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アウターマウカー ~セイント.ワールド.ゼロ.オブ.ゴッド.フォー~  作者: 南かずしげ
D.【オシリスとアイシス編】
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80.D【凶夢:03】

    ◎【03】◎



  〔オシリスとアイシス〕



  ある日の夜


 旧アメリカ陸軍の刑務所の中の独房に、閉じ込められて過ごしているハリー・ダグラス。


 そのハリーに会いにやって来た、アメリカ陸軍のマイティーネフト中佐と言う名前の軍人。


 さらにマイティーネフト中佐の背後に突如として現れた、アメリカ陸軍のギラーソンズ将軍と言う名前の軍人。


 ハリーはギラーソンズ将軍の謎の発言に、疑問に思い質問してきている。


「一体どういうことなのだ? このボクを迎えに来ただと?」


「ああ、その通りだよ。 君を迎えに来たのだよ。 ハリー・ダグラスよ」

「ああ、そうか。 もう処刑なのか? 確か…処刑予定時間は翌朝の…筈なのだが、まさか…将軍じきじきに来るとは…?」

「ちょっと待ってください! 確か…この男の処刑は明日の朝のはずで…まだ少し時間があると思いますが…っ!?」

「まさか、もしかして、ボクの処刑時刻が早まったのかな?」


「おい、何を言っているのだ!? 君たちは……この私はハリー・ダグラスの処刑担当の軍人ではないぞ!? 一体何を勘違いしているのだ!?」

「…なに…?」

「なんだと!? それは一体どういうことなのですかっ!?」

「この私はハリー・ダグラスに、処刑時刻の変更を言いに来た訳でも、処刑執行の指示を言いに来た訳でもない。 実はな…『あるお方』のご命令で、ハリー・ダグラスの "脱獄" の手伝いに来たのだよ。」

「…え…?」

「おお、それでは…陸軍将軍自らが、ハリー・ダグラスの "脱獄" の…いや… "出獄" の手伝いをしてくれる協力者なのですか…っ!?」


 一体何の事なのか、全く解らずに呆気(あっけ)にとられているハリーと、既に現状を把握しており、スゴく喜ぶ上官のマイティーネフト中佐。


「ああ、既に看守所長とは話しをつけており、さらにハリー・ダグラスに顔や体格がよく似た、死刑囚人の処刑代理人も用意してある。 問題ない。」

「おお! なるほど、そうなのですか! それでこんな夜遅くに迎えに来たのですか! それでは、例の "アレ" も持って来てくれたのですか…っ!?」

「…え…?」

「ああ、勿論だよ。」


 またしても、呆気(あっけ)にとられているハリーに対して、ギラーソンズ将軍が伝説の七聖剣のひとつ【ロンギヌス】を取り出して見せている。


「なんだとぉ…っ!? それはボクの愛用の聖剣【ロンギヌス】だとぉ…っ!? まさか…確かに厳重に保管されて監視されていると聞いているのだがぁ…っ!?」


 それを見せられたハリーが強烈に驚愕している。


「ふふふ、こちら側の協力者から、この聖剣を託されたのだよ。 それに君には、まだ必要なのだろう……そう、"復讐" するのには……なぁ。」

「……? アンタたちは…さっきから…何を言って……?」


「おいおい、まさか "夢の伝言(メッセージ)" を覚えていないのか? ハリー・ダグラスよ」

「まぁいい、"夢の伝言(メッセージ)" についての話しはあとだな。 取り敢えずは、この独房から出てもらうぞ。 ハリー・ダグラスよ」


「……」

(…なに… "夢の伝言(メッセージ)" …だとぉ…っ!?)


  ガッチャァン!


 そう言うと、ギラーソンズ将軍がハリーが入れられている独房の鉄格子の扉の(カギ)()けて扉を()けている。


「さぁ…出てくるんだ。 ハリー・ダグラスよ」

「おい、出ろ!」


「……」

(まさか… "夢の伝言(メッセージ)" …とは? そうか、そういうことなのかっ!?)


 言われた通りに、ハリーが無言で静かに、入れられていた独房から廊下(外)に出てきた。


「よし、では…ついてこい。 ハリー・ダグラスよ」

「こっちだ!」


「ああ、わかった。」


 言われた通りに、上官のマイティーネフト中佐とギラーソンズ将軍のあとに続くようにして、ハリーが二人のあとをついて歩いていく。


 そして、三人は薄暗い照明がついた廊下の奥を歩いていき、姿が消えていった。


   ●  ◎  ●    


 この【魔法世界】には、『保険魔法』と言うモノがあるらしいけど、幻の魔法としていて、実際に存在しているのか、全く解らない……研究・開発中の未知の魔法である。



   ―――-◎-―――



  日本の大阪府の某所


   ある日の朝


 大阪府の某警察署の署内にある取調室では、一人の男性容疑者が、今日も刑事たちの取り調べを受けている。


「……」


 その男性容疑者は今日も沈黙している。


「おーい、今日も喋らんつもりなんかい?」


「…黙秘する…」


「ちっ、お前ええ加減にしろやぁ! お前が犯人やと言うことは調べがついとるんやぁ! ええ加減に白状しろやぁ!」


「……」


「一体何なんやぁ! お前…いや…お前らは何でこんな事をするんやぁ! 大阪府、京都府、奈良県の三ヶ所にわたり、少女たちに暴行を犯してからの逮捕やぁ! お前らの動機がさっぱり解らんのやぁ!」


「……」


「お前には仲間がおるな? そいつらもお前と同じ手口やったんやぁ! お前らは共犯と見て間違いないやろう!? えっ、どうなんやぁ! 答えぇ!!」


「……」


「ちっ、やっぱ駄目やな!」


 するとそこに突如として、若手の刑事が取調室に入ってきて、取り調べをしているベテランの刑事に耳打ちをしている。


「なんやと!? それはホンマなんかい!?」

「…はい…」

「おいおい、これは一体どういうことなんやぁ!? おい、お前はこいつを見張っとれ!」

「…はい…」

「くそ、一体何が起きとるんか、さっぱり解らんわぁ!」


 そう言うと、取り調べをしていたベテランの刑事が、突如として席を立ち上がり、そのまま取調室を出ていき、代わりに若手の刑事が席に座っている。


「……」


 その後も男性容疑者は依然として、黙秘を続けている。



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