転生(?)先は裏切り者でした
よろしくお願いします!!
「どうしよう…」
僕は途方にくれていた。
さかのぼること3日前、僕は兄上と槍の試合をしていた。
結果はボロ負け。最後はこっぴどく頭を打たれて意識を失った。
そしたら思い出したんだ!僕が日本の高校生でここが僕が大好きだった三國志の英雄達が生きている時代だってことに!!
そりゃ最初は喜んださ。
だって日本にいた頃の僕の唯一の楽しみは三国志の本を読んだり、ゲームをしたりすること。
そんな僕が三国志の世界にいる。
最っっ高じゃないか!!!
めちゃくちゃ浮かれてました。
……つい数分前までは……
糜芳という人物を知っているだろうか?
彼を一言でいうなら『裏切り者』。
糜芳は英雄、関羽の配下の武将だった。
ある時、敵が関羽の城に攻めてくる。
関羽に不満を抱いていた糜芳はを裏切って城を明け渡してしまう。
結果、関羽は敵に捕縛され処刑される。
数年後、関羽の兄貴分劉備が仇討ちに攻め込んでくる。
劉備の勢いに恐れをなした糜芳は再び裏切り、自分の上官の首を手土産に劉備に降伏する。
当然だけど劉備は激怒。その場でぎったぎったに斬り刻まれてしまいましとさ。
ここの場面スカッとしな~!
今思い出してもスカッとしちゃうよ
…自分が糜芳じゃなきゃね…
どうやら僕は糜芳に転生(?)してしまったらしい。
(?)なのは高校生だった僕が死んだ記憶がないから。もしかしたら憑依の方が正しいのかな…でも糜芳としての記憶は普通にあるし…
ってそんなことはどうでも良い。
だって糜芳の最後は処刑。それもぎったぎったのミンチ状にされてしまう。
最悪だ…
「どうしよう…」
「どうしたのだ子方。頭を抱えたりして?」
兄上が心配そうに話しかけてきた。
あ!今食事中だった。
あっそうそう!子方っていうのは僕の字ね。
なんか、ここ中国では名前を呼ぶのはものすっごく失礼なことなんだって。だから字つまり通称をつけるんだよ。
例えば、三国志一の天才軍師、諸葛孔明は、
姓は諸葛、名は亮、字を孔明ってな感じ。
ちなみに、僕は姓は糜、名は芳、字が子方
兄上は、姓は糜、名は竺、字は子仲
覚えておいてね!
「いえ、大丈夫です兄上。少し考え事をしていただけです」
「そうか、ならばいい」
「…子方兄様、本当に大丈夫ですか?」
妹が訝しげに聞いてくる。今日も変わらず可愛いな…
あれ?妹?……妹!!
忘れてたよ妹おるやん!
確か糜芳の妹って、劉備の第二夫人なるんだけど、最後は戦に巻き込まれて死んでたよね……?
それも糜芳が死ぬのよりも大分早い時期に死んでるはず…
嘘でしょ…こんな可愛い妹が戦に巻き込まれて死んじゃうなんて…
絶対嫌だ!!!
よ~しこんな歴史を変えてやる!!!
妹の命と僕の命絶対に守ってみせる!!!!
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