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花冠のお姫様
「おにぃちゃーん」
僕の部屋に4歳離れた妹が走ってきた。
「これあげる」
そう言って差し出して来たのはシロツメクサで作った花冠
「さやが作ったの?」
受け取りつつ聞くとさやは誇らしげに
「うん!」
と元気に答えた
少し編み方が甘いところが子供らしくて可愛い花冠
「さや、こっちおいで?」
きょとんとした顔になりつつも素直に僕の隣にくる
さやの頭に花冠を乗せた
「これはお兄ちゃんじゃなくてさやの方がよく似合うよ?」
花冠を頭にのせたさやはどんなお姫様より可愛くて、小さくて、守りたいと思った。
「なーんてことがあったんだよなー」
「兄さんウザい」
あれから何年も経った。
さやは昔よりずっと大きくなった。
けど、
俺の小さくて可愛いお姫様
なのは変わらない