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地のそこの太陽
目が覚めたとき、瞼が空いているはずなのに圧倒的な黒の質量が俺の視力を支配していた。自分の体しか見えない一寸先の闇。
「俺は死んだのか」
と思わざるを得ない状況に必死に自分の事を確かめた。
男の名前は山田和久。平々凡々な高校生だと自負している。
一般の人々
の家庭で生を受け、難なく挫折なく生活してきた。
つまり人の苦労をしらず、楽な方、楽な方と生きてきた彼にとって、今の事態は恐怖でしかないのだ。
男はわき目もふらず走り出した。道は平面的であり躓くことはまずない。すでに脳内を黒で塗りつぶされ、正気を失っている。ふと、足下に違和感を感じた。あるはずの床がないのだ。絶望はさらに加速し、意識は床の中に吸い込まれていく。しかし彼は暗き穴から落ちていくうちに光を感じた。光の面積は拡大し、光が理解に追い付かないうちに男は気づいた。
自由落下した先に緑の大地が広がっていたことを。