鳥籠の中の私
百合ものになります。
ご注意ください。
目が覚めるとそこは見たこともない世界だった。
ここはどこだろうか?
辺りは一面真っ白で、他に何もない。
私は誰かいないかと、歩き出した。
しばらくすると、行き止まりらしくそれ以上いけない。ただ、そこから先は、彩のある世界。手を伸ばせば届きそうなのに、届かない。
諦めて、その場に座り込んだ。
誰もいないことがこんなにも寂しいとは。
自然と頬に伝う熱い涙。一筋流れた。
あぁと天を仰いで、嘆いていたら、私の目を誰かの手が塞ぐ。
ビクッと私の身体は強ばり、その手を払い除けようとすれば、強くその手の主が私をぎゅっと抱きしめた。
「大丈夫、大丈夫。あなたには、私がいるから」
そう言ったのは、美しい白い髪をした、美しい少女。
みすぼらしい私とは対照的な、輝かしい、そんな存在。
それから少女とどんな時も一緒で、手を繋いで、話をして過ごした。
常に一緒。常に彼女で頭がいっぱい。
いつからかわからないうちに、少女への愛おしさで私の心は、締めていた。
彼女はそんな私を愛しそうに見つめ、満足そうに笑う。
でも時折、外の世界が気になってしまう。
私は彼女が眠りについている間に、そっと離れて外を見る。
煌びやかな世界が広がっている。ここにはない、キラキラとした世界、色とりどりの世界。
そこからたまに流れてくる、美しい声。少女のようで力強い、心惹かれる鳥の声。
その鳥はたまに、私に寄ってきて、歌を歌う。
色鮮やかな青い美しく、小さな可愛い鳥。
その美しい歌声に聞き惚れて、何度も、何度も、通った。
ある時、少女が激怒した。青い鳥のことがバレたのだ。
「私がいるのに、なぜ、外の世界を見るの?私のことを愛していないの?」
泣きながら詰め寄る少女。少女に抱きしめられて、彼女の爪が私の背中に食い込む。少女の爪は綺麗に切られているのに、なぜか痛い。
「私だけ見て」
そういう少女に、私はうんと頷く。
少女の呪いのような愛に、私はもう私の全てが侵食されていたから。
ずっとずっと私の心は、少女のもの。
逆らえるわけがないのだ。
リハビリに書きました。
読んで頂きありがとうございます。