プロローグ
僕――樹地瑞希は今、とてつもなく困っている。
今日は4月6日金曜日。
僕が通うことになる高校の入学式当日だ。
なぜ困っているのか?
遅刻したとか、入学式早々に問題を起こしたとかではない。
僕は選択を間違えた..................
高校をちゃんと考えればよかったと後悔している。
別に高校の偏差値が悪いということはなく、どちらかというと高い方だ。
今でも後悔の源は僕の横を通り過ぎていく。
何人も......何人も......
僕は忘れていた......
この高校は元は女子高......しかもお嬢様学校だったことに!!!!
そして共学になったのは今年からだということに!!
女子が通るたび溜息が止まりません。
誰か......助けてください!!
友達に誘われて選びました。
ちょうど家から近かったので何も考えず選びました。
その結果は......勘のいい人は分かりますね!?
僕はこれからほぼ女子と学校を過ごす...............
すなわち、女子の友達を作らなければならない!!
青春も送らなければならない!!
見た感じ男いません!!
あれ~......もうちょっといるかと......思っていたんだけど......
入試の時にいた何十人の男子は何処に?
「俺たち......行くところ間違えたよな......」
「お前もか......」
声の主の方を見ると同じ制服を着た幼馴染――空海りくの姿があった。
空海りく――保育園からの幼馴染。
成績優秀(僕と同じぐらい)、運動神経抜群!顔もイケメン!そして優しい男
もしかしたら、この高校で唯一の僕以外の男子かもしれない。
なんで僕が幼馴染なのか分からん。
「家が近いから選んだけど......お前も?」
「そうだな」
お前も僕と同じ理由なんかい!!
「そういえば、知っているか瑞希?この高校共学になったの今年からだとよ」
「それ、さっき知った」
「公式ページ見てないのが裏目に出たな~」
「りくはそんなの見ないだろう?」
「当たり前だ!!学校のことなんかどうでもいいし」
「その結果が元女子高でお嬢様学校だったと?」
「ぐっ......何も言えない......っていうか、お前もだろ」
「は?............うん?」
「なんで「僕は違います」みたいな雰囲気出しているんだよ!!」
「僕はあいつのことを信じただけだ」
「あいつを信じた結果がこれじゃないか!!」
「僕はあいつを信じているから」
「そんなこと言ったら俺も何だが!?」
「今度会ったら一言文句言うか!!」
「さっき言ってたことと真逆だがそれは同感だ!!」
この悲しみの矛先を「あいつ」へと向けることに成功したが......今でも僕たちの横を通り過ぎる女子たちの姿を見て不安になってきた。
これ、僕たちの居場所はあるのだろうか?
「高卒試験の準備するか~」
「おい待て!現実逃避はするな!まだ男子は俺たちだけとは決まったわけじゃない!!」
いつの間にか僕は声に出していたらしい
それに気づかないとは相当不安らしい。
それも、これも「あいつ」のせいなのだが......
「悪い、悪い。冗談だ!冗談!」
「まぁ、それならいいんだが......」
ちょっと本気だったのはりくには黙っておこう。
「じゃあ僕たち以外の男子がいることと同じクラスになることを願って行きますか」
「だな!」
僕たち女子の艦隊に紛れて校門を通った。
三年間の不安を抱えて...........




