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アウターマウカー ~セイント.ワールド.ゼロ.オブ.ゴッド.フォー~  作者: 南かずしげ
C.【アウターマウカーの国編】
51/105

51.C【右足】

    【03】


化物島(テミスモイラ)

◎クロト町 (第二の事件)

     『女性殺人事件』


※『この死体には右足が無い…?』


 【アウターマウカー】


   [M32/3月]


前回の三都市で起きた同時多発の赤ちゃんの誘拐事件の犯人とされていて事件に関与したと思われる警察官全員を〈アウターマウカー〉たちが "大粛清" しておりその事により警察官の人数が全体的に減少してしまったのである。


そして化物島(テミスモイラ)での人口増加により三都市ではさらなる発展を続けておりクロト・ラケシス・アトロポスの三都市を繋ぐ道路や線路などの整備や空港や海港などの建設が進められていた。

まさにかつて昔の日本の高度経済成長期の時代のような建設ラッシュが既に始まっていたのである。


   ―-―-―-―-―


アルヴァロス・X・ラピッドマンは相変わらず別荘の庭に置いてある木で造られたテーブルとイスのイスに座りテーブルの上に両足を置いていてまたしても何かの本を読んでいた。


そこに今度は珍しい客人が歩いてアルヴァロスがいる庭まで訪ねにやって来ていた。



登場人物

①アルヴァロス・X・ラピッドマン

②アイザック・グラディデンス

③ヴィーナ・L・ヴァレンタイン(アイザックの侍女)

④エリオット警部(警察官)

⑤〈アウターマウカー〉(ステージ3)



 ある日の朝


アイザック・グラディデンスとその侍女のヴィーナ・L・ヴァレンタインの二人はアルヴァロスがいるテーブルの前に立っていた。

それに気づいたアルヴァロスが本を置いて顔を上げてアイザックたちの方を向いて話しかけてきた。


①「おや? 珍しいな 今日はどうした? アイザックよ」

②「やぁ キミがここでのんびりと暮らしていると聞いてね 様子を見に来たのだよ アルヴァロスよ。」

③「どうもです アルヴァロス殿」

①「どうも ヴィーナ殿」

②「ふふふ」

①「…で 今日は挨拶だけかな? アイザックよ」

②「いや ここに来る途中で判ったのだがこの島全体で魔法の結界が張られているな アレは〈アウターマウカー〉たちが仕掛けたモノなのか?」

①「ああ そうだがそれがなにか?」

②「いや この島に仕掛けられている魔法結界は何重にも張られていてね 結構な大掛かりな仕掛けだな…と思ってね。」

①「むっ!」

②「まるで何かを恐れているかのような…?」

③「……」

①「…? まさか!『世界魔法評議会』はこの島に攻撃を仕掛けるつもりなのか?」

いつもは冷静沈着なアルヴァロスはこの時は珍しく声の音量を少し上げてアイザックに問い詰めた。

②「いや そこまではまだないと思うのだが…?」

①「ふう そうか ならいい」

アルヴァロスは少し落ち着き深呼吸をした。

②「珍しいな キミがそこまで取り乱すとは…?」

①「いや キミが『世界魔法評議会』の "先遣" あるいは "斥候" でありこの化物島(テミスモイラ)の様子を調査…見に来たのかと思ったのだよ。」

②「ふっ まさかだろ ボクはそんな面倒臭いコトはしないさ アルヴァロスよ」

①「まぁな それでは観光かい? アイザック」

②「ふふふ まぁね ボクも少しは興味があってね 〈アウターマウカー〉たちが支配しているこの化物島(テミスモイラ)という所をね。」

①「ふむぅ なるほどな」

②「ふふふ」

③「……」

①「……」

そこで話しは止まってしまった。


   ―-―-―-―-―


 タッタッタッタッ…!


そこにエリオット警部が血相を変えてアルヴァロスたちがいる所まで慌てて走ってやって来ていてテーブルの前で立ち止まった。


④「はぁはぁはぁはぁ…」

③「…っ!?」

②「ん? なんだ?」

①「おおっ! どうしたのだ? エリオット警部よ…」

④「た 大変です! アルヴァロス様 殺人事件が発生しました。」

②「はぁ? 何?」

③「…殺人…事件…?」

①「むっ!」

アルヴァロスはエリオット警部の周辺を見渡した。

①「キミ一人か? 他は? 〈アウターマウカー〉たちはどうしたのだ?」

④「現在 現場にいます アルヴァロス様も至急現場にお越し下さい。」

①「そうか わかった」

②「よし ボクたちも行こうか? ヴィーナ」

③「はい 判りました」

④「では こちらです」

アルヴァロスたち四人は殺人事件が起きた現場に向かって行った。


   ―-―-―-―-―


クロト町の某所にて

そこは公園のような所である。

その公園には緑色の規制線で囲まれていて事件現場は緑色の大きなブルーシートで覆い隠していてその周辺では複数の警察官や鑑識官たちが慌ただしく作業や行動をしていて規制線の外では大勢の野次馬が見にきていて騒いでいた。


ブルーシートの周辺では一体の〈アウターマウカー〉が事件現場で様子を見ていてそこに到着していたアルヴァロスたち四人が規制線の中にまで入りブルーシートの所まで歩いて近づいてきた。


①「ここか? エリオット警部」

④「はい そうです」

アルヴァロスたち四人の到着に気づいた〈アウターマウカー〉が近づいてきた。

⑤「おや? これはこれは【ゼロ】のアイザック・グラディデンスよ 何をしにこの島に…? まさか我々を監視しに来たのか?」

②「まさか 観光だよ 観光!」

③「……」

⑤「ふん なるほど ではそういうコトにしておこうか。」

①「そんなことよりさっさとその殺人事件の現場とやらに案内してもらおうか。」

④「はい こちらです」

そう言うとアルヴァロスたち五人はブルーシートの中に入っていった。


そこには "若い成人女性" が仰向けで寝ている死体であり髪は "金色のショートヘア" に眼は "エメラルドの瞳" に口は "赤色の口紅" …服装は上が "白色の女性用ワイシャツ" に下が "膝までの黒色のロングスカート" に靴は "紺色のハイヒール" を履いていて…死体の横には "茶色の小さな手持ちバッグ" が置かれており中身が散乱している状態…口には口紅とは違う吐血した跡が残っているのだがそれ以外に特に目立った大きな外傷はなさそうである…ただ『右足が無くなっている』…という事だけをのぞけば…。

一見して普通の死体のようであるのだが…?


④「え~と『女性・成人・欧州の人間』ですね 氏名は○○で年齢は―――」

その女性が持っていた身分証で身元はある程度判っているようである。

③「……」

②「……」

①「……」

⑤「……」

エリオット警部の説明が一通り終わるとアルヴァロスが早速(さっそく)質問してきた。

①「…で 死因は…?」

④「それはこれから遺体を解剖して確認しますがなにぶん…目立った外傷がないもので "絞殺" なのか "撲殺" なのか "刺殺" なのか "射殺" なのかまったく解りません。」

③「…」(一体なんで右足が無いのかしら?)

②「あとは確か…死後数日間は経っている…と言うことなのだが…この公園は普段は人の出入りが激しい方なのかい?」

④「はい 一般的な普通の公園なので普段からも利用者は多いようです。」

⑤「ほう それでも見つかるまでに数日かかったのか…?」

④「…はい…」

③「あのー この女性は右足が無いようですが元から無いのですかね?」

①「それはあり得ない」

そう言うとアルヴァロスは女性の死体の左足付近に落ちてある紺色のハイヒールの右足用を指差していた。

③「た 確かに靴はありますね。」

②「では切断された右足の行方は…?」

④「この公園の中を捜索していますが未だに見つかっていません。」

⑤「…ということは犯人が持ち去ったか…? だがなんのために?」

③「やはり右足は切断されていた…のですか?」

ヴィーナは不思議そうな顔をしていてそれを見ていたアイザックは…。

②「どうした? ヴィーナ」

③「はい 右足を切断されていた…というのであれば "血液" はどうしたのでしょうか?」

確かに女性の死体の右足付近には血痕や流血などの跡がほとんどなかったのである。

②「…っ!?」

④「あっ!?」

⑤「これは確かにそうだ 血痕が少なすぎる?」

①「実は私も "それ" には疑問を感じていた… 右足を切断したということであれば大量の血液が出血…つまり体外に吹き出るはずなのだが…その血液がまったく見当たらない…無いようだが…?」

④「え~と これは一体…?」

②「……」

⑤「まさかこの女性の身体中の血液が無くなっているということなのか? だから右足を切断しても出血しないのか?」

④「そんなバカなことが? こんなことが人間にできる芸当なのですか? とても信じられません!」

③「しかし 人間の中にはそのような荒業(あらわざ)ができる者もいるのでは…?」

そう言うとヴィーナはアイザックの方をチラリと見た。

②「ふふふ そうかな?」

①「まぁ 何にしてもともかく一刻も早く捜査を継続して犯人を逮捕する事だな そうすれば殺害方法も動機も判ってくるだろう。」

④「はい そうですね」


そう言うと鑑識官たちが女性の死体を外に運び出そうとしているのだがアルヴァロスがその様子を遠目で眺めていて一瞬だが女性の死体の左手がチラリと見えていてその薬指にはキラリと光るモノが見えていた。


それを見ていたアルヴァロスはエリオット警部に質問した。

①「ん? エリオット警部よ 彼女は結婚しているのか?」

④「えっ!? 彼女は…え~と確か…独身だと思いますが…」

①「彼女の左手の薬指に何かついているのだがなんだ?」

④「えっ!? あっ! ちょっと待ってくれ! 彼女をもう一度ブルーシートの中に入れてくれ!」


そう言うと鑑識官たちは女性の死体をブルーシートの中に戻していた。

そしてアルヴァロスたち五人はまた女性の死体を調べ始めていて左手の薬指を確認した。


それを見ていた〈アウターマウカー〉は…。

⑤「むっ! これは結婚指輪ではない!」

①②③「…!」

④「ではこれは何ですか?」

⑤「これは指輪型の[WCD]だな つまり彼女は魔法使用者だったのだ。」

④「えっ!? 彼女は魔法が使用できたのですかっ!?」

⑤「ああ そうだ しかもこの[WCD]には使用した形跡があるようだな。」

④「えっ!? それは一体どういうことですか?」

②③「……」

①「なるほど もしかしたら彼女は犯人と魔法の戦闘をしていた…と言うことなのか?」

⑤「ああ おそらくな」

④「えぇーーーっ!! そ そんなーーーっ!!」

エリオット警部は大変驚いていた。

②「右足の切断も魔法の戦闘によるものなのか?」

⑤「いや そこまではまだ解らないな。」

③「うーん 難しそうですね この事件は…?」

①「……」

こうしてアルヴァロスたちは新たな難事件に挑戦する事になるのだが…。



   ―-―-―-―-―



   『女性殺人事件』

※『この死体には右足が無い…?』

今回は成人女性の殺人事件についてアルヴァロスの介入が始まった。

  ―――――――

〈アウターマウカー〉が支配する化物島(テミスモイラ)のクロトの町で成人女性の殺人事件が発生した。

アルヴァロスや〈アウターマウカー〉にたまたま "観光?" に来ていたアイザックたちが捜査に参加する。

早速(さっそく)事件現場に到着したアルヴァロスたちは成人女性の死体を調べるのだが色々と不自然かつ不可解な事が判ってきていて予想外の難事件に捜査が難航する事に…。



   『化物の国』

〈アウターマウカー〉所有の化物島(テミスモイラ)にある街の情報(データ)を表示したものである。

 [見方]

街の名前

場所:人口(人数)

施設:様々な建物の多さ

 A(多数).B(普通).C(少数)

交通:交通機関と手段の拡充

 A(便利).B(普通).C(不便)

発展:街の発展度合い

 A(最高).B(普通).C(最低)

人口総数:島内に居る人間の総人数

  ―――――――

 【テミスモイラ】

 [クロト]

◎北西部:405人

●施設:C 交通:B 発展:C

 [ラケシス]

◎中央部:420人

●施設:C 交通:B 発展:C

 [アトロポス]

◎南西部:415人

●施設:C 交通:B 発展:C

 ※人口総数:1240人

〈アウターマウカー〉

 [???]

◎東部:50000人

●施設:C 交通:C 発展:C



    【備考欄】

1.今回登場した〈アウターマウカー〉も今までに登場した〈アウターマウカー〉とはまた違った別の個体の〈アウターマウカー〉であった。

2.この化物島(テミスモイラ)に存在する警察組織の中には「鑑識官」もありこの機関は警察官と連携しながらも別に独立して独自の捜査・仕事などをする事が可能である。

またこの島の警察が事件で使用する「規制線」や「ブルーシート」などは全て緑色で統一されている。

3.人間が暮らす三都市(クロト・ラケシス・アトロポス)と〈アウターマウカー〉が居る東部との交通手段はまだ完全にはできていない状態である。


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