仮想現実作家がゆく(四百文字お題小説)
お借りしたお題は「ネット作家」です。
松子はお気楽なフリーターだったが、派遣切りに遭ってしまい、失職した。
暇に任せて、パソコンをいじってみた。
すると「あなたも作家になれます」と銘打った広告を見つけた。
小説を書いてネット投票で一位を取れば、賞金百万円と作家デビューというものだ。
作家デビューはどうでも良かったが、賞金に目が眩んだ松子は早速応募した。
内容は「日常の中の非日常を描く」とあったので高校生の時に体験した事を思い出し、ヤクザに絡まれた友人の話を実名は伏せて面白おかしく書き綴り、送信した。
「百万円、百万円」
毎日のように祈り続けたお陰か、大賞を受賞したとメールが届いた。
松子は狂喜乱舞し、その出版社に出向いた。
「お久しぶりね」
そこで待っていたのは、あろう事か、作品の中で秘密を暴露した友人であった。
「まずは受賞おめでとうございます。それからこちらが名誉毀損の告訴状の写しです。よくお読みくださいね」
そのままその場で卒倒した松子である。
毎度おなじみのお粗末です。