけど…いざ、警察署を建てようとすると、何者かの妨害を受けていて、警察署の建設がなかなか思うようにいかずに、度々中断されている。
そんなある日の夜
そこでは全国の警察関係者の幹部や上層部などの者たちが、警察庁のとある会議室に一斉に集合しており、これから一体どうすればいいのか、それぞれの席に座って話し合っていた。
「いやぁ~ それにしても、今回は大変でしたなぁ~」
「いやぁ~ まったくですよねぇ~」
「それで…これから一体どうするつもりなのですかな…?」
「………」
「…どうするって、どうするも何もありませんよ。 このままだと、化物共にこの日本が盗られてしまいますよ?」
「だから…それなら一体どうすればいいと言うのだっ!?」
「…そ、それは……」
そこでまずは警察庁長官が口を開く。
「この件につきましては、現在…『死神反逆者同盟協会』の方に、ご協力をご依頼しました。」
「っ!!?」
その場にいた者たちが、一瞬だが…一斉に驚き息を飲む。
「…えぇっ!? あんな胡散臭い組織にですか……っ!?」
「ちょっと待ってくださいよ! いくらなんでも、あんな謎の組織に協力を依頼するなんてこと……っ!?」
「………」
「あ、あり得ないぜっ!!」
すると今度は警視総監が口を開く。
「これは上層部からの決定なのだよ。 政治家の…いや…政府からの協力依頼要請なのだよ。 我々には、これを断ることができないのだよ。」
「それは本当なのですか!?」
「おい、マジかよ!!」
「………」
「そんなバカなっ!?」
続けて警察庁長官や警視総監、さらには国家公安委員会の関係者が畳み掛けてくる。
「この件については、『死神反逆者同盟協会』のオリジナルリーダーのNo.019『ミドウリン』が、じきじきに動くことになりました。 皆さんもぜひ協力してください。」
「それに相手は、あの〈アウターマウカー〉に〈アクナディオス〉といった、とんでもない化物……人間の我々がとても太刀打ちすることはできない。」
「まったく、その通りだぞ! こちら側の被害や損害だけが増えるだけだぞ!」
「だがしかし、あんな組織にだけは……クソッ! 我々…人間の警察がまるで無力だなんて……クソッ!」
「あぁ…残念だけど…仕方がない…無念だよ…」
「………」
「…我々…人間は無力だ…」
(無力な人間ならば、いっそ滅べばいいな!!)
「それならば、魔法関係のことは『死神反逆者同盟協会』の方に、お任せすればよろしいですよね?」
「あぁ…それでいいんじゃないのか? ひとまず彼らに任せようぜ。」
「だがしかし、それではぁ―――」
「他に…対応策や対処法などがなければ、それで決定しますよ!!」
「これ以上の問答は時間と労力の無駄!! この件だけは『死神反逆者同盟協会』に一任するよ!!」
「―――以上だ」
「………」
「…くっ、判りましたよ…」
「では、次の議題は―――」
その後も様々な議題について話し合っていた。
この『死神反逆者同盟協会』の組織については、詳細がまだ不明なのだが、何故か…日本の警視庁や警察庁の一部の幹部や上層部の人間からは、この組織を毛嫌いされている。
その理由は簡単。 普通一般の捜査では解決出来ない事件などをすぐに解決するからであり、早く言えば…保身や嫉妬などの私情からである。 だがしかし、このまま迷宮入りや未解決にしては、警察の面子にかかわるため、仕方なく…よほどの事件などには、上からの命令で協力依頼要請をしなければならない。
この〈アウターマウカー〉(ステージ4)については、まだ様々なことが不明であり、正式には決定していないので、詳細な説明はまだ出来ないけど、一見して翡翠色の長い髪と瞳をした、どう見ても普通一般の巨乳美女の容姿と見た目であり、とても強そうには見えない。 また現在は、まだ絶対的な個体数が圧倒的に少ない。
これらの問題はまだまだ続きそうである。
━【男性死神】━
彼が某組織の創設者。
◎『死神反逆者同盟協会』 (日本支部)
●オリジナルリーダー (支部長)
○会員証・登録証:No.019
彼の名前を『ミドウリン』と呼ぶ。




