犯人の
「「……………「………」……………」」
「……………「………」……………」
「「「「「…………「雨が降っていた。
ざあざあと降る雨は人の頭を殴ったような音を消し去ってしまった。しかしそれは警察の捜査には何の影響を与えない、とN氏は知っていた。
なぜなら証拠があったからである。自分の知人であるA氏の指紋がついた金属バットをそれで殴り殺したM氏の前に置いてきたからもであった。犯人は少し口角を上げて帰っていった。
という一部始終をE氏は見ていたが、何もせず立ち去った。
彼は親友であるI氏の自宅を訪ねた帰りにこの現場を目撃した。驚いて知り合いのS氏に連絡をとった。それは彼が近く刑事になる友人であったからである。
容疑者として挙がったのは凶器に指紋がついていた男であった。しかし彼は容疑を否定していた。彼には犯行時刻に野球を会社の同僚としていたというアリバイがあり、捜査は難航。もう一人被害者に強い恨みがったY氏が疑われた。彼にもアリバイがあり、容疑を否定した。かくして捜査員達は頭を抱えていた。捜査責任者は仕方なく彼を召喚した。
名探偵がその現場をみたのはその数日後だった。」…………」」」」」
「「「「…………「ふむふむ。成程、凪さん、大体本人の目星はつきました。」
「おっ、早かったな。じゃあ芦原さん、誰だか言ってみな」
「えぇ、犯人はY氏ですね。なぜならこの文章ででてくる人の頭文字をとっていくと『N』『A』『M』『E』『I』『S』『Y』となる。英語で読むと『name is y』になるから間の空白もちゃんと文章にある。それにこの小説の題名は『犯人の』だろ。続ければ『犯人の名前はy』ってなる」
「正解!凄いなぁ。自分には渾身の出来だったのだが、一瞬で解いてしまった……松原さんくらいかしこくても難しいと思ったんだけど、江原さんより愚かな君に分かるなんて、意外だった……」
これを微笑ましく見守っていた石原さんは、数時間後頭を殴られて亡くなった小説を読んで謎を解いた男の死体を佐伯さんと共に発見したのだった。
容疑者としては大森さんが上がるも、アリバイがあって捜査は行き詰った」…………」」」」
「「「…………「へぇ、面白いね、これ。でもこれ犯人バレバレじゃない、ナキ」
「仕方ないのよ、アナスタシア嬢。マギったらいくら読んでも分からないって言うからかしら。全く……エミリーより馬鹿なのよ、あいつ。で、犯人が誰か分かったなら言ってみるかしら?」
「うん、犯人は大森さんよね。それでこの中で語られたのと同じ仕掛けがあるのが分かった。『凪さん』『芦原さん』『松原さん』『江原さん』空白一つ空いて『石原さん』『佐伯さん』そして一つ空いて『大森さん』。ローマ字の頭文字をとって『name is o』って読める題名の『犯人は』と繋げて終わり」
「アナスタシア嬢、よくできました。後でご褒美をあげます」
「え!ほんと!やったー」
それから数時間後この館に仕えるメイドの一人イライザはメイド長であったサリーホワイトの指示でいつまでたってもでてこないお嬢様とそのお付きのメイドを呼びに行った。そこで彼女は血塗れのお嬢たちを見て悲鳴を上げる。
激怒した館の当主は第一発見者のメイドとこの家の二女であるウカリナを疑った。お嬢がなくなれば、遺産が一番多く入るのが彼女だったからであった。さらに当主である彼は第一発見者のメイドが自分の腹違いの子で、それを知らないメイド長から嫌がらせをうけていたのも知っている。しかしその二人とも否定して、さらに激怒する当主は彼女らの暴挙を暴くため知人である伝説の推理作家のを呼ぶのだった」…………」」」
「「…………「と、いったかんじだけど、分かった?奈良島君」
「あぁ分かったよ、新井君……この事件の犯人はね………」…………」」
「…………「………」…………」
「「「「「………「………」………」」」」」
「「「「………「………」………」」」」
「「「………「………」………」」」
「「………「………」………」」
「………「………」………」
「「「「「……「………」……」」」」」
「「「「……「………」……」」」」
「………」
Name
読んだよ。これを読めば今僕達が何でここにいるのか、その犯人が分かるんでしょ。
うん、そうだよ。分かった?
分かんない。無限に続くらしいからね、この本。読み切れることはないんじゃないかな。
そんな事ないわ。だって現に読み終えてるじゃない。無限から無限を引けば零になるのだから、あなたが無限回読めば終わる。
そうなんだ。でも鍵括弧はもう無くなったよ。
そうね。でもこれから増えるのよ。また無限に増えて無限に減る。その繰り返し。
つまり僕は読み終わったけどまだ読み終わってないんだね。
えぇ、そう思うわ。
is
読み終わるにはあとどのくらい?
さぁ無限の時間がかかるのかなと思うわよ。
そうだね。でも実は僕、もう犯人が分かったんだ。
へぇ、誰の事、その人?
ここは2次元の世界だから分からないんだ。縦と横には進めても■と■には動けない
そうね。確かに犯人はその人よ。だってこの2次元で■と■方向に動けるなんて無敵じゃない。
そうだね。つまり犯人は■か■にいるんだよね。今ここを見てるからこそ、僕たちは存在できるんだから
えぇ■■左右でいえば、■にいると思うわ。
じゃあ指さしてみようよ。
それではー、指を◼に挙げてー
挙げてー
いいわよ、せーのっ!
せーのっ!
犯人はあなた。
犯人はあなた。
you.
です。
ですです。
「………」
「「………」」
「「「………」」」
Y氏、大森さん、ウカリナ、でyouってなってるんだよ。作者さん。気づいてなかっただろ、ちゃんと考えて作りな。
ごめんね、リチャード。
あらすじと矛盾しますが、不満点があれば感想欄で容赦なく罵倒してください。
喜びます。