表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
北風系ヤンデレと太陽系ヤンデレ  作者: 赤茄子橄
第1章 北風系ヤンデレとの日々〜脱出
9/51

第8話 北風系ヤンデレと誰かからの手紙

「そういえば空鷲(そらわし)よぉ〜。お前まぁた織女(おりめ)の首にキスマークつけてきやがってよぉ。相変わらず独占欲強すぎだねぇ〜」


周囲のクラスメイトが興味深そうな眼でこちらに注意を向けている。

僕がまた惚気みたいなことを言うのを、まるでテレビのバラエティ番組でも見て楽しむかのように期待しているのだろう。


こうしてノロケのマネごとを煽られるのも、彩咲(ささ)の仕込みが原因。

昔、彩咲に脅されて、学校中、街中で彩咲への愛を語らされていたことがあった。


結果、いつの間にかこうして周囲の人間たちの方から、僕にノロケを語らされるようになったというわけ。


今日のネタは、昨晩、背中を焼印を捺されたあと、首元と胸元に大量につけることを強要されたキスマークのことらしい。

......そりゃそうか。彩咲の首元見たら、痛々しいくらいに大量についてるもんな。


「あはは、彩咲は僕のものだからね。見せつけておかなきゃ」


もちろん今更逆らうなんてことはしない。素直に、思ってもいないことを口にするだけ。

それは素直なのかって?......そんなこと、もう僕もわからんよ。


そのあとも何人ものクラスメイトが僕のもとに来て雑談したり、同じように惚気を引き出して帰っていったりで、朝の時間は終わりを迎えた。


授業時間はいつものように、可能な限り、持てる力のすべてを注いで集中した。






事件が起こったのは放課後。

彩咲と一緒に帰ろうと下駄箱を開けたとき、目に映ったのは一通の手紙らしきもの。


「......なぁくん、なにそれ」


僕がそれを認識したのとほぼ同時に、彩咲が僕の下駄箱を覗き込んで呟いた。


「な、なんだろうね」


可愛らしいピンクの便箋。きっとラブレターだろう。

彩咲と僕の(表向きの)ラブラブ関係は学校中、ひいては街中に知られているからか、彩咲と付き合いだしてから僕が告白されるってことはこれまでなかった。


不毛な横恋慕をしないためっていうのがあるのだろうけど、僕にとっては好都合だった。


万が一にも誰かから告白なんてされてしまった日には、彩咲がどうなるか、わかったものじゃなかったから。




............にもかかわらず、なんだこれ?

今更なかったことにはできない。


便箋は彩咲にも見られてしまった。隠しきれはしない。


「なぁくん、早く開けて読もうよ」


「う、うん......。でも、僕だけに宛てたものだったら......」


「なぁくん宛てに来た話なら、彩咲が全部把握するのは当たり前だよね? なぁに? 彩咲に逆らうの?」


周囲に他の生徒がいないのをいいことに、2人きりのときにしか出さない圧を出してくる。


「わ、わかったよ。じゃあ、開けるね」



ハート型のシールで留められた便箋を開封すると、中から一枚の手紙が出てくる。


そこには可愛らしい丸っこい文字で、「空鷲夏凪晴くんへ。お話したいことがあります。もしよければ放課後、屋上に来てもらえませんか」とだけ書かれていた。

差出人の名前はない。


時刻はすでに放課後になっている。

そうすると、この手紙が指示している「放課後、屋上に」というのは、今のことを示しているのだろう。


手紙から顔を上げて、チラッと彩咲の方を見てみると、貼り付けたような笑顔で僕の方を見ていた。


「さ、彩咲......。これ......」


どうしよう、と言おうとしたところで、彩咲が口を開いた。


「そりゃ、いかなきゃだめだよね、なぁくん?」


表情が一切かわらない。

いまの彩咲を周りのみんなが見たらニコニコと機嫌が良さそうに見えるだけなんだろうけど、僕にはわかる。


............やばいほどキレてる。


これ、僕がなにかしたわけじゃないのに......。

でもそんなの関係ないんだろうなぁ......。

家に帰るの憂鬱だなぁ。何されるんだろう......。



これまでなかった展開だから、どんなことになるのか予想もつかない。



まぁ、告白ではない可能性も十分ある。

この文字の感じでその可能性は薄いだろうけど決闘の申し込みとかの可能性もあるもんね。


あとは世の中には嘘告白なんていう文化もあるらしいし、表向きラブラブで嘘告白に変にOKされてしまって、無駄にこじれたりしなさそうに見える僕らカップルを標的にしたっていう線も十分にある。気がする。


嬉しくはないけど、本気告白されるよりはそっちのほうが後々のことまで考えるとダメージは少ないかもしれない。



「じゃ、行こっか。屋上」


そう告げた彩咲の声に、僕の意識が思考の海からサルベージされる。

ため息を一つこぼした後、僕らは屋上に向けて歩き出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ