74.C【窃盗】
【22】
●化物島
◎タレイア町 (第六の事件)
『……マジか……?』
※「命知らずの自殺行為だよねぇ~。」
【アウターマウカー】
[M32/9月]
悪魔的化物〈アウターマウカー〉が支配する化物島の三都市では現在も建設ラッシュが続いており さらに加速していて次々と建物ができていた。
それに伴い新しくできた北東部にある都市の "タレイア" の町でも建設ラッシュが凄く加速して進んでいてようやく人間が住める状態や環境になりつつあった。
道路についても "タレイア" の町と三都市を繋げる道路の整備・舗装が大部分で終わっており徒歩や自動車などでの通行も可能になっている。
一方では "タレイア" の町にはアルヴァロス・X・ラピッドマンの「第二の別荘」こと研究施設が建てられておりアルヴァロスはそちらの方にも顔を出している。
詳細な場所は不明だがアルヴァロス本人や〈アウターマウカー〉(ステージ3)などの一部の者しか知られていない場所に研究施設があるようで研究内容は従来通りの〈アウターマウカー〉についての研究にプラスして ここ最近……新たに登場した〈アクナディオス〉についての研究もしている。
今回はその研究施設で起こった事件について紹介する。
それはアルヴァロスの今までに調査していた資料や研究していた資料がアルヴァロスの知らない間に全てなくなっていたのだ。
普段はそこにある物が突然なくなっている……つまり何者かが無断で持ち出した『窃盗』と言うヤツである。
しかしある場所も特定できず資料も厳重に管理・保管していたのに……一体どうやって……!?
今まで起きた事件に比べると少しランクが下がる事件だがこれもれっきとした事件……早速だが警察に被害届を提出して捜査が開始された。
だが……当の本人であるアルヴァロスは特に困惑したり動揺したり慌てた様子はしていない。
何でも全ての資料の記録や研究データは既に頭の中にインプットされており それを紙に残していたまでであり……また普段から持ち歩いている《魔法記憶媒体端末》は無事であったからだと言う。
一方ではむしろ今回の事件で非常に驚愕して困惑しているのが〈アウターマウカー〉の方である。
人間はともかくとして……最悪でも〈アクナディオス〉などの手に渡ればそれこそ一大事だからである。
その為に〈アウターマウカー〉も独自に捜査していた。
登場人物
①アルヴァロス・X・ラピッドマン
②〈アウターマウカー〉(ステージ3)
③ディケ・ディネレス
④新人の女性刑事(クロト・警察官)
⑤婦警(クロト・警察官)
ある日の朝
クロトの町の北側のはずれにある別荘(第一の別荘)
別荘のリビングにはディケ・ディネレスと新人の女性刑事と制服を着た婦警の三人が窓側にある長細いソファーに座り アルヴァロスは右側にある大きめの一人用ソファーに座り 中央にはテーブルがあり紅茶が五人分置いてある。
〈アウターマウカー〉(ステージ3)は窓側左側の方に腕組みしながら立っていた。
現場である研究施設は荒らされた痕跡があり物が散乱している状態で現在は鑑識が施設の中に入っている。
ディケは今回の事件の担当となり事情聴取をしに来ていた。
③「それにしても今回は大変でしたね。 アルヴァロス様」
①「まぁーな」
④「しかし……よりによってアルヴァロス様の研究施設を荒らし回る命知らずな犯人がまだこの島にいたとは驚きでした。」
②「ああ まったくだ!」
⑤「もしかして……知らなかったのでしょうか?」
③「いいえ それはあり得ないわ! 研究資料を奪って逃げたのよ! 〈アウターマウカー〉の研究なんて……アルヴァロス様ぐらいしかしていないわ!」
②「……」
⑤「あっ なるほど 確かにそうか」
④「でもそんなモノ奪って一体どうするつもりですかね?」
①「そうだな 私の研究データはお金になる。 闇取引では高値で売られるケースがあり犯罪組織には喉から手が出るほど欲しいモノなのさ。」
②「……ちっ」
③「……」
④⑤「えぇっ!!?」
新人の女性刑事と婦警の二人が凄く驚愕していた。
⑤「そ…それって…?」
④「そ…それは一体いくらぐらいするのですか…?」
①「んー 詳細は不明なのだが…何でも最高額で "億" はいくんじゃないのか?」
②「……!」
③「えぇっ!?」
④⑤「お…億ぅっ!!?」
今度はアルヴァロス以外の者たち全員が凄く驚愕していた。
⑤「す…凄い…ですね…」
④「…お金になる…」
③「犯人はそれを知っていて……強奪した…?」
②「むむっ!?」
①「しかしな…私の研究はまだ道半ばで途中だし終了もしていないし成功もしていないからな。 もし私の研究が完成していたらもっと凄い金額になるだろうな。」
⑤「まだ研究を続けていたのですか…?」
④「そうか わかったわ! 凄く永い研究に我慢ができずに途中でもいいから強奪しようと言う訳ですね?」
③「いや 単に研究が終わっていないことを知らなかったのでは…今頃きっと後悔していますよ。」
②「おそらく後者かもな…バカ共め!」
①「いや もしかしたら…皆が思っている以上のモノを手に入れようとしているかもな。 ……そいつは……」
③④⑤「え……?」
②「……?」
①「そいつが "あの研究" を私がしているのを知っていて "それ" を盗むつもりでいたのかもしれないな。」
②「…? なんだ それは…?」
①「ああ それは『〈アウターマウカー〉(ステージ4)への道』と言う研究内容だな。」
③④⑤「えぇっ!!?」
②「な…何ぃっ!!?」
ここでまたしてもアルヴァロス以外の者たち全員が凄く驚愕していた。
①「しかしながら "それ" については大丈夫だな。 盗まれていないし盗まれる心配もないからな。」
②「な…何故だ…?」
するとアルヴァロスが自分の右手の人差し指を頭に当てた。
①「ふふふ "それ" についての研究データは全てこの中にあるからだ。 だから盗みようがないのだ。」
②「……」
⑤「なるほど その『〈アウターマウカー〉(ステージ4)への道』の研究内容は頭の中に記憶しているのですね。 さすがに凄いですね。」
④「でも…もし『〈アウターマウカー〉(ステージ4)への道』の研究内容が本当の目的なら…犯人はまた『窃盗』しに来るのでは…?」
③「ええ そうよね せっかく強奪したのに肝心なモノがなかったらまた来るでしょうね。 そうなるとまた研究施設が荒らされますね。」
②「いや もう来ないだろうなぁ いくらなんでもアルヴァロスの研究施設にまた行くと言うことはまさに自殺行為だ。」
①「今度は研究施設に罠を仕掛けたからもう大丈夫だ。 ふふふ 私の罠はえげつないよ…」
③「それでは私たち警察は研究施設の周辺の見回りや犯人の捜査をしますね。」
④⑤「はい!」
②「我々も独自に捜査する…その『〈アウターマウカー〉(ステージ4)への道』とやらを欲しがる連中のツラをぜひ見てみたいからな。」
①「そうか…まぁ…皆よろしくな…」
こうしてアルヴァロスたちはその後も今回の犯人に対して次なる対策を検討していた。
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『窃盗事件』
※「命知らずの自殺行為だよねぇ~。」
今回はアルヴァロス・X・ラピッドマンが被害者になるお話しです。
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悪魔的化物〈アウターマウカー〉が支配する化物島の北東部にある都市 "タレイア" の町の何処かにあるとされるアルヴァロスの研究施設が何者かに侵入されて荒らされていて研究データが全て盗まれる『窃盗事件』が起きていた。
しかしその中でもっとも重要な研究データの強奪は免れていた。
それで〈アウターマウカー〉(ステージ3)や警察はそれぞれ捜査を開始してアルヴァロスも独自に対策する事になる。
『化物の国』
〈アウターマウカー〉所有の化物島にある街の情報を表示したものである。
[見方]
街の名前
場所:人口(人数)
施設:様々な建物の多さ
A(多数).B(普通).C(少数)
交通:交通機関と手段の拡充
A(便利).B(普通).C(不便)
発展:街の発展度合い
A(最高).B(普通).C(最低)
人口総数:島内に居る人間の総人数
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【テミスモイラ】
[クロト]
◎北西部:2000人
●施設:A 交通:A 発展:A
[ラケシス]
◎中央部:2000人
●施設:A 交通:A 発展:A
[アトロポス]
◎南西部:2000人
●施設:A 交通:A 発展:A
[タレイア]
◎北東部:500人
●施設:B 交通:A 発展:C
※人口総数:6500人
〈アウターマウカー〉
[ヘスティア]
◎南東部:52400人
●施設:B 交通:A 発展:C
【備考欄】
1.化物島の北東部にある "タレイア" の町で大部分の建物が建てられている。
主に住宅・普通学校・病院・商店街などは勿論だが料理店・大型公園・遊園地・別荘・ホテルなども建てられていて住民もある程度集まってきている。
ただ残念な事に警察関係の建物はまだ出来ていない。
2.ディケ・ディネレスに同行した部下として今回の事件に参加した新人の女性刑事の階級は巡査部長であり婦警の階級は巡査である。
共に捜査の助手として活動して勉強している。
3.アルヴァロスが使用している《魔法記憶媒体端末》とは所有者の魔法力で使用する事が出来て色々なモノを記憶しておける媒体を端末化したものである。
所有者であるアルヴァロスにしか使用する事が出来ない。




