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プロローグ

どうもこんにちは。処女作です。文章が変になったり、設定が矛盾することがあるかもしれませんがどうぞよろしくお願いします。

 とある世界のとある国、最強の国と謳われているウィレスノールは今、歓声や歓喜に包まれていた。

 他国や町々からある人物を見るために多様多種の民達が、この王都に集まっていた。 王城のバルコニーの前に数多の民で溢れかえっていた。


 皆口ずさむのは祝福やある人物のこと。

 そして民の期待に応えるようにバルコニーの奥から女騎士用の黒い鎧を身に纏っているものが姿を現した。


  途端、王都が震えた。


『黒騎士!黒騎士!』


 民はそう勇者として召喚されたものを呼んだ。一番使われている二つ名だ。他にも「黒き英雄」「戦姫」「軍師」「黒き雪ブラック・スノー」などなど痛い二つ名がいくつもあるが、その者の姿はごく少数の人物しか知らない。


 絶えない歓声に応える様に手を一度だけ降り、また奥へと戻る。


 床に敷かれている真っ赤な絨毯を踏みしめて奥へと進む。それを遮る様に中年男性が黒騎士の前に出た。


「本当に帰るのか?」

「ああ、戦いすぎて疲れたんだ。しばらくは働きたくないよ。」


 暗い空気を和ませる様に苦笑する。それは美しい少女の声だった。王都は歓声に包まれているが、この部屋には静寂が支配し、少女の声が、異様に響く。


「そんなに落ち込まないで、ユーじぃ。また会えると思うよ?私の勘は当たるからね。一応皇帝様でしょ?第12皇帝様の名が廃れるよ」


 中年男性ーーこの国の皇帝《ユリウス・ローレン・キリエル・ヴァイアス・ウィレスノール》にこんな口の聞き方ができるのは限られているだろう。他の者がこんな風に喋りかけたら不敬罪で死刑、とはいかないかもしれないが、罪に問われるであろう。


 だが皇帝にとって黒騎士は娘の様な者。苦笑を浮かべるだけであった。黒騎士もユリウスを本当の祖父の様に思い、『ユーじぃ』と呼んでいる。


「これを持っていけ、持っていかないと帰さないからな。」


 そう言ってユリウスは袋を渡した。黒騎士はそれを受け取ると大事そうに抱えた。


「何が入っている?」

「皆からの餞別じゃ。全てアクセサリーになる。あちらでも身につけておけ。赤い箱に入っているのは身分証だ。まだ次会うときに役立つであろう。」

「ありがとう、また」


 そう言い、ユリウスの横を通り過ぎ、奥にある、【転移陣】と呼ばれる魔法陣に足を踏み入れた。


「そして伝言も預かっておるのじゃ。『さよならは言わない。また会おう』じゃ。そしてワシから、 すまなかった。我々が不甲斐ないためにお主を喚んでしまった。そしてありがとう。また出会える時まで。」


 ユリウスは頭を九十度に下げた。皇帝たる者がそんなに簡単に頭を下げていいものかと言おうとしたが、普通は止める役目にある騎士達は止めもせずに、皇帝とともに頭を下げた。

 黒騎士は“簡単に”と言っているが、実際のところ黒騎士は世界を救ったのだ。定期的に召喚するのがこの国の、いや、この世界のなりわしだ。この世界は200年に一度ほど魔物が増えるのだ。そこで召喚された者によって数を減らす。そのため、ただ魔物を倒すだけではここまで讃えられることはない。

 

 では何故これまでに黒騎士が讃えられているのかと言うと、黒騎士は文字どうりこの世界の崩壊を止めたのだ。崩壊を目論んでいた者の討伐と壊れかけた世界の修復を成し遂げたからなのだ。

 だが、ユリウスはこの世界の命運を目の前にいる黒騎士に全て任せてしまったことが不甲斐ないと思っていた。


「はぁ、息子が後3年早く生まれていたらお主と同い年なのじゃがのぉ。それなら少しはお主を止めることが……」

「最後まで気が抜けてるね。それに私を止めることはできないよ。あと、また会った時のために私の貯金は残しておいてね。やっとぐーたらできるんだけど、今まで働いたぶんは贅沢したいからね。またね。」


 最後の一言でことごとく砕かれたシリアスな雰囲気は無視して黒騎士は魔法陣に魔力を注ぎ込む。

 【転移陣】が光り始め、姿が消え行く体を見ながら、ゆるい返事をして、部屋が光りに包まれた後、そこには黒騎士の姿は見られなかった。


「クククッ。最後まで絞まらないのぉ。会った時から変わらぬよな…………ハク・クドウイン。」




#################### 王城の庭


春風にあたり金色の髪が揺れる。蒼い目は手に持っている本を写していない。どこかを思う様に虚無を見つめる。恐ろしいくらいに整った顔はどこか、儚さを感じさせる。


「おい、王太子であろうお人がこんないい日になんでそんな顔をしているんだ。」


 少年の手前に座っている赤髪金眼のまだ幼さが残った顔立ちをしている--と言っても綺麗な顔立ちをしている--少年が言った。


「そうです。いくら黒騎士が去るからって言って兄様は顔に現れすぎです!」


 ピンクのドレスをきた可愛らしい女の子が元気よく金髪蒼目の少年に訴えた。


「……そうだね。また会えるって言っていたし……」


 金髪蒼目の少年は澄み渡った青空を見上げた。




#################### 王城の隅にある訓練場


 「隊長ー!! 黒騎士様が元の世界へ帰るって本当ですか!?」


 若い騎士が今しがたきた五人の隊長達に飛びかかった。いつもであれば周りの騎士達が「うるせー」などの文句を言うが、全ての騎士が黒騎士のことを気にして、何も言わなかった。


「そうだ。だが、また会えると私の勘が言ってる、と勇者様は言っていた。」


 隊長のうちひときは目立つイケメンな茶髪茶目な副団長をやっている者が答えた。

 その言葉を聞き騎士全員が安堵した様に息をついた。


「そっか~。よかった。黒騎士様の勘はすごく当たるから……」

「勇者様と呼べ。彼の方は偉大だ。そんなお人の勘は外れない」


  青髪茶目の女騎士が若い騎士の頭を軽く叩いた。


「痛い!でも確かに。じゃあまた会った時に驚くぐらいに強くなろう!!そして今度こそ勇者様に剣、じゃなくて刀の使い方を教わろう!」

「その息だ」


 その言葉に筋肉がかなりついている隊長が頭を撫でた。


「お前らも頑張れよな!勇者様の作った訓練表があるからしっかり訓練をして団長を驚かせるんだ!!」


副団長がそう言うと騎士達は「当たり前だ」「ああ!!」と声をあげた。





上には王城の庭と騎士達について書きましたが、もっと主人公の仲間はいます。


 主人公はウィレスノールでいろんな役職についているので、色々な二つ名があります。一番目立っていた役職が黒騎士であったため、黒騎士と言う二つ名が一番知られている。


不定期ですが、できるだけ載せたいです。

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