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第34話 帰ってきたアオイ

 籠城の準備のためにいろいろ買い物をした翌日、私は朝起きて朝ごはんを食べると、部屋のドアに集中して仕事をしたいため入室禁止の札をかけた。


「鍵もかけたし、これでこの部屋には誰も入ってこれないはずだよね。昨日買った荷物も昨日のうちに部屋に届いているし、誰かがこの部屋に来る用事もないはずだから、大丈夫かな?」


 よし、そうと決まれば籠城戦に向けて、ポーションの増産をしに行こう。私は猫ボディになると、部屋から抜け出す準備をする。と言っても、ガーベラさんから借りた2個目の魔法のカバンを首から装備するだけなんだけどね。


 そうだ、猫ボディの魔法に結界ってあるのかな? もしあるのなら、ドアや窓に掛けておけば、これほど安心なことも無いよね。


 そう思って私はとりあえずドアに結界よ出ろ~って念じる。すると、どうやらあっさり結界を張ることに成功したみたいだ。な~んだ、こんな簡単に結界で戸締りが出来るのなら、湖の貴婦人の時もそうしとけばよかった。そうすればあの男に怒られることも無かったのに。


 まあ、あの男との一件があったからこそ、ゼニアさんと仲良くなれたわけだし、それはそれでよかったよね! だからと言ってあの男のことはもう嫌いだけどね。


 さ、レッツ出発!


 私は隠蔽魔法を自分にかけると、窓から出てバルコニーへと移動する。そして窓を閉めてから窓を結界魔法でロックする。これで完璧だね。


 それじゃ、まずはガーベラさんのところに行って、ポーションの空き瓶をもらってこよっと。




『おはようございます~』

「あら、さくらちゃんおはよう」

『お、さくらか、久しぶりだな』


 妖精の国のギルドの中には、ガーベラさんだけじゃなくて、私のこの世界でのファーストフレンド、アオイもいた!


『アオイ!? 久しぶり~!』


 私はついついアオイへと突撃してすりすりする。


『お、おい。止めろよな』

「ふふふ、二人は仲良しなのね」


 アオイはそう言いながらもすりすりし返してくれる。うんうん、猫ちゃんはこうじゃないとね!


『アオイ、いつ帰ってきたの?』

『昨日の夕方だな。王都にも、そろそろミノタウロス達の動きが怪しくなってきたって連絡があったからな』

『そうだったんだ。元気そうで良かったよ』

『そいつはこっちのセリフだぜ? 王都よりもこの街の方が危険だったんだから』

『大丈夫だよ。私ももう一人前のハンターだし、ボヌールさんと街道に溢れたモンスター退治の仕事だってしてきたんだから!』

『熊親父といったのか!? あのおっさん、足遅すぎてストレス溜まんなかったか?』

『ちょっとだけ思ったけど、ハンターとして大事なことをいろいろ教わっちゃったよ』

『はあ? あの熊親父から教わることがある? さくらがか? 例えばなに教わったんだよ?』

『え~っと、いついかなる時も焦っちゃダメとか?』

『そりゃあまあそうなんだけどよ。一緒に狩りに行ったとき見てたが、さくらは獲物を見ても焦りとかそう言うのは一切無かったはずだ。今更教わることでもないだろ? あの熊親父、ただ自分がさくらのスピードに付いていけないからのんびり行こうって言っただけじゃねえの?』

『う~ん、きっと違うと思う、よ?』

『ふ~ん、まあいいや。そう言うことにしといてやるぜ』


 なんだろ? アオイとボヌールさんとだと、私の評価が違うみたいだよね。アオイはなんていうか、私が出来る子っていう認識みたいだ。一回だけとはいえ、一緒に狩りに行ったアオイにそう言ってもらえると嬉しいね!


 もちろんガーベラさんやペルさん、ボヌールさんみたいに、私のことを心配してくれるのも嬉しいんだけどね!


『そういや、さくらは昨日の夜ギルドにいなかったみたいだけど、どこか良い寝場所でも見つけたのか?』

『うん、お城に1部屋もらったから、そっちで寝ることにしたの』

『ほう、城ならここより安全だし、安心だな』

『うん! いざとなったらアオイもみんなで来てね』

『ああ、そんときゃ邪魔するぜ。ま、俺がいる限りそんなことにはならないがな! んで、今日は何しに来たんだ?』


 ってそうだった、アオイを見つけてついつい話がはずんじゃったけど、私はポーションの空き瓶をもらいに来たんだった。


『あ、ガーベラさん。ポーションの空き瓶ってありますか?』

「ええ、もちろんあるわよ。でもさくらちゃん、土魔法苦手なの?」

『土魔法ですか? 苦手ではないと思います』


 なんでかガーベラさんにそんなことを聞かれちゃったけど、土魔法は別に苦手じゃないはずよね? すり鉢だって作れるし、箱だって作った。椅子とかテーブルも作ったし、何より名剣も作ったからね!


「なら、ポーションの瓶は作らないの? この前貰ったポーションの入っていたすり鉢を少し見せてもらったけど、あれにかかっていた保存魔法が使えるなら、ポーションの瓶くらい作れるわよ? あ、苦手なら大丈夫よ。ポーションの瓶くらい私でも作れるから」


 そうだよ、そうだよね。ポーションの瓶はどっからどう見てもガラスだ。そしてガラスの材料は土の中にあるに決まってる。強力な火魔法で地面がガラスみたいになるとか、漫画とかでもありふれた表現だったはず。ううう、完全に見落としてたね。


『そう言えばそうでした! 作ってみます!』

「でも、今ある分はあげるわね。魔法のカバンを貸してもらえるかしら?」

『はい』


 ガーベラさんは一度奥に行って戻ってくる。


「はい、また中に100個入っているわ」

『ありがとうございます。それじゃあアオイ、ガーベラさん、私ポーション作ってきますね!』

「さくらちゃん、ミノタウロス達も日々近づいているはずだし、気を付けてね」

『はい!』

『待てさくら、俺も付いてっていいか?』

『うん、もちろん!』

「あら、アオイが一緒なら安心ね!」

『んじゃ、ガーベラ、ちいっと行って来るぜ』

『お昼までには戻ってきますね』

「ええ、気を付けてね!」


 私はアオイと一緒に妖精の国のギルドを出る。そう言えば、ポーションを誰かと一緒に作るのって初めてだよね。ちょっと楽しみだね!




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