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アクマが暮らすテンシのセカイ  作者: 3ur4t4.5h0z0(村田庄蔵)
3/5

テストの結果

「...」

「なんで僕の肩を殴るんだ?いや、別に痛いわけじゃないんだけど...」

彼女はひたすらに彼の両肩を叩いていた。

彼の机の前にあるのは櫻間という名前が書かれた数学のテスト。点数は96点。その上に置かれた別のテストには瀬田という名前が記載された同じテスト。点数は92点。

今日は先日行われた実力試験の返却日だ。皆はそれぞれ数人で集まって話し合ったり一つの机に集まって問題用紙を見ていたりしていた。彼はこの6度の人生上、一度もそうすることに興味が無かった。第一テストの目的は自身の実力を測るものの目安にしか過ぎない。なのに人と比べたがる。意味もないのに、だ。

それが今彼の目の前で起こっている。非常に面倒かつ不愉快だ。しかも勝手に比べてきたくせに劣っていると分かったらこの様子だ。

「お熱いねぇ?」

「助けてよ。京」

「えー相手は天使だし無理」

作った声で朝平田に言ったことを返された。これは面倒だと察して背もたれに身体を預け首だけ後ろを向いた。

「でもなんでいつも僕と張り合おうとするの?別にいいじゃん。点上がってるんだし」

「え?勝ちたいから」

「...それだけ?」

「うん。それだけ。だって色んなことで一度も慎に勝ったこと無いんだもん」

「そんなことはないと思うけど...」

「今回だって私も本気で勝つ気でやったのに負けたんだよ?いつもいつも絶対私が負けるんだもん」

「そんなことはないよ。ほら、じゃんけん...ポン」

彼はチョキを出し、瀬田はグーを出した。

「ね?」

「ねって言われても...じゃんけんは強いよ、私。でもそれ以上に慎が負けすぎてる」

「慎はいっつも負けるからな。それにコイツにソシャゲのガシャ引かせたら全部ハズレ引きやがる。コイツ生まれながらにして運無いんだよ」

「言い方!」

「事実だろ?その代わり頭は回るんだからいいだろ。なんだよ歴史・地理満点って。おかしいだろ」

「何も良くない...」

机の上に置かれた数枚のテストの中から平田が引っ張り出したテストは歴史と地理のテストで、歴史50/50、地理50/50と書かれていた。それを奪い返して彼は机に突っ伏した。

「京と比べればいいじゃん。いっつも同じぐらいなんだし」

「だから!私は慎に負けるのが嫌なの!京はもう追いついてこれてないし!」

「追いついてるわ!お前らが頭抜けてるんだよ!」

謎の口喧嘩を始めた彼らを余所目に彼は目を閉じて瞑想し始めた。

人間と悪魔では脳の出来の具合が違う。IQで比べた場合もそうだが、魔界はこの世界と比べて100倍早く時間が進む。またそれに付随して一般的な悪魔の寿命は平均して3000年ほどになる。そもそも生きる年月が圧倒的に違うため、見た目では幼くとも平気で人の寿命を超越した年齢であることが珍しくない。それ故に賢明かつ狡猾なのだ。この点は天界に住まう天使もほぼ同じである。

この能力が人間に付与されるとどうなるのか。流石に種の垣根を超えるほどではないが寿命も延び、頭脳も格段にレベルが上がる。この世界のにいる天使は戦闘要員でなくとも研究者などであるケースがある。彼らはこの点をよく活かしていると言えよう。

悪魔本人と天使の力を受けた者に平田は追いつけているのだ。ただ比べている相手が悪すぎるだけで彼は素直に凄い。

「そろそろ時間だし席戻ったほうがいいんじゃ?」

「あと3分あるぜ?別にいいだろ」

「じゃあ別の人の...」

「行っても話すこと無いもん。ここにいたほうが楽しい」

「...」

「ドンマイだ、慎」

不意に教室の扉が空いて、1人の女性教諭が顔を出していた。

「瀬田さん、ちょっと来てもらえるかしら?」

「あ、もう時間か。わかりました」

その教諭に呼ばれ瀬田は教室を出ていった。

「天使って忙しそうだなー。受ける必要がない授業だったら全部特別講習受けなきゃいけないんだぜ?」

「それは大変そう...」

「でも空飛べんのはズルいよな?いくらなんでも羨ましすぎんだろ」

「空飛びたいの?」

「当たり前だろ。絶対移動楽じゃん」

「そうかなぁ?それもそれで大へ...」

「おーい席つけー。HRするぞー」

話している途中で教壇に立った教師が野太い声をかけて席を立っている全員に席につくよう指示した。がやがやと話しながらそれぞれが席につき、全員が席に着いたタイミングで教師が号令するよう促した。


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