32.B【04】
【アウターマウカー】
10月 中東地域【CCC国】
◆◇◆◇◆◇◆
政府軍の先鋒隊の奇襲戦に敗北して戦闘員の数を約二万二千まで減らされてしまい中央部の拠点を奪われて西部側に後退したテロリスト軍は中央部と西部のちょうど中間点にある某町を新たな拠点として本陣を設営していた。
テロリスト軍は相当なダメージをうけている状態で軍の立て直しが急務であると同時に政府軍の再度の奇襲戦にも備えなければならなかったのである。
しかし政府軍の先鋒隊も兵士や武器の補充を完了させて軍備を整えておりテロ軍の現在の新拠点でもある某町に進軍しようとしていた。
◆◇◆◇◆◇◆
ある日の午前中
CCC国:西部側の某町
[テロ軍:本陣]
政府軍の先鋒隊による奇襲戦で敗北したテロリストの残党軍の複数の幹部たちは新しい住処の作戦室で今後の対策を話し合っていた。
「……っ!」
「畜生ーっ!」
「どういう事だっ!? これはっ!?」
「まさか あの及び腰の政府軍が奇襲を仕掛けてくるとは……」
「我々は政府軍に敗北したというのか…?」
「違うぞ これは間違いだ!」
「いや 我々が少し油断しただけだ まだ負けた訳ではないぞ!」
「……」
「そうだ ならば今度はこちらから奇襲をかけようか?」
「うぅ~ん どうかな?」
「…何? それはどういう事だ?」
「奴らはこれを機に攻勢に出るかもしれないぞ…」
「何だと? 政府軍はさらに我が軍に攻め込むというのか?」
「バカな? 政府軍は奇襲に成功して勝利の美酒に酔いしれて油断しているのではないのか…?」
「…そうであればいいのだがな…」
「…何? それはどういう事だ?」
「まさか 貴様らの方が及び腰になっているのか?」
「おいおい マジか?」
「ちっ! バカめ! 貴様ら!」
「……」
「……ふん」
「…? ところであいつはどうした? まだ来ていないぞ?」
テロ軍の本陣の幹部たちの言う "あいつ" とは前回の政府軍の先鋒隊の奇襲戦で登場した幹部Aの事であるがこの作戦室には来ていない様である。
「本当だ あいつめ どうしたと言うのだ?」
「おい すぐにあいつを呼んでこい!」
「はっ!」
「ちっ! あいつめ!」
「……」
テロ軍の幹部たちはその後も話し合いを続けていた。
‥‥‥‥‥‥‥
[テロ軍:別陣]
テロ軍の幹部Aがいる住処では複数の戦闘員たちと話し合っていた。
「…ちっ!」
「……っ!?」
「…奴らが来るな…」
「えっ!? 奴らとは…?」
「奴らとは誰の事ですか?」
「政府軍の事だ!」
「えっ!? 政府軍ですか?」
「政府軍は既にこちらに進軍しているのですか? ではすぐに本陣に報告しないと……」
「待て! 今から行っても間に合わない それよりも今からでも動ける部隊を前線に送れ!」
「…えっ!? それはどういう…?」
「俺が指揮を執る! 行って命令しろ!」
「…は はっ!」
「……」
「バカめ! あの連中に報告してももうどうにもならん…」
幹部Aはテロ軍の中から前線部隊の戦闘員を選び戦闘準備を行う様に命令したが本陣の幹部たちにはその行為を報告しなかった。
◆◇◆◇◆◇◆
政府軍の先鋒隊は約三万近くの数の兵力で既にテロ軍の新拠点の近くまで進軍していて着々と攻撃準備を進めていた。
一方 テロ軍はまたしても出遅れてしまい前線部隊は約一万ぐらいの数の戦闘員しか集められず武器の補充もまだ十分にできていなかった。
しかしそれでも幹部Aの指揮で約一万の数の戦闘員をうまくまとめあげて政府軍の先鋒隊の約三万近くの軍勢に挑む。
かくしてCCC国西部側のテロ軍の本陣の新拠点近くにてテロ軍の前線部隊の約一万の数の戦闘員と政府軍の先鋒隊の約三万近くの軍勢が正面衝突の正攻法で激突した。
戦闘は出遅れたテロ軍の前線部隊だが幹部Aの指揮で善戦するも勢いづく政府軍の先鋒隊の兵力と士気の高さに圧倒されておりテロ軍の前線部隊は圧され始めていた。
政府軍の先鋒隊の怒濤の攻撃にテロ軍の前線部隊は犠牲者を増やしていき敗走を始めていた。
しだいに幹部Aの指揮や統制も効かなくなり敗走から逃亡した戦闘員も多くなっていき本陣の幹部たちもまたしても新拠点を放棄して続々と逃げ出していた。
最期まで残って戦っていた戦闘員たちや幹部Aは戦死してテロ軍は最初のおよそ半数以上の戦闘員と再び新拠点を失う事になった。
ある日の夕方
CCC国:西部
CCC国一番西側の街郊外の某所にて悪魔的化物〈アウターマウカー〉たちが陣取っていた。
〈アウターマウカー〉はしばらくテロ軍と政府軍の様子や戦況を見ていた。
〈アウターマウカー〉(ステージ3)たちが話し合っていた。
「…ふむぅ」
「ん? どうした? 同胞よ…」
「政府軍が…」
「…ん?」
「政府軍がテロ軍に勝利した」
「…何?」
「それは本当か?」
「…ああ テロ軍が敗走している… 中には逃亡する者もいるようだ…」
「おお それは本当に凄いな 政府軍」
「どうせまたテロ軍は油断していたのだろう…?」
「いや 二度も敗北している もう油断ではすまされないな…」
「…という事はこれで政府軍はここにも攻めてくると言う事なのか…?」
「さぁな だが テロ軍もこのまま終わりではないだろう… 最後の反撃はあるのか?」
「…ふむぅ」
「…いずれにしてもこちらもそろそろ戦闘準備をしておいた方がいいか?」
「……」
「…ああ そうだな…」
「…政府軍か… 遂に来るか…?」
〈アウターマウカー〉(ステージ3)たちはその後も話し合いを続けていた。
奇襲戦に続いて今回の力攻めの正攻法でも政府軍の先鋒隊がテロ軍に勝利してテロ軍を敗走・逃亡させた。
つづく
『今回の現状』
[簡易型]
【CCC国】
(国内)
西 中
━━━━━━━━━
化 テ→Χ←先
物 ロ→Χ←鋒
―――――――――
Х……戦闘地帯
先鋒…CCC国の政府軍:先鋒隊
テロ…世界的テロリスト軍
化物…〈アウターマウカー〉
『各軍の戦力』
[簡易型]
今回の各軍隊の戦力データを比較してみた。
[見方(見本)]
国名:軍隊名(どこかの軍)
場所:兵力(当初→現在)
武器…武器数量:A(多数).B(普通).C(少数)
魔法…攻撃魔法:A(強力).B(普通).C(弱小)
経験…戦闘経験:A(豊富).B(普通).C(不足)
士気…兵士士気:A(向上).B(普通).C(低下)
―――――――――
[各軍.戦力データ]
■CCC国:政府軍(本軍)
東部:20000人
武器:B 経験:C 士気:A
■CCC国:政府軍(前軍)
西部側:29700人→29000人
武器:B 経験:C 士気:A
■テロリスト軍
西部側:22200人→14500人
武器:C 経験:B 士気:C
■〈アウターマウカー〉
西部:10000人
魔法:A 経験:A 士気:A
『各軍の行動』
[簡易型]
CCC国西部側のテロ軍の新拠点近くにて政府軍の先鋒隊は今回は力押しの正攻法でテロ軍の本陣に攻撃を仕掛けてきた。
テロ軍の中から選ばれた前線部隊の戦闘員は約一万に対して政府軍の先鋒隊はテロ軍の前線部隊のおよそ三倍近い兵力で見事に勝利してテロ軍に再度大打撃を与えた。
これによりテロ軍は多く戦闘員を失い全軍は最初の半数以下となり敗北して再び新拠点を失った。
多くのテロ軍の幹部たちが敗走・逃亡する中でも幹部Aは最期まで戦って戦死した。
1.中央部【奇襲戦】
○政府軍:勝利(1戦1勝0敗)
●テロ軍:敗北(1戦0勝1敗)
2.西部側【正攻法】
○政府軍:勝利(2戦2勝0敗)
●テロ軍:敗北(2戦0勝2敗)
《登場人物紹介》
【レイドル・オンヴォッション】
(本名ではなく通り名である)
年齢:42歳
身長:172cm
アメリカ出身
アメリカ国籍の男性
米国陸軍の将校で階級は大佐。
軍人としての実力はないが知力や知識は高く作戦立案も行っている参謀・軍師的な役割を果たしていた。
指揮能力は意外と高いが部下の人気や支持はそれほど高くない。
頭脳派なので身体能力も戦闘能力も魔法能力などもない。
性格は慎重派だが目的の為なら手段や方法などは選ばず平気で部下や仲間を見殺しにする。
悪魔的化物〈アウターマウカー〉の生態に興味を持ち米国軍では化物の研究ができない為に目的が同じ同志たちと一緒にハリー・ダグラスを利用して軍を脱走した。
後にイギリス北部にあるテロ組織『イリニス共同戦線』に亡命していき化物の研究をしていた。
イギリス北部某町の小学校にて研究最終段階で化物が進化し変身した〈アウターマウカー〉(ステージ3)に殺害されてしまった。
だが今でも米国陸軍大佐としての地位は残っている。




