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愛され転生エルフの救済日記  作者: とーふ


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第17話『プロジェクト会議はしっかりやろう』

私の浅はかな発言から始まってしまった命がけの事業。


農業発展事業は、現状順調に進行していた。


流石に全員が全員全力で取り組んでいるおかげか、開発はずんずんと進み……私、要らなくない? という感じだが、何故か私が祀り上げられている。


正直意味が分からない。


可愛いもの信仰って言っても限度があるだろう。


そもそも私以外にも幼女は居るし。


本物の幼女を差し置いて、何故私の様な見た目だけ養女に固執するのか。


……もしや、合法ロリ? 合法ロリを求めているのか?


いや、そもそもこの世界に違法ロリっているの?


まぁ私の気持ち的にはロリに手を出す奴は全員犯罪者なので、違法ロリしか居ないイメージだけどさ。


「シーラ様」


「……! はい。何かありましたか?」


「いえ。全ての準備が完了しましたので、祝福を賜りたく、参上いたしました」


「祝福って……私、そんな凄い力は持ってませんよ」


「まぁ、そうかもしれませんが、あるかもしれません。試すだけ試してみませんか?」


キラキラとした瞳でそんな事を言われてしまえば、頷かない訳にもいかず。


私は一応それっぽい見た目になる様に、水の魔法を使って、魔力を溶かし込んだ霧を振り撒く魔法を使った。


本来は魔力を消費して現象を起こすはずの魔法で、魔力を地面に霧の様に振り撒いていくのだ。


自分でも意味が分からないけれど、見た目はそれっぽいし、どうせなら効果がありそうな事をやりたかったのだ。


ほら、肥料を与えると土が良くなるって言うし。


この世界じゃ魔力は全ての力の源だからね。


なんか起こるでしょ。


なんか起これ!


そういう願いを込めて、私は畑の予定地で必死に踊った。


謎の水を振り撒きながら。


私の迂闊な発言から始まった農業発展決死隊で、犠牲者が出ない様にと祈りながら。


その気持ちが届いたのか、奇跡が起きた。


「見ろ! 芽だ! 芽が出てるぞ!」


「え?」


「奇跡だ!」


「馬鹿を言うな! これは奇跡なんかじゃない! シーラ様の祝福だ!」


「やっぱりシーラ様は俺たちの救世主なんだ!」


違うじゃん!


それは、違うじゃん!!


私は何やらぴょっこりと顔を出している、やけにやる気に満ちた芽を見下ろしながら心の中で叫んだ。


いや、確かに何かが起こってほしいとは思ったけどさ!


それは土がなんかいい感じにキラキラ光ったりとか、虹が出来るとかそういうのでさ!


こんなあからさまに凄い事が起こって欲しかったわけじゃないんだよ!


だって、よく考えてよ!


こんなの本当に奇跡の中の奇跡なんだよ?


もう一度やってみろって言われたら無理だよ! 再現性なし!


再現性が無いので、検証できません!


バグではなく仕様です!!


いや、仕様じゃないんだけど、仕様なんだよ。


私はこんな機能を自分に実装した覚えはないけど、でも何でかある機能なんだよ。


そんなのどうしようもないよ! 壊れても直せないし、動かなくても直せません!!


だって知らないもん! しーら! こんな機能知らないもん!


無かったでしょ!? 顧客が本当に求めていたものの絵の中に! こんな機能書いてなかったでしょ!?


偶然生まれただけなんですぅー! 保守出来ませーん!!


「シーラ様!」


「……ぽへー」


「シーラ様?」


「ハッ!? あ、いや! 違うんです! この現象については、私、本当によく分からなくて」


「はい。存じておりますよ」


「ジャックさん……!」


「秘密。でございますね。ご安心ください。我々はムイゼンの住民以外には例え国王であろうと決して語らぬ事をここに誓いましょう。皆も! 良いな!?」


「あぁ」


「分かってるよ。ジャック」


「こんな奇跡が起こせると知ったら国の連中が何をするか分かったものじゃないからな」


「シーラ様の為なら、何をされようと絶対に口を割らないぜ!」


ちゃうねん。


そうじゃないねん。


いや、黙っていて欲しいっていうのは嘘じゃないから、それは良いや。


こんな話が広まったら、どう考えても破滅待ったなしだからね。


それは良い。それだけは。


おかしいのは、この奇跡の中の奇跡を私が引き起こした通常の現象かの様に語られている事だ。


「皆さん! 話を聞いてください。今起こったことは全て偶然なのです! 偶然と偶然が重なって起こった奇跡なのです! 私に不思議な事を起こせる力はありません!」


「そういう事だ!! みんな! 良いな? そういう事にするんだぞ! ここで起こった事は全て『偶然だった』という事にするんだぞ!」


「分かってますよ! シーラ様!」


「シーラ様は本当に心配性だなぁ」


ハハハと笑う人々を見ながら、私は違うのに! と心の中で叫んだ。


もはや実際に叫んでも問題なさそうだけど、叫んだところで意味が無いし、もしかしたらもっと酷い方向に捻じ曲げられるかもしれないから、これ以上はダンマリさんだ。


しかし、このままでは良くない。非常に良くない。


いくらムイゼンの人たちが黙っていてくれるとしてもだ。


ムイゼンの中ではこれが常識になってしまう可能性がある。


そしたら、またやって下さいとか言われて、失敗した時に袋叩きにされるかもしれない!


私は未来を想像して体を震えさせた。


どうしよう。どうすれば良いんだ。偶然だって言っても信じてもらえないし。再現性が無いって言ってるのに……。


いや? 待てよ?


そうだ! そうだよ! 再現性が無いんだ!!


なら、もう一回試して、失敗したのを見せて、それでただの偶然なんだって言えば良いんだ!


私ってば天才なんだから!


「ジャックさん!」


「はい」


「別の場所でも試して良いですか!?」


「勿論です。が、お疲れでは無いですか?」


「問題ありません! むしろ前よりも力があふれている様な気すらします」


大言壮語なんて、あまり好きではないけれど、こういう時には大変便利である。


これだけ大口を叩いておいて失敗したら、きっとみんな理解するだろう。


失望するかもしれないな!


……袋叩きにはされないよね?


「……一応、まぁ万全ですけど、失敗するかもしれないという事だけ、一応頭の片隅に置いておいて下さると」


「はい。承知しております。皆! シーラ様は失敗するかもしれないと言った。これがどういう意味か分かるか?」


「あぁ、分かっているさ。シーラ様は完璧でも俺たちが完璧じゃねぇからな。同じ様にならなくても、整備した人間を責めるなって事だろう?」


「お優しい方だよ」


ちゃうねん!!


『私が』失敗するって言ってるんだよ!!


あー。もう。頭痛くなってきた。


でも良い。何度も何度も失敗していれば、あれ? このガキ。なんの力もねぇな? ってみんな分かるから。


その時は、前の時みたいに、可愛いから無罪という事にしてくれればそれで良いから。




「では、こちらでお願いします」


「分かりました」


ふんす!


気合十分!


やるぞ!!


失敗しろォ!


「おぉー!! 流石はシーラ様だ!」


「あんな荒れ果てた土地が!!」


「次!」




「見ろ! 土地が輝いているようだぞ!」


「出てきた芽も、先ほどよりも綺麗だねぇ」


「次ィ!」




「こんな奇跡を何度も見る事が出来るなんて」


「生きていて良かったぜ」


「次!!」




「次!!!」




「次!!!!」




「はぁ……はぁ…つ、つぎ」


「シーラ様。もう今日はお疲れでしょう。ゆっくりとお休みください」


「違うんです! この事象には再現性が無くて。だからまた別の場所を」


「……! シーラ様! こんなにもムイゼンの事を想って!」


「なんて素晴らしい方なんだ」


「うっ……!」


「大変だ!! シーラ様が倒れたぞ!!」


「早く家に運べ!!」




その日。


私は夜遅くまで悪夢にうなされて、よく眠る事が出来なかった。


「違う……違うんです……これはそういうんじゃないんです」

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