近づく二人
きがつくと俺は知らない部屋のベットで寝ていた。
ここはどこだろう。それにしてもこの枕いい匂いがする。
その匂いの正体を知ろうと顔をうずめる。
「キャーッ」
悲鳴とともに頭に激痛がはしった。
「いってぇー」
「ごめんなさい。大丈夫だった?」
明日香が顔を近づけていった。
「お、おう。それよりここはどこだ?」
俺は恥ずかしくて顔を離して言った。
「私の部屋だよ。あの後龍一君気を失ちゃったから。家に近かったから運んだの。」
明日香は優しい顔で言った。
「そうだったのか・・・ごめんな、重かったろ」
「そうだよ、すっごく重かったんだから。」
明日香は涙目で言った。
「だから、もう、あんまり無理しないで。」
明日香はそう言いながら俺を抱きしめた。
俺は一瞬気を失いかけたが明日香が泣き出したので俺は明日香が泣きやむまで待つことにした。
明日香は泣きながら「ごめんね」や「ありがとう」というので俺はそのたびに自分の非力さに情けなくなった。
どうして女の子一人簡単に守ることが出来ないのだろうか。
しばらくすると明日香は肩にうずめていた顔を上げありがとうと言い離れた。
しばらく無言で見つめ合う。
「ぐうぅぅぅ~」
台無しだ。どうして俺のお腹はこういう時に限って鳴るのだろうか。空気読めよ。
「ふふっ」
明日香が笑った。
やっぱり明日香は笑った顔が一番可愛い。
「お腹空いてるんでしょ?これ、私作ったんだけど食べる?」
そう言うと、明日香は料理を出した。
ご飯、肉じゃが、そして卵焼き、どれも美味しそうだ。
「それじゃあお言葉に甘えて、いただきます。」
まずは卵焼きから食べる。
「どう?」
明日香が上目遣いで聞いてきた。
「うまい。すごくおいしい。」
味付けが俺好みなのだ。醤油の味がきいていてほんのり甘い。
「本当に、よかった。男の人に食べさせるの始めてだから心配だったの。」
明日香は笑って言った。
次に肉じゃがを食べる。
これもとてもおいしい。
僅か十分で完食してしまった。
「ごちそうさまでした。」
「お粗末様。」
明日香は嬉しそうに言った。
そんな明日香を抱きしめたいという衝動に駆られた。
明日香が食べ終わった皿を片付けようと立ち上がったその時だった。
俺は無意識のうちに明日香を抱きしめていた。
「ど、どうしたの!?」
「ごめん、ちょっとだけこのままにさせて。」
明日香は最初抵抗したが俺がそう言うと抱きしめ返してきた。