79.D【凶夢:02】
お久しぶりですが、
2017年12月、今年最後の投稿・連載です。
◎【02】◎
〔オシリスとアイシス〕
ある日の朝
旧アメリカ陸軍の刑務所の中の独房に、閉じ込められて過ごしているハリー・ダグラス。
昨夜は非常に奇妙で変な夢を見た。 まさか……自分の夢の中に、あの〈アクナディオス〉が現れたのだからな。 このハリー・ダグラスは、既に終わった人間だと思っていたのだが、どうやらまだ先があるらしいようだな。
ハリーは朝早く起きてから、すぐに瞑想に入る。 その後は、すぐに朝食が用意される……のだが……このハリーは食事など最早必要のない男なのだが、食べねば看守とモメることになる。 出来る限りはモメごとは避けたい……なので、仕方なく食事をしている。
あとは何もしない時には、正座をして目を閉じて瞑想している。 時々…看守が様子を見に来るけど、特に何も起こらずにまた立ち去っていく。
それと昼食・夕食も用意されて、これらを食べる。
このハリーはただ一人で、この何もない独房で、外に出る事が許されていないのだ。
そのまま別に何も起こらずに再び真夜中になる。
すると…突然…ハリーが居る独房の前に、ある一人の男性が現れている。 ハリーは相変わらず…目を閉じて正座をして瞑想しているのだが、さすがに誰か来たのに気づいたようだな。
「…誰だ…キミは…?」
ハリーがそのままの状態で、その謎の男性に話しかけてきた。
「私は…アメリカ陸軍のマイティーネフト中佐で軍人だ。」
「…マイティーネフト……中佐……はて、あまり聞かない名前なのだが…?」
「ここ最近、将校になった新人で…アンタの後輩にあたる。」
「ほーう、その若さで中佐とは、このボクの上官殿なのか……このアメリカ陸軍もよほど有能な人材に恵まれているのか……それとも……よほど有能な人材不足なのか……?」
「くっ、言わせておけば…べらべらと余計なこと…っ!」
「それで…このボクに何か用なのか? 中佐殿よ」
「ふん、アンタの処刑が決定した。 明日の朝6時に銃殺刑だそうだぞ。」
「ほーう、それで…?」
「なんだと!? キサマ!!」
「ふん、軍法会議も裁判も査問委員会さえもなしにいきなり極刑とはね…やっぱり…このボクに生きていられると困るらしいよね。」
「いいや違うね。 アンタはもう用済みなのさ。」
「…用済みねぇ。 まぁそれで殺すのも一理あるけど、ならば…この牢獄に一生閉じ込めておけばいいだけの話しだよ…その内に老死するか…病死するか…どちらにしても、手間が省けて死んでくれるはずだよ。」
「………」
「むしろ…銃殺刑の方がよっぽどリスクがあるし、このボクの為に弾丸を使ってくれることの方が光栄だね。」
「……何が言いたいのだ?」
「ふん、もう判っているんだろう? 軍の幹部や上層部が明らかに慌てているようだな。 どうやら早急にボクをこの世から消したいらしい…なぁ?」
「何故、そんなことをする必要があるのだ?」
「ふん、そんなことは軍の幹部や上層部にでも聞いてみるんだな。 まぁ答えてはくれないだろうがな。」
「………」
「さぁもういいだろう! 最期の夜ぐらいは、一人にさせてもらおうか!」
「それは駄目だ! そういう訳にはいかないぞ! キサマには最早…自由などはない! 今夜はとことん…この私に付き合ってもらうぞ!」
どうやら上官のマイティーネフト中佐は、ハリー・ダグラスのことを冷やかしに来ているようだな。
「やれやれだね……よほどの暇人だよね。 キミも……ボクは明日の朝には、躯になっている男なのだぞ? 中佐ならば他にもやるべき仕事とかあるだろう?」
「う、うるさい!! 黙れ!! キサマ!! 生意気だぞ!! 上官の命令に従え!!」
「……黙るのキミだよ。 もう邪魔だからさっさと消えろ! もうまもなく、骸になる人間に今さら命令もクソもないだろう!」
「く、くそ! 確かに…っ!」
上官のマイティーネフト中佐がハリー・ダグラスに言い負けてしまい、少しおとなしくなってしまった。
すると突然―――
「ああ、その通りだな。」
「……っ!!?」
上官のマイティーネフト中佐の背後から、男性の声が聞こえており、上官のマイティーネフト中佐が後ろを振り向くと、そこに見知らぬ謎の男が立って現れている。 その容姿とは、長身に黒髪に黒目と黒服を着たハリーよりも、少し年上そうな見た目の男である。
「…誰だ…お前は…?」
上官のマイティーネフト中佐が身体ごと、ハリーとは逆方向の後ろを向くと、その謎の男に話しかけてきた。
ハリーの方はまっすぐと、その謎の男の姿を見ている。
「クックックッ、私か…? 私は…アメリカ陸軍のギラーソンズ将軍と言う者で軍人だよ。」
「な、なんだと!? しょ、将軍だと!?」
「……っ!!?」
(…この男は…何処かで…見たことが…あるのだが…将軍だと…一体何処で…?)
「クックックッ、ハリー・ダグラスよ。 迎えに来たよ。 答えはもう出たのかい?」
「……えぇっ!?」
「……なにぃっ!?」
その謎の男のこの謎の発言に、上官のマイティーネフト中佐やハリー・ダグラスが動揺しており、物凄く驚愕している。
この謎の男とは、一体誰なのか!? 一体何の目的でここに来たのか!? かなり気になるところだが…!?
次回は、
2018年2月以降の再開予定となります。




