未来の裏切り者、修行する
お久しぶりです
瞬く間に一年の月日が流れた。
強さに限りはない。僕はただそれだけが身に染みていた。
僕の腕があがり、やっと師匠に近づいたかと思うと、師匠はさらに強くなる。
どう足掻き、叫ぼうと師匠には勝てなかった。
撃剣のみを学ぶのだと思っていたがそんな甘いものではない。
槍、弓、弩、体術、馬術…全てを叩き込まれる。
疲れて眠っているといきなり打ち据えられる。
意地でも眠るまいとすると、師匠も眠らない。
「どうした!お前の強さとはその程度か!」
ひたすら嘲られ、打ち据えられる。
気を失う寸前まで打ち据えられ意識がとぼうとした瞬間に水をかけられ、
「立て」
再び打ち据えられる。
(死ぬ)
それしか考えられなかった。
だが半年がたつと少しずつ変化があった。
相手のわずかな動作で次にどう打ち込んでくるのかがわかるようになったのだ。
今までなんの受けもできずただ打たれていた頃に比べて格段に稽古が楽になった。
それでも一回も勝てなかったけどね。
そして、ついに教えられることは無くなった。
ただひたすら師匠と闘った。
ひたすら打ち合い、戦いの呼吸を覚える。
どんな手をつかってでも勝とうとする。
「もう教えることはない」
ついにそう言われた。
師匠を組みしいて殴っていたときのことだ。
「え?」
一瞬の隙をついて寝技をかけられ関節をきめられた。
「俺の勝ちだな」
そういって師匠は技をといた。
ーもう教えることはないー
確かにそう言われた。
「師匠どういうことですか!」
「何がだ?」
「もう教えることはないって!」
「ああ」
ああって!なんでもないみたいに!!
「師匠!」
「そのままの意味だ」
「そんな!」
「なんだ?」
「私はまだ…」
「強くなっていないか?」
「はい」
「ハァ…」
やれやれと師匠は首をふる。
「麋芳、お前はもう十分強くなっている。私とこここまで互角に打ち合えるものなどいない」
「しかし!」
「勘違いするな。私はまだこの屋敷にとどまる。試合の相手もできる。ただ教えることはない。それだけだ」
よかった…まだいなくならないんだ…
「泣くな麋芳」
思わず涙があふれでていた。
「申し訳ありません」
「別にとがめてはいない。さて、もう一本いくか!」
「はい!師匠!」
その晩、師匠は屋敷から去って行った
実はこの王越師匠実在の人物なんです。
撃剣の名手として歴史に名前が残っています。
(どうでもいい情報ですいません)
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