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[プロローグ]始まりの日の朝

 少年とはるかが黒煙越しに輝く月を見始めてからしばらくした頃、ヘリコプターの音が近づいてきた。それを聞くと同時に彼女は涙を流した。それが助かったという思いからでないことを、彼は察した。

 12年前の初夏のこと。彼と彼女の二人のみ、飛行機墜落事故から奇跡的に生還した。


 彼がうっすらと目を開けると、目の前に遥の顔があった。だが驚くことは無く、いつもやっているアレのことだろうと察し、もう一度目を瞑った。そして少しして、唇に暖かく柔らかいものが重なる。数秒ほどしてそれが離れると共に、彼は目を開けた。「おはよう」と掛けられた言葉をそのまま返し、ベッドから体を起こす。正面の壁に掛けられた時計を見ると、5時を示している。

「今日の朝とお昼ご飯、何にする?」

 冷蔵庫の中身をぼんやりと思い出し、昨日の残りの肉じゃがをお弁当に入れることを提案した。すると彼女もそうしようと思っていたのか、「そーなるよねー」と言った。

「朝はパンにジャムでも塗って食べればいいか」

 と呟いてから、彼女は右手を差し出した。それを握って立ち上がり、そのまま手を繋いで一階のリビングへと向かった。

 二人で暮らすには広い家のリビングは、いつも通り閑散としていた。それを紛らわすために、彼らはリビングに着くと、決まってテレビを点ける。すると昨日行われた12年前の飛行機事故の追悼式のニュースが映し出されるや否や、彼はチャンネルを変えて、適当な番組に変えた。

 その後、彼らは朝ごはんを食べ、二人分の弁当を作り、身支度をして家を出た。

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