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プロローグ2

 ある部屋の一室に光がともり次第に部屋を包んだ。光が消えるとその部屋には何か違和感のある黒い鎧を着た者が立っていた。

 黒い鎧を着た者は、部屋を見渡す。一人用のベット、整理整頓された机、様々な本が置かれている本棚、そしてクローゼットが置いてあった。

 ベットの隣に置いてあるデジタル時計に乗っている日付を見る。20××年 3月 13日

ウィレスノールに召喚された日付から変わっていない。


「戻って来た……」


 黒い鎧を着た者は言葉を漏らした。その声はやはり少女の声だ。声を漏らしたのは二年ぶりに前に自分が住んでいる部屋に戻ったのだから当たり前だが……

 少女は腕を前に伸ばし『戻れ』と念じた。すると少女が纏っていた鎧が霧になり右耳に集まり、花に止まっている、黒い蝶に似た形でできているイヤリングに変わった。腰についていた刀は右手の中指に黒く、桜の模様が描かれた指輪になった


 少女の姿が外にさらけ出された。美しくなびく銀色の髪、綺麗な紫の瞳を持ち、この世のものとは思えない『美しい』と言う言葉さえ合わないほどに整った顔をしていた。まだ少し幼さが残っているが。

 無表情であるがそれが逆に儚さを抱かせる。一つにまとめていた腰にまで届く長い髪を解いた。少女を引き立てるかの様に髪が揺れ、落ちて行く。


「ふぅ……疲れたーーーーぁぁぁぁ」


 少女は一息つくと無表情でベットにダイブした。少しゴロゴロし、腕に持っていた紙袋を前に持ってくる。


「久々の我が家……みんな何をくれたんだろう」


 少女はあの世界の仲間からもらった物を紙袋から出す。中には展開された状態ではなく収納された状態で入っていた。


 まず、ユーじぃからもらった身分証。収納魔法イベントリ に入れておこう。次は、ネックレス、ブレスレット、ベルト、斜めにかけられる収納魔道具バック(黒色のカッコいいデザイン)。残りは収納バックに入っているらしい。能力は後々調べよう。


「感謝しないと……あ、四月から学校、しかも高校生だ。そうだった。忘れてた。」


 仲間からの貰い物を整理し、身につけた後召喚される前はどんなことがあったか、今はあちらで使えた魔法は使えるかを整理した。


 まず、私は《九堂院 白くどういん はく》超難関高校に受かった。そして四月からそこに通い始める。私の体は……若返ってる。17歳の体だったのに15に戻ってる。良かった、留年した人みたいにならなくて。そういえば筋力は?あっちでは100キロオーバーな物なんて日常茶番で持ち上げてたけど…


 そう思い、部屋にあったクローゼットを持ち上げてみた。


「…………」


 持ち上がった。と言うことは筋力はそのままで背が縮んだ感じか。


 白は片手で持ち上げたクローゼットを音が鳴らないようにゆっくりと元の位置へ戻した。


 次、私が召喚された時は家族は何処かへ出かけていたはず……。ちょっと魔法試してみよう。


「魔力を押さえて……《ファイア》」


  ポッ


 灯った………魔力残ってる……。じゃあステータスは使えるか。スキルも使えると思う。あまり変わらないな。

 明日からの予定も確認しておこう。明日は、高校に必要なものの買い物。兄さんと行くんだっけ。めんどくさい。


 明日に備えないと……そういえばこっちでは私、金欠だわ。


「ん~~~。あっ!私のスキルに錬成あるから宝石のアクセサリーショップをやればいいんだ!!」


 よし!早速作ろう。




####################


これぐらいでいいかな?問題なくスキルも使えたし。


 白はある程度アクセサリーを作り、収納が付与された小箱の中に入れた。ちなみに白の作ったアクセサリーには肌が良くなったりする効果などを気づかれないほどに付与されている。デザインも一流で、売れるのは間違いないだろう。


 あとでネットでウェブ作って、売ろう。許可も申請しないと。疲れた……。兄さん達が帰ってくるまで……。確認も終わったし……


「寝よ」


 白はそのまま、布団をかぶり、眠りに落ちた。




####################


 何処だろう?ここは。私は眠ったはず。


 白は周りを見渡した。そこには黒い世界に一本の乱れ桜が美しく咲いている。舞い散る花びらは桜色の雪の様。

 乱れ桜の下、そこに佇む一人の少女がいた。白と同じ髪に目そして顔。鏡写しの様なもの。ただ纏っている雰囲気は重く、儚く、何かを求める様な白とは違ったものを思わせる。


『白、思い出せ。私はお前、お前は私。すべきことを思い出せ』


 白と同じ声で響く。白の心に染み渡る様に。少女の瞳はどこも写していない。白を写してはいるが何処か遠くを見ている様だった。


「あなたは?私の何?」


 誰?私はあなたを知っている。覚えてる。私が思い出せない《私》。それが大事なこと。思い出さなければならないこと。


『それは自身で思い出せ。お……えは《………………》で…すべ……あ……う』

「え?なんて?」

 

 何かに引っ張られる。引っ張られる意識の中雑音が邪魔し最後の言葉が聞こえない。聞かなければいけない。だが今ではない、そう言う様に、邪魔をされ、私は、眠りから覚めた。




####################


「待って!」


 虚空に手を伸ばす。


 涙。いつの間に泣いていたのだろう。今は17時30分。そろそろ兄さん達が帰ってくる。ご飯は食べてこないらしい。だるいけど作った方がいいかな?ご飯は。お腹すいたし。


 白は涙を拭ってから時計を見る。そしてベットから起き上がり、キッチンへと向かった。眠そうに欠伸をして、半開きな目をこすり階段を降りる。


 あの夢は、なんだったんだろう。でも、あの人にはまた会える。いや、知ることができる。そんな気がする。さあ!兄さん達にご飯を作っておこう。そしてまた眠る!あの夢のせいで寝た気しないもの。


 白はキッチンに入り、包丁を手にし、手で回す。そして髪を一つに結び、


「オムライスでも作ろうか。考が好きなやつだっけ。」


 弟の姿を思い浮かべ料理を始めた。




####################


「こんなんかな。」


 四人ぶんのオムライスを作り、テーブルへと並べた。時刻は18時10分。そろそろ兄さん達が帰ってくる。白の家族構成は母、義理父、義理兄、義理弟で白となっている。母が一度離婚し、再婚したから、血が繋がっているのは母だけだ。家族全員美形な美形家族である。だが白には到底及ばない。

 ちなみに白はもうオムライスを完食している。白は手を拭き、髪をまとめてあったゴムを取り、手首に通す。そこに銀色の髪が視界に映る。


「そういえば召喚される前は黒髪黒目だったな。幻術魔法かけとくか。」


  白は指をパチンッと鳴らし魔法名を言葉にする。


「《虹色変化アルコバレーノ》」


 毛先から黒へと色をかへていく。


 よし、変わった。瞳も多分ちゃんと変わってるよね。あ、召喚される前のスタイルにも戻さないと怪しまれるな。戻そう。そして兄さん達を迎てから寝よう。


 《虹色変化アルコバレーノ》は髪や瞳を色々な色に変えられる魔法である。虹と言っても、七色だけでなく、変えたい色を思い浮かべるとそれに変わる。


 白は黒く変わった長い髪を二つに分け三つ編みにし、両肩から垂らした。左に払っていた前髪を前に持ってきて目元を隠す。そして眼鏡をかける。


 完璧。地味子の完成。これで準備万端。


 中学では地味子と呼ばれている白。近所の人やクラスメイトに美形家族で唯一美形ではないと言われている。家でも地味子スタイルで過ごしているため、白が家族の誰よりも、そしてこの世のものとは思えないくらいに美しく整った顔をしているとは誰も知らない。


  ガチャ


「ただいま~」


 お、兄さんの声。ちょうど帰ってきたみたいだ。



プロローグ2いかがでしたか?


 スキルとか魔法とか出てきましたが主人公の詳細は後々。ステータスと言う言葉は出てきましたが、皆様が知っている様なステータス画面ではなく、スキルとレベル、そして種族と名前しか表示されないものです。筋力や素早さなどは表示されません。魔力値だけは表示されます。


次は日常編に入り、家族が出てきます。

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