105.D【凶夢:28】[終幕]
◎【28】◎
〔オシリスとアイシス〕
これにてハリー・ダグラスの復讐劇は一通り終了して、ようやく一区切りがついた。 勿論、まだ完全に復讐が完了した訳ではないけど、あとはもう全く手がかりがない状態になっており、完全にお手上げである。
先程ハリーが入手した "ハリーを裏切ったイタリア人の成人男性の死体" を、これまた私用で日本に来ていたイタリア組織のギャングの構成員に引き渡して、必要経費や多額の報酬を受け取り、後始末はイタリア組織のギャングの連中に任せてある。
この後でハリーはある組織の手引きにより無事に日本を離れて、ある人物と落ち合う為に待ち合わせした某所まで、飛行機・旅客船・タクシーなどを利用して向かっていた。
南米南部にある某国の南地区にある『裏切りの館』にて
そこでハリーがある人物に会う為に、その待ち合わせ場所まで到着する。 そこに居たのがアメリカ陸軍のマイティーネフト中佐に、同じくアメリカ陸軍のギラーソンズ将軍と、あとは地球の護り神〈アクナディオス〉が待っていた。 事前にハリーは伝説の七聖剣のひとつ【ロンギヌス】をギラーソンズ将軍に手渡し、また今までの協力金として、先程の多額の報酬を既にマイティーネフト中佐に手渡してる。
まずハリーから彼らに話しかける。
「待たせたな」
「おお、来たか」
「もういいのか?」
『………』
「ああ、とても良い旅だったよ」
ハリーがニコリと微笑んだ。
「あらかた全部終わらせた。 あとはイタリア組織のギャングに任せてある。 ボクが殺しに行く前に、ほとんどの連中が既に殺されていて、奴らの死体はもう確認してある。 たぶん、これで大丈夫だと思う」
『………』
「そうか、それは良かったな」
「では、もう思い残す事もあるまい?」
「ああ、これでボクもようやく悪夢から醒めて、ゆっくり休めるはずさ。 地球に住む人間たちには悪いけど、ボクは一足先に逝かせてもらうよ。」
「ふっ、そうか」
「まぁ……あんたはよく頑張った方だと思うよ。」
『ヒヒヒ、お疲れ様。 ヒヒヒ』
「最後に聞きたい事がある。
地球の護り神〈アクナディオス〉よ」
『……何か?』
「本当に人類は滅亡するのか?」
「「………」」
『ヒヒヒ、魔法が使える人間。 魔法が使えない人間。 悪魔的化物〈アウターマウカー〉(ステージ3) 。 地球の護り神〈アクナディオス〉。 この四種類の生命体で、この地球の覇権と支配を争うことになる。 間もなく起こるハズ。 だから……乗り遅れてはいけない。 皆、自分たちの生存権を賭けて戦うのだ。 共存など存在しない。 ヒヒヒ』
「………」
『ヒヒヒ、そして人間はやがて滅ぶことになる。 恐らくは、な……ヒヒヒ』
「なるほど、そういうことか」
「最早……誰にも止められぬか?」
「ああ、そうだな」
『ヒヒヒ……むしろ、止められるモノなら止めてみろ、といったところか。 ヒヒヒ』
「「………」」
「すまない。 話がそれたな。
それでボクは一体どうすればいい?」
「君はこのまま銃殺刑で処刑される。
―――と見せかけて、このまま異世界に転移してもらう。 そこから第二の人生を歩むがいい。」
「ご愁傷様だな。
これから一体何が起こるか、全く解らない―――剣と魔法のファンタジーな世界に送り込まれるとはな?」
「ふっ、地球よりマシさ」
「そうか、それは良かったな」
「なるほど、それもまたよし」
『ヒヒヒ、もうこの地球で殺り残した事はないか? ヒヒヒ』
「ああ、ない」
「ご苦労だった。 ハリー・ダグラスよ」
「お疲れ様。 ハリー・ダグラスよ」
『ヒヒヒ、それでは逝くがいい。 異世界へ。 さらばだハリー・ダグラスよ。 ヒヒヒ』
「さらばだ地球よ。 グラッツェ」
するとハリーの足下から青紫色の特殊な魔法陣が出現して、それから青紫色の特殊な魔法陣が、そのままハリーの身体を取り囲むようにして出現した。
ボワァン、シュッ!
ここにハリーの姿が消えてしまい、この世界から消失した。 表向きは銃殺刑で処刑されたとして、ハリー・ダグラスの死亡は処理された。 いずれにしてもハリーは、この地球・この世界には、もう存在しない。
〇【ハリー・ダグラスは異世界転移した】〇
そして後年。 この地球では、まず魔法が使用できる人間と魔法が使用できない人間が覇権・支配・生存権を賭けて争うことになり、次に悪魔的化物〈アウターマウカー〉(ステージ3) と地球の護り神〈アクナディオス〉が覇権・支配・生存権を賭けて争うことになる。 そうして地球は混迷を極めていき、人間同士の争いで全人類の人口が減少していき、この混乱に乗じてドサクサに紛れて、今度は〈アウターマウカー〉(ステージ3) や地球の護り神〈アクナディオス〉の手の余った者たちで、人間に攻撃してくる。 そこに全人類の人口がさらに減少していき、地球人の数がどんどん減らされていく。
これからもっと強烈な悪夢・凶夢が全人類に襲いかかってくるだろう。 だがこれも "身から出たサビ"・"自業自得"・"因果応報" である。 仕方ない。 これから先、全人類はオシリスとアイシスの裁きを受けるのだ。 果たして、全人類はこの裁きを耐え抜き、生き残ることが出来るのか?
だがしかし、これでハリー・ダグラスの方は、ようやく悪夢・凶夢から解放されて、無事に異世界転移・到着する頃だろう。そして今度こそ、じっくりぐっすり安眠・熟睡できるはず。
もう寝不足になる心配もない。 永遠に―――
申し訳ありませんけど、一旦完結にさせていただき、また続きが書ければ執筆・投稿・更新を再開しますので、宜しくお願いします。
それまでの間、失礼します。




