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第85話 成功! 煙もくもくバタンキュー大作戦

「煙もくもくバタンキュー大作戦の成功を祝して、かんぱ~い!」

「「「「「かんぱ~い!」」」」」


 煙もくもくバタンキュー大作戦を成功させた私達、対蚊対G殲滅部隊は、妖精の国のギルドの食堂で打ち上げという名の夕食会を行っていた。


「いや~、作戦以降まじで蚊が出なくて快適だぜ!」

「うんうん、最初はポーション作りの社会見学をお願いするだけだったはずなのに、まさかこれ程大規模の作戦に見学じゃなくて参加で来たっていうのは、いい経験になったよね」

「本当ね、妹にもお姉ちゃん凄いって褒められちゃったわ」


 煙もくもくバタンキュー大作戦は、ジョン君、リチャード君、ジルちゃん達がいうように、見事街中から蚊とGを一掃してくれたみたいなんだよね。あの後王女様が慰問中にみんなで蚊やGを探したんだけど、一匹もいなかったんだよ! 一匹も!


「街の人達に配るという、一番大変な役割を全うしたんですもの、本当に立派だったわ」

「「「はい!」」」


 ゼニアさんも3人の活躍を褒めたたえる。確かにデスモンド副隊長達が抜けていた関係上、この街の住人に毒煙玉を配るのが一番大変な役割だったよね。おかげで本当に助かっちゃった。私が同じことをしようとしても、街の知り合いが少なすぎるもんね。


「僕も頑張ったんだよ! ほめろ~!」

「ユッカさんもありがとうございました。おかげで上手くいきました」

「でしょでしょ~」

「ゼニアさんも街の外への散布ありがとうございました」

「いえいえ、お安い御用です」


 ユッカさんとゼニアさんにも改めてお礼を言う。


「肝心なところで欠席してしまい、申し訳ありませんでした」

「いえいえ、王女様の警護では仕方ないですよ。そのほうがずっと大事な仕事じゃないですか」

「そう言っていただけると幸いです」


 デスモンド副隊長が今日の作戦を欠席したことを詫びてくれるけど、そこはしょうがないよね。蚊やGの対策と王女様をもてなすことを比べたら、確実に王女様をもてなすことのほうが大事だと思うし。私は配慮の出来る大人だからね。そんなことで目くじら立てたりしないのです。


「・・・・・・」


 でも、何でかバーナード隊員だけはさっきから無言で機嫌が悪そうだ。そんなに作戦に混ざれなかったことが不服なのかな? あ、もしかして、王女様をもてなすっていう慣れない仕事のストレスで、体調でも崩してるのかな?


 本来であれば、私がこの男の機嫌をいちいち伺う必要はないと思うんだけど、しょうがない、今は対蚊対G殲滅部隊の打ち上げだし、今だけは上司として話を聞いてあげるとするかな。


「バーナード隊員、元気がないようですが、どうしたのですか? 何か不調ならポーションでも飲みますか? それとも、悩み事ですか? 悩みがあるようなら何でも言ってくださいね! これでも今だけは一応上司なんですから!」

「ではさくら隊長、今回の作戦、何故事前に知らせてくれなかったのでしょうか? もともと今日の予定ではただの第2回の会議のはずでしたよね? だからこそ私やデスモンド先生も王女様の護衛のために抜けたのです。それなのになぜ急に作戦の決行になったのですか? あなたも大人なら、報連相の重要性くらい理解していますよね? あの毒煙玉が街中にばらまかれたせいで、我々がどれほどの混乱に陥ったのか、理解してますか? いえ、我々だけならまだ良かったのです。ですが、王女様と、王女様と一緒にこの街にきていた近衛兵達にも迷惑をかけることになってしまったのですよ? わかっていますか?」


 怖い。黙ってたのは怒ってたからだったのか。ううう、もしかしたら、話しかけたのは藪蛇だったかもしれないね。


「え~っと、報連相をしようにもデスモンド副隊長もバーナード隊員もいませんでしたし。それに、一応お城の料理人さんとか、階段にいる兵隊さんとかには話したんです。王女様の件は、午後から街を回ると聞いていたので、それまでに作戦を終わらせたいと思っていたのですが、まさか午前中には街についているとは思わなかったと言うか、言うです。それに、まさか蚊とG用の毒煙玉が、毒探知の魔道具にあんなに過剰な反応をされると思わなかったといいますか、はい」


 だめだ、バーナード隊員の迫力に押されてなんかすごく言い訳っぽくなっちゃってる。しかも、自分で何を言ってるのかすらすでに怪しい。


「あら、バーナード様が気になさることではないのではないですか?」


 すると、ゼニアさんが助けに来てくれる!


「あなたは黙っていてください」


 でも、そんなゼニアさんをバーナード隊員は睨みつける。ひい、怖い!


「まず、そもそもさくらさんがなぜあなたに報連相をする必要があるのですか? 少なくともこの対蚊対G殲滅部隊においてはさくらさんが上司ですよ。上司が欠席している部下に報連相なんて、あなたならしますか?」

「そうですね。その理屈でいくのであれば、私やデスモンド先生に報連相をする必要はありませんね。ですが、ロジャー将軍に報連相をしなくていい理由にはならないでしょう」

「それこそ必要ありませんわ。さくらさんはロジャー将軍から蚊とGの対策を一任された隊長ですよ。最終的な結果の報告はともかく、些細なことまで全部報告していたら、一任された意味が無いではないですか」


 おおお~! 流石ゼニアさん、強い! 二人は睨み合っているけど、これは間違いなくゼニアさんが優勢だ。頑張れゼニアさん! 負けるなゼニアさん!


 そんな風に心の中でゼニアさんを全力で応援していると、ゼニアさんから優しく微笑まれ、バーナード隊員からはすごく睨まれた。


「こほん、二人とも落ち着きなさい。確かに混乱はありましたが、午後の慰問の最中、街中では屋内屋外問わず蚊が出なかったと王女様にもご好評でしたし、なにより王女様の慰問の前に蚊を退治して、王女様に不快な思いをさせまいとしたさくら様を始めとしたこの部隊のメンバー、さらにはそれに協力してくださった街の住人に王女様は大変感謝しておられましたので、ここはお互いに水に流すとしましょう」


 おお~、流石デスモンドさん。やっぱりこういう時にはあの男を止められるデスモンドさんが頼りになるね!


「はい!」


 私はこれぞ幸いとばかりにデスモンドさんの提案に元気よく乗っかる。


「次回以降は混乱を避ける努力を全力でしてもらえることを期待します」


 でも、あの男は最後の最後まで嫌味っぽい! こっちだって混乱させたいわけじゃないんだってば!




「お、お前らもここにいたのか? 何やってんだよ」


 あの男が雰囲気をまた悪くしたその時、ロジャー将軍が王女様とガーベラさん、それにアオイやペルさん達と一緒に現れた。そう言えば、今日の街の慰問の最後はここ、妖精の国のギルドだったっけね。あの扉の向こうには大事な会議で使う部屋っていうのがあったはずだから、きっとみんなで会議をしてたんだね。ってあれ? ギルマスであるユッカさんはこっちにいるけど、参加しなくてよかったのかな?





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