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アウターマウカー ~セイント.ワールド.ゼロ.オブ.ゴッド.フォー~  作者: 南かずしげ
D.【オシリスとアイシス編】
84/105

84.D【凶夢:07】

    ◎【07】◎



  〔オシリスとアイシス〕



 旧アメリカ連合国アラスカ領


  ある日の夜


 そこは現在は暗闇の夜なのだが、見渡す限りの白い雪と猛吹雪なので、その視界がほとんど純白の世界のホワイトアウト状態になっていた。


 そこに黒茶色の防寒具を身にまとい、伝説の七聖剣のひとつ【ロンギヌス】を所持している、元軍人のハリー・ダグラスが一人でポツンと立っている。


 詳しい場所は何処だかよく解らないけど、ハリーの目の前には、巨大な要塞みたいな白い建物が現れている。


「……ここなのか?」


 どうやらここが目的地のようだが、白い建物の外の周囲を見張る見張り役の者がいない…。 まあ、こんな猛吹雪の中をわざわざ外に出て、見張るバカはいないだろう。


「……ちっ…入口が見当たらないぞ……?」


 ハリーがこの猛吹雪の中で、わざわざ白い建物の入口を探す為に、周囲をグルリと一周回ってみたものの、何処も白い外壁だけしかなく、肝心の入口らしきものが見つからない。


「……ん?」


 するとそこに、この猛吹雪の中から、一台の装甲車が白い建物に近づいてきた。 ハリーが咄嗟に物陰(ものかげ)に隠れていた。 ……とは言っても、この猛吹雪の中では、その視界がほとんどゼロなので、まず見つからないだろう。


「…あ、あれは…?」


 そこで装甲車がある場所で一時停止すると、白い建物の外壁の一部が上に上がり、四角い黒い穴の入口ができた。 また装甲車が走り出し、その入口から白い建物の中に入っていった。


「なるほど、あそこから中に入れるのか。 …ん?」


 するとハリーが何かに気がつき、そちらを見てみると―――


 さらにそこに、もう一台の装甲車が白い建物に近づいて来ていて、先程の装甲車と同じように入口がまた開いて、その装甲車も白い建物の中に入っていった。


「やっぱり、あそこが入口のようだな? よーし、入口の場所はわかった。」


 さて、これから一体どうしたものか? 仮に白い建物の中に入れても、その内部には、謎の敵が拳銃や大型ナイフなどの武器を持っていて、沢山居るに違いない筈だ…。 いくらハリーが強くとも、その内部の情報もなしに迂闊に侵入するのは、さすがに危険すぎる…。 だがしかし、()()()()で立ち往生する訳にもいかない…。 さて、困ったぞ…。


「………」

ハリーが一度目を閉じて、再び目を開けた。


 否、ハリーにはこのまま、ここで朽ち果ててもよい、とさえ考えている男……最早、未来(さき)の事までは考えていないのだ。 そのハリーの瞳には、「覚悟」と言うキラリと光る輝きがあった。


「…面白い…最期に一花咲かせるか…まさにこのボクに相応しい最期だ…。」


 死をも覚悟したハリーが伝説の七聖剣のひとつ【ロンギヌス】を取り出して、そのまま素早く白い建物の入口の所まで走っていった。



   ―――-◎-―――



 地球の中心部、地下の奥深くに核があるとされる、とある場所の一ヶ所には、地球の護り神と称された〈アクナディオス〉と言う者が存在していた。


 またその〈アクナディオス〉には、あらゆるエネルギー源を吸収して、それをパワーに変換できる能力を持ちながらも、唯一…魔法だけが使用できない。


 同じ化物の部類でも、後から誕生した〈アウターマウカー〉には、強力な魔法の使用が可能であり、昔から存在した〈アクナディオス〉が、後輩の〈アウターマウカー〉に嫉妬していることは言うまでもない。


「何故〈アウターマウカー〉には魔法が使えるのかっ!?」


 あれ? 人間はいいのか?


 だがしかし、そんな人間臭い〈アクナディオス〉にも、ひとつの光明が見えていた。


 それが…あの『保険魔法』なのである。


 それは〈アクナディオス〉だけが、唯一だが…魔法の使用が可能になるかもしれない、謎の魔法で詳細は全く不明である。


 否、それ以前に本当に、そんな魔法が存在しているのかさえ、現時点では全く不明であり、まさに雲をつかむような難しい話なのだ。


 だがしかし、それでも〈アクナディオス〉は、その僅かな可能性に全てを賭けていた。


 …と言うことなのだが―――


「………」

「………」

「………」


 その〈アクナディオス〉が無言のままでいると、そのうちの誰かが―――


「アラスカに行かせたハリー・ダグラスの件のその後は一体どうなっている?」

「…残念ながら、今のところは報告も情報も一切ない。」

「…そうか…」

「……」

「日本の大阪府に行かせた我らの同胞の件のその後は一体どうなっている?」

「…残念ながら、今のところは報告も情報も一切ない。」

「…そうか…」

「……」


 ここで普通は、「そんなバカなぁ!?」だとか「くそ、畜生ーっ!?」だとか、罵声や怒号が飛び()う筈なのだが、全く反応がなく静寂が支配している。 それは異様で不気味なほどの静けさである。


「…ふふふ…」

「…くくく…」

「…ははは…」


 なんと言うことなのか! 周囲にいた者たちが突如として、嘲笑(あざわら)い始めていた…? この〈アクナディオス〉が進退極まって、遂に頭がおかしくなったのか…?


 だがしかし―――






「…そう、すべては…」



「…そう、すべては…」



「…そう、すべては…」






「……()()()()()……」



 なんとまだ成功している…?

 人間の(コトバ)で「勝敗は兵家の常」がある。


 だがしかし、この奇妙な計画のせいで、この世界が『恐怖の世界』になってしまうことに、発案者でもある〈アクナディオス〉を含む…全ての者が、まだその事実に誰も気がついていないのだった…。



 ※暇潰し [四天王編]


●日本魔法学部第七高校

  [四天王]

 「影森慶慈」、「斎藤要一」、「陸堂翼」、「陸堂瑛」


●日本の全魔法学校の最強

  [四天王]

 「四豊院奏」、「八陀院凌」、「一珂院撩」、「陸堂瑛」


●世界の最強魔法使用者

  [四天王]

 「アイザック・グラディデンス」、「アルヴァロス・X・ラピッドマン」、「アプリア・ロア・アルドニア」、「陸堂瑛」


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